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生命式 の商品レビュー

3.9

144件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

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2023/04/04

や、村田沙耶香すごいっす。 クレイジー。唯一無二。 カニバリズム、人体、内臓や排泄物や狂気の人 一般的に人が目を背けたいような、ないことにしたいこと、蓋をしたい臭いモノ そういうものを直視しまくり、詳らかに精緻にそして美しい筆致で眼前に出してくる。 しかも大袈裟にでなく静かに穏...

や、村田沙耶香すごいっす。 クレイジー。唯一無二。 カニバリズム、人体、内臓や排泄物や狂気の人 一般的に人が目を背けたいような、ないことにしたいこと、蓋をしたい臭いモノ そういうものを直視しまくり、詳らかに精緻にそして美しい筆致で眼前に出してくる。 しかも大袈裟にでなく静かに穏やかに、普通のことのようにサラッとね。 嫌いじゃないわ。 好き嫌い別れるやろけど、私は好き。 これが、わざとらしくおどろおどろしく描かれたら、すぐ本から脱落しただろうけど、逆だからね。 もっと読みたい、てなる。 そういう穢らわしく吐き戻しそうになる表現は、表層にすぎなくて。 常識とか、ハレとケの別とか、そういうもんの恣意的さ、 差別したり見ないようにしてるものが当の自分の中にもあるねんで見てみい。 それを、このブッ飛んだ設定、物語に込めるってのが芸術かなと思うわ。 村田沙耶香、これだけ気持ちわるいもんを美しい言葉に変換できるって、これまで気づいてなかった。 ドゥシャンの、便器の作品を思い出したわ。 あれはただの便器やったけど、さらにもっと汚物がこびりついたやつが美術館に展示されてるって感じ⁈ 図書館でなんとなく目に入って、何の予備知識もなく読み始めたから、びびったわあ。 そうくる⁈ そういう話やったん⁈ ちなみに、子ども寝かしつけながら寝これがって読んでたんやけど、つい吹き出して笑ってしまい、おチビが「なに?文字おもしろい?」と言ってきたw

Posted byブクログ

2023/04/02

村田沙耶香による短編集。独特の世界が短い文章の中で浮かび上がる。 すべての短編に共通するのは、小説に登場する人たちがその世界で「普通」とされることに馴染めず、「異常」だと見做されていること。 しかし読み手の我々からすれば、その「普通」こそが「異常」だと感じる。人が亡くなった時、...

村田沙耶香による短編集。独特の世界が短い文章の中で浮かび上がる。 すべての短編に共通するのは、小説に登場する人たちがその世界で「普通」とされることに馴染めず、「異常」だと見做されていること。 しかし読み手の我々からすれば、その「普通」こそが「異常」だと感じる。人が亡くなった時、その人の通夜でその人自身の肉を家族が調理し生前親交のあった人たちに振る舞うことが「普通」である世界、亡くなった人間の骨や髪を素材としてファッションやインテリアにすることが最も贅沢だとされる世界、自分の身体に対して生物らしさを感じられない女性、ペルソナを使い分け過ぎて自分の本来の性格がわからなくなった女性、、etc。 このような描写に対してはじめ、強烈な嫌悪感、あるいは可笑さを覚えた。しかし自分が今立っている「普通」とはそんなに土台がしっかりしているものではないことに読み進めるうちに感じた。 自分が安心してもたれかかっている「普通」の価値観や倫理というのは時代・状況が変われば飛んでいってしまうほど儚いものなのだ。本文中にもあるように、「本能」なんてものは本当はなく、変容し続ける世界から与えられた偽りの価値観にすぎない。 そんな感覚を覚えた読書体験だった。 またそれぞれの短編で登場人物が自分とは異なる「世界」に邂逅する瞬間が描かれる。それは(我々からすれば)「異常」への順応であり、あるいは「異常」からの脱却であるが、とかくも彼らの世界とは別の世界との出会いである。 この描写が美しく、価値観を濁流のように飲み込む倫理の暴力性を感じる。これがこの小説のひとつの魅力だと思う。現実にはここまで急激なパラダイムシフトはないから、この邂逅はフィクションの産物である。 正常への懐疑と、異常との邂逅。 この2つを強く感じた小説だった。

Posted byブクログ

2023/03/10

人肉を食べると言うタブーを鮮やかに描いており、必要以上の抵抗感無く読めてしまったところがすごいと思った。孵化の「多重人格」の主人公のオチは完璧だった。

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2023/03/10

村田先生の本はコンビニ人間しか読んだことが無かった。 ギョッとするような本らしいが、どんな本だろう?? まずはこの本を読み始めた瞬間から、とんでもない違和感が、、、 な、、、何なんだ!?この本は!? 私が出会ってきた本の中には、このような本は一冊も無かったんじゃないかと思う。...

村田先生の本はコンビニ人間しか読んだことが無かった。 ギョッとするような本らしいが、どんな本だろう?? まずはこの本を読み始めた瞬間から、とんでもない違和感が、、、 な、、、何なんだ!?この本は!? 私が出会ってきた本の中には、このような本は一冊も無かったんじゃないかと思う。 まか不思議なお話が短編で綴られていた。。。 突拍子もないお話で、私の頭は壊れそうに(^◇^;) どうやら私にはこの本は合っていないようだった(^◇^;) 久しぶりに読むのに苦戦した。 かれこれ三週間以上かかってしまったかも。。。 ふぅ。

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2023/03/08

読み始めて2ページ目でなんだこのお話は…!?となりました。村田先生の作品はコンビニ人間に続いて2作品めの読了となるのですが、他の作者さんとは違う独特な世界観があります。 普通とは何か…と考えさせられました。 短編を読み終える度に道端の雑草をみたり、生命式の食事をご飯時に考えたりし...

