生命式 の商品レビュー
村田さんは人間臭さを書くのが上手くて読むのが楽しい。不気味な設定の話が多くて気持ちわりーってなるけど共感できる話が多いと思う。『生命式』みたいに社会の常識だって分かってるけどなんか受け入れられない、なんてことあるよね。
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最後の話が1番好きだった。こういう人いるんだろうな感じがする話ばっかりだった。世界観が独特だけど絶対ないとは言いきれないから怖い。
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小説を読んで吐き気を催したのは初めて。 表題作の「生命式」は、葬式の代わりにスタンダードとなった故人を送る儀式だ。 故人の肉を皆で食し故人を偲ぶと同時に、受精相手と出会う場として定着した。死から生をうむから、生命式。 主題と違うところでとにかく拒否反応が出てしまい(そういう意味では描写力が抜群ということか)、ずっとこの感じだったら読了できないのではないかと心配だったが、グロテスクさは後半の作品になるにつれ落ち着いてきて、代わりにしんとした狂気に満ちて、ゾクゾクする。
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読み始めてすぐに衝撃を受けた。あまりに気持ち悪い設定。30年前は常識ではなかったことが、30年経った今では普通のこと、、、とはいえ、家族や友人の生命式で下ごしらえまでできるだろうか?衝撃的な内容をさらっと書いているので読み終えることはできたけど、次の短編を読み始めて途中で断念。読...
読み始めてすぐに衝撃を受けた。あまりに気持ち悪い設定。30年前は常識ではなかったことが、30年経った今では普通のこと、、、とはいえ、家族や友人の生命式で下ごしらえまでできるだろうか?衝撃的な内容をさらっと書いているので読み終えることはできたけど、次の短編を読み始めて途中で断念。読みづづけられなかった。
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「亡くなった人を火葬するのではなく食べることで悼む」という常識が浸透した世の中。 周りはすっかり受け入れ当たり前のように話を進めるが主人公は違和感を拭えないでいる。 少し前までは人を食べるなんてありえなかった。 それが政府の取り決めで瞬く間に覆され異常から常識へ。 常識が目まぐるしく変わる現代にも似通った点があるように感じた。 今自分が当たり前と思っていることは一歩引いたところから見るととてつもなく狂っているかもしれない。 幼い頃から時間をかけてすり込まれてきた正しさを真っ向から疑わずには見られない1冊だった。
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コンビニ人間以来(8年前!)の著者作品。当時コンビニ人間がすごく苦手だった記憶があり、敬遠していた作家さんだったけど、読んでみて良かった。 表題作と「素敵な素材」のニ編を読んで、う…気持ち悪い…これはギブアップか…?と思ったけどその後の話全て割と好きなタイプで、楽しめた。 「素晴らしい食卓」の魔界都市ドゥンディラスの設定(自分で言ってる)を貫く妹がとても面白くてクスッとした。この話好き。 「パズル」の早苗の血の通わなさが不気味で素敵。無害系サイコパス? 「孵化」は、なんとなくみんな共感できるところもあるのでは?結末が予想外で笑っちゃった。
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第5回ビブリオバトル全国大会inいこまで発表される予定だった本です。 ※2020.3.15に開催予定であったビブリオバトル全国大会inいこまは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となりました。
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◾️生命式 死んだ人を食べる文化、セックスが受精として普通に人がいるところで行われる世界の話。 最後、膝まで海に浸かりながら、知らない男からもらった精液を自分で入れてるシーン、めちゃ神秘的に描かれてるけど、今自分がいる世界の常識では考えられない。 なにが正常なのか?いまの正常はたまたま正常とされてるけど、異常が正常と見なされる世界線もあるのでは?と思いそうになる。 ◾️素敵な素材 人の骨や歯、皮膚、髪を素材にするのが普通な世界の話。 気持ち悪くてご飯食べられなくなりそう… 自分と同じ生物が物体としてあることへの気持ち悪さがすごい。 じゃあ動物だったらいいの?って話になるけど、動物は正直身近にいないからリアルに想像できないんだと思う。 生きてるものと、生きてないものの境目が大事なのかもしれない。 ◾️素晴らしい食卓 「相手が作ったものを食べるって相手の世界を信じること」ってなんかわかる。 食べるって生きることとか、健康に直結するし、信頼だよなぁ。 最終的に全部の料理を食べておいしいといった主人公の夫が一番気持ち悪く感じた。