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棘の家 の商品レビュー

3.3

71件のお客様レビュー

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    2

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2022/09/06

❇︎ 当たり前のように常にそこにあって 平穏と安寧に包まれた家庭。 その中で平々凡々と年を重ねることを 疑いもしなかった主人公(教師の穂刈)が 娘の自殺未遂をきっかけに自分自身と 家族の姿を見つめ直してゆく物語。 主人公を通して、自分の目に見えている 家族一人ひとりの姿はほん...

❇︎ 当たり前のように常にそこにあって 平穏と安寧に包まれた家庭。 その中で平々凡々と年を重ねることを 疑いもしなかった主人公(教師の穂刈)が 娘の自殺未遂をきっかけに自分自身と 家族の姿を見つめ直してゆく物語。 主人公を通して、自分の目に見えている 家族一人ひとりの姿はほんの一面にすぎない。 いかに自分という偏ったフィルターから 家族という存在を見ているかを思い知らされた 気がします。 1.穏やかな翠 2.棘のある葉 3.毒を持つ嚢 4.不穏の茎 5.そして根は残る 家を棘のある植物に見立てているところに 妙に納得ができました。 触れなければわからないけれど、一人ひとりに 別々の棘や毒がある。 その毒で大怪我をすることもあれば、毒が薬に なることもある。 棘や毒の悪い面ばかりが気になるけれど、 それらが深い意味を持っているんだと そんな風にも感じました。 ある意味、やや悲しい部分もありますが、 多少バットエンドを含んでいても再生への 淡い芽も感じ取りました。

Posted byブクログ

2022/09/06

教育問題、いじめ問題、マスコミ問題等々加えてお得意の*****問題、それらが複合的に絡み合って中山ワールドを形成していく訳だが、父親の教師としての倫理観が不安定に揺らいでいくのは実に生々しい。聖職と言われていた教師がいつの日から職業教師になり下がったのか、その変換点は皮肉にも日本...

教育問題、いじめ問題、マスコミ問題等々加えてお得意の*****問題、それらが複合的に絡み合って中山ワールドを形成していく訳だが、父親の教師としての倫理観が不安定に揺らいでいくのは実に生々しい。聖職と言われていた教師がいつの日から職業教師になり下がったのか、その変換点は皮肉にも日本人の人権に対する考え方が変わった時と符合する。あらゆる特権が剝ぎ取られた教師には何も魅力が無い、過酷な労働・負担だけが残る、モンスターからの攻撃。そのため、更に教師のなり手が激減し、教育力の低下が起きる。そして、冒頭に示した各種問題がじわじわと顕在化してくる。日中は義務で授業を受け、進学したい人だけ塾へ行き、更に教育格差が広がる。これらの状況が現在進行中であることを認識していれば、本書の様な殺人事件は容易に実際に起こり得る。さほど珍しい話ではなくなってくるのに留まらず、将来的には本書は預言書になり得る可能性が高い・・・杞憂であって欲しいな。 今回は負け。*****問題を軽視していたのが敗因。そして、いつも通り課題を残したまま、いやいや、あえて残して次の作品に繋げるのが狙いだ。子供という悪魔にも更に磨きをかけて行くのか、もうちょっと後味の良い痛快な作品を増やして下さい。

Posted byブクログ

2022/08/25

+++ 家族全員が、容疑者だ。 穂刈は、クラスで起こるいじめに目