読み始めて2ページ目でなんだこのお話は…!?となりました。村田先生の作品はコンビニ人間に続いて2作品めの読了となるのですが、他の作者さんとは違う独特な世界観があります。 普通とは何か…と考えさせられました。 短編を読み終える度に道端の雑草をみたり、生命式の食事をご飯時に考えたりしていました。 今日本は少子高齢化の時代で、生命式のようなことも現実になる日も近いのか…とも思ったり…。

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2023/03/06

ユニークな内容の短編小説集。個々の持つ正しさとは何かということを問いかけられる内容だった。世間の持つ正しさと自己の持つ正しさの違いに錯綜する人物像が印象的であり、そのもどかしさが現代を風刺しているかの如く感じた。ただ、独特な世界観の上に成り立つストーリーであるが故に、読み終わりに...

ユニークな内容の短編小説集。個々の持つ正しさとは何かということを問いかけられる内容だった。世間の持つ正しさと自己の持つ正しさの違いに錯綜する人物像が印象的であり、そのもどかしさが現代を風刺しているかの如く感じた。ただ、独特な世界観の上に成り立つストーリーであるが故に、読み終わりに疑問が残るものもあった。

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2023/03/04

生命式、素敵な素材、素晴らしい食卓、夏の夜の口付け、二人家族、大きな星の時間、ポチ、魔法のからだ、かぜのこいびと、パズル、街を食べる、孵化。+朝吹真理子さんの解説。 頭の柔らかい、自由な物語ばかりだった。既存の価値観をひっくり返す設定、でも私たちに馴染みのある価値観の側にちゃんと...

生命式、素敵な素材、素晴らしい食卓、夏の夜の口付け、二人家族、大きな星の時間、ポチ、魔法のからだ、かぜのこいびと、パズル、街を食べる、孵化。+朝吹真理子さんの解説。 頭の柔らかい、自由な物語ばかりだった。既存の価値観をひっくり返す設定、でも私たちに馴染みのある価値観の側にちゃんと軸があるので倫理観揺さぶられちゃう。SFちっくな純文学。 腹抱えて笑ったのは『素晴らしい食卓』、萌え倒したのは『かぜのこいびと』『夏の夜の口付け』です。いやでも『生命式』の未来、来てもおかしくないよなー。

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2023/03/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

■生命式 はじめの見開きで「中尾さん美味しいかなぁ」の衝撃 「本能なんてこの世にはない」「変容し続けている世界から与えられた、偽りの感覚」 ほんとにそうかも、本能が信じられなくなってくる、本能って何だっけ、案外そんなもんかもしれない 「正常は発狂の一種」「この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶ」 これもハッとした言葉、ほんと正常って多数決で決められてる気がする 現世では考えられない当たり前の世界、当たり前や正常がトレンドで流れてくとこんな世界もあるのかもと思わせる怖さと奇妙さ ■街を食べる お店に並んでる野菜と、知識のない自分が山で見つけた山菜のどっちに安心するかっていう都会人というより経験のない人の矛盾 釣った魚を怖がり、さばいて見たことのあるかたちになってはじめて美味しそうと安心する釣り未経験者を思い出した 慣れや思い込み自分のなかの普通や常識って根拠のないもので少し押せば意外と簡単に変わるものなんだって思いました 他の短編も思わさせること、自分のなかの普段意識していない気持ちをつつかれるようなことが詰められていて、いい意味で開き直れる少し肩の力を抜いて自由に強くなった気になれる作品たちでした

Posted byブクログ

2023/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村田沙耶香らしい短編集。 これでエッセイ以外はコンプリート。 生命式、設定すごく良かった。 世の中の常識がすぐ覆されてゆく感じ、流れ 分かる これを大袈裟に書きつつリアルに言語化出来るのはやはりすごい 最後のキャラを使い分けるやつも良かった 気持ちは分かる 親友は有能過ぎて逆に怖い いやーー良かった 人間の再利用のやつもおもろかったね、やっぱ発送がおもろいしsdgsとか世の中の風刺感?もいい 長編期待してますーー

Posted byブクログ

2023/02/26

今回は、村田ワールドが広がった短編集がぎゅっと詰まった、濃厚で最高な一冊でした!大満足。 やっぱり村田さんの本は、読み始めはその世界観に大きな衝撃を受け、受け入れられない違和感と不快感が逆撫でする感覚だが、 読み進めるにつれて自分の感覚も見事にその世界観に「順応」していて気づけ...

今回は、村田ワールドが広がった短編集がぎゅっと詰まった、濃厚で最高な一冊でした!大満足。 やっぱり村田さんの本は、読み始めはその世界観に大きな衝撃を受け、受け入れられない違和感と不快感が逆撫でする感覚だが、 読み進めるにつれて自分の感覚も見事にその世界観に「順応」していて気づけば不快感や違和感は無くなっていて、ワクワクと好奇心でいっぱいになっている。。 この不思議な感覚は村田さんの本全てで体験している。 今回も同様。だが今回は特に短編集というのもあり、一気にたくさんの世界を旅できて、とっても満足感がある。 現実ではありえないような設定とその世界観での妙な現実感を感じるものがほとんどだが、 最後の「孵化」は、特に自分ごとに落とし込んで考えられた。

Posted byブクログ