夜に星を放つ の商品レビュー
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短編5話。 5話とも、大切な人と別れなど、悲しみや寂しさを感じている人が主人公。星座を眺める描写がある。 銀紙色のアンタレスは冒頭からの描写が好きで、ちょうど真夏に読んだこともあり、私も田舎に行った気分になった。他の話もこういう人いるよね...って人や、出来事が多く読みやすかった。 ただ、直木賞受賞作で、帯の「心の揺らぎが輝きを放つ傑作」を期待して読んだので、なぜこれが直木賞なのか...?という気持ちは拭えない。 最後の話の中での、星座がほどけてしまうほどのつらい出来事と、それを体験した佐喜子さんの「どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ。生きていれば、きっといいことがある。(一部略)」という言葉はこの先の人生で夜空を見上げた時に思い出しそう。
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猛暑で外出する気も起きない中、夏らしい雰囲気を感じられた。 5つの短編の中で、「銀紙色のアンタレス」が1番よかったかなぁ。
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5の短編小説 一つ一つの話は短編と思えないくらい深く味わいが有り全て感動。素晴らしい 窪美澄さんの小説は初めてでしたが他も読んでみたくなった すぐ探してみよう
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喪失の痛みが描かれた6つの短編集。 取り戻したくてもできないやるせなさが、大切な存在だった事を強調して切ない。 同じ痛みを抱えた人や、新しく出会った人との交流が温かくて癒されます。一本調子ですぐに別れから立ち直る訳ではなく、失敗したり苦い思いをしながら、少しずつ前に進んでいく姿はリアリティがあります。読み手も一緒に救われるよう。 好きだったのは「真夜中のアボカド」、「星の随に」。 「真夜中のアボカド」 思いを共有できる特別な存在との時間に癒されるうち、徐々に見直さないといけない関係性が切ない。背中を押された気分になるラストがよかったです。 「星の随に」 主人公を子供として大切に扱うおばあさんがかっこいい。「大人みたいなことを言うんじゃありません!」という台詞がよかったです。甘やかす訳ではなく、無理をさせないよう、そっと支えるところが素敵。こんな風に歳をとりたいと思いました。
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人間は誰かと真に心を重ね合わせることはできないけれど、それでも誰かと心を通わせることを求めてしまう。なのに期せずして訪れる大切に思う人との訣別。 誰でも生きていく上で、決して避けては通れない切なさに直面した人たちを描くヒューマンドラマ短編集。第167回直木賞受賞作。 ...
人間は誰かと真に心を重ね合わせることはできないけれど、それでも誰かと心を通わせることを求めてしまう。なのに期せずして訪れる大切に思う人との訣別。 誰でも生きていく上で、決して避けては通れない切なさに直面した人たちを描くヒューマンドラマ短編集。第167回直木賞受賞作。 ◇ コロナ禍によるリモートワーク。最初は出勤の慌ただしさから解放されたことを喜んだが、それも1週間ほどだった。外食どころか外出もままならない毎日に綾の気は滅入るばかり。 けれど、そんな生活に潤いを与えてくれるものが綾には3つある。 1つめは、婚活アプリで知り会った麻生さんとの交流。 32歳の綾にとって、純朴で誠実そうな麻生さんとの愛を育むことが大きな希望となっている。 2つめは、30歳直前に急死した双子の妹の恋人だった村瀬くんとの交流。 一卵性双生児の妹の死が綾に与えたショックは大きい。だからこそ綾以上にショックを受けて未だ立ち直れずにいる村瀬くんと、妹の命日に会ってともに妹の死を悼むことは、綾の心の修復に欠かせない年中行事だ。 3つめは、アボカドの水耕栽培。 食べ終えたアボカドの種を育ててみようと思い立ち、水耕栽培を始めた。その成長具合いを目にするのが、綾の日々を彩る癒やしになっている。 麻生さんとデートや小旅行を楽しみ、村瀬くんと妹の思い出を語り、アボカドの小さな成長に目を細める。ささやかな日々の幸福。 けれど、それは長くは続かなかった。 ( 第1話「真夜中のアボカド」) 全5話。 * * * * * ああ、人生ってこんな感じで転がるときがあるなあ。そう思いました。 劇的な何かが起こってスルスルと解決することって滅多にない。 作品中でも、うまく解決したのは第3話の「真珠星スピカ」ぐらいです。主人公がいじめから救われ、父親との距離を縮められたのは、すべて母親の幽霊のおかげというファンタジー的展開があったから。 ( でもこの手の話は大好きなんですけどね。)普通こうはいかないものです。 ただし、現世での力を使い果たしてしまったからか、それとも冥界の禁忌を犯したからか、母親の幽霊は主人公の前から消え去ってしまいます。 これもお伽話的でよかったけれど、少し切なかった。 第1話「真夜中のアボカド」第4話「湿りの海」は、好意を寄せた相手との突然の別れが描かれているのですが、そもそもこの恋は心の隙間を埋めてくれる存在として大切にしていたものです。 期待が大きかったぶん失ったことを知ったときのやるせなさを思うと、こちらの胸も痛んでしまいます。主人公たちのその後の立ち直りを願わずにはいられない作品でした。 人には、誰かと心の交流を図りたい、1人でいることに耐えられない、というときがある。そんなことをじわっと感じてしまいました。 気に入ったのは以上の3話でしたが、あとの2作品もよかった。 16歳の少年の初恋を描いた第2話「銀紙色のアンタレス」の甘酸っぱさも微笑ましかったし、第5話「星の随に」で描かれた小学4年生の少年の「母」というものへの慕情も、胸を締めつけられるように感じました。 物足りなさも含め、余韻の大きな短編集だったと思います。
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コロナ禍の世の中が舞台となる、全5話の短編集。 どのお話も、切ないけれど心温まる素敵な物語だった。 それぞれのお話に織り込まれている「星」によって、物語に統一感と温かみがプラスされ、美しかった。 特に好きだったのは、「真珠色のスピカ」と「星の隨に」。 「真珠色のスピカ」は、母親を交通事故で亡くしたいじめられっ子・みちるが主人公。側で支えてくれていた母の霊との別れは悲しかったが、明るい未来に向かって進もうとするみちるにエールを送りたくなった。 「星の隨に」は、離れ離れになった両親、そして新たな家族との関係に悩む小学生・想が主人公。深まる家族間の溝にハラハラしたが、お互いを想い歩み寄ることができて本当に良かった。 どちらも前向きでほっこりするお話で、癒された。 あっと驚くような展開はないが、優しい文章で緩やかに紡がれる物語は心に染み入る。 穏やかな気持ちになれる小説だった。
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ちょっと切なくて、苦しくて、それでいて優しくて、目頭が熱くなるお話ばかり。 どのお話も面白くて読みやすかった。 初めて窪美澄さんの小説を読んだけど、大好きになった!他の作品にも触れたい。
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人と人との関わりって一瞬だけど、誰にも心に秘めた想いがある。 じわっと心に沁みて、涙が出るお話もありました。 窪美澄さんの小説、好きだなぁ〜
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短編が5話。どのお話しも大切な人を失ったり離れたりと切ないお話なのですが読後は何となく感動していていいお話だったなぁと思います。
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こんなに大好きなのに、その人は去っていく、切ない5篇。いじめから娘を守ってくれた幽霊の母。子持ち年上女とのひと夏の恋心。亡くなった双子の妹の彼氏との微妙な一線。略奪愛でアメリカで暮らすかわいい娘。婚活アプリの不倫男は許せないが。 去る人の陰で他の人への気持ちを再確認できるのも、ホ...
こんなに大好きなのに、その人は去っていく、切ない5篇。いじめから娘を守ってくれた幽霊の母。子持ち年上女とのひと夏の恋心。亡くなった双子の妹の彼氏との微妙な一線。略奪愛でアメリカで暮らすかわいい娘。婚活アプリの不倫男は許せないが。 去る人の陰で他の人への気持ちを再確認できるのも、ホッとする。
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