これって多様性を受け入れた人を気持ち悪いように描いており、現代の風潮とは真逆な発想で、強いなと思った。 ◾️夏の夜の口付け めっちゃいい!!!!! 好きだ〜 わらびもちが男の子の舌に似てるって言われた直後に噛みちぎるところが最高 ◾️二人家族 うわぁ、この話続くんだ… こんな過去があったのね。 素敵な二人だ。 憎まれ口たたける関係性が心地いいよね。 ◾️大きな星の時間 かわいい。 ◾️ポチ ポチやべえええ ユキちゃんポチなでないよ! ◾️魔法のからだ すごく上質で文化的な性教育のお話。 とても好きだし大事に読みたい。 性がこうあってほしい。 ◾️かぜのこいびと カーテンと人の三角関係 ◾️パズル 早苗がビルというのがあまり理解できなかった。 ◾️街を食べる 野草を食べる人の話。 個人的には、「素晴らしい食卓」とリンクしてる気がする。 食べ物が人を作る。 野草を食べると野生的になる。 ◾️孵化 コミュニティによって人格が変わる人の話。 これはけっこうよくわかる。自分もキャラクターを使い分けてたから。 アキみたいな友達がいてくれてよかったねぇ。
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面白かった。 きもちわるいと大批判されているレビューを見かけたので、緊張しながら読み始めたが、自分は平気な側の人間らしい。 裏切りは他にも多々あった。 もっと純文学寄りかとおもったが、ほとんどSFである。 そして、生命式を題材に全編進むのかと思ったが、2話目3話目と仕掛けがずりずりとこちら側へスライドしてきて、最後には現代社会にもあり得る話でオチる。社会派の、SF……? 幾らかの話を抜粋して感想など。 ・生命式 振り返ってみると、他はまあそういうこともあるかあという話が挟まる中で、最も新鮮な設定と展開だった。さすが表題作。 現代の価値観からするとフツーにイヤだが、5年以内にはありえなくとも、50年後にどうなっているかは分からない。 50年前の人たちは、日本が人口減少や少子化とたたかうことになるとは想像しなかったろう。物理的距離にとらわれないコミュニティの登場が、世界を小さくもした。10月になっても夏が終わらず、毎日30度を超えるとなればきっと生活だって変わろう。 2070年に、いまの感性を貫ける保証はない。 自分がこの作品を含めSFと呼んだのは、主人公=若者の方が古い価値観を引きずっているという点にフィクションを感じたからだ。社会って、老人が望まず、認めず、中年がそこを押し切って新しい価値で塗り替えていくというものではないのか? 老人から新しい価値観が広まった(そして浸透した)例を、知らないだけかもしれない。超超超高齢化社会となれば、高齢者のムーブメントがそのまま社会現象になったりするのか? ・素敵な素材 前の話に繋がる話かと思いきや、やや設定はズレる。 「毛髪を身にまとうのは自然」という主張が登場するが、他人の毛髪である以上、自然素材以上に不自然だと思った。自然さを追求するならば、自分の毛髪で作るべきではないか? 人間の爪って動物の爪と違って劣化が早いわ、強度がないわで扱いづらそう。 死体損壊罪はどういう整理になるんだろう。 リアルに考え始めると、ツッコミどころが多い。 ちなみに、気になって調べたら、毛髪で編んだセーターは実在した。エコロジー文脈らしく、作中で持つ意味とは異なった。 そのまま編んだものをイメージしていたため、ものすごく重そうだと予想したが、髪の毛って頑丈で、引き伸ばして使えるぶん結構軽く作れるらしい。 ・大きな星の時間 とても好きな話になりそうだったのに、始まる前に終わってしまった。続きをください。 ・かぜのこいびと 好きな人の多そうな、切なくキレイな話。と思いきやあの結末である。闇が深いなあ! ・パズル 悲しい。これも好きな話。 ・孵化 この話が最後に置かれていることで、これまでの全てがグッと自分の話になった感触があった。 読む人を選ぶとは思うが、全体的には楽しい本だった。
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コンビニ人間を読んでから村田さんが気になってしまい読んだ。コンビニ人間の時も思ったけど、村田さんの作品ってなぜかSFっぽさを感じる。 設定の毒気が強いけど読み心地はサラッとしていて、いい意味で感情を揺さぶらないというか…。普通だったら重たくドロドロした話になりそうなところを、スッ...
コンビニ人間を読んでから村田さんが気になってしまい読んだ。コンビニ人間の時も思ったけど、村田さんの作品ってなぜかSFっぽさを感じる。 設定の毒気が強いけど読み心地はサラッとしていて、いい意味で感情を揺さぶらないというか…。普通だったら重たくドロドロした話になりそうなところを、スッと通り抜けるのが気持ち良い。 一方で、現代に生きている人間なら誰しもが持つ感覚に対して鋭い疑問を投げかけてくるところが本当に面白いと思う。 表題作である生命式も良かったけど、食卓のやつとかキャラ変りすぎのやつもかなり好きだった。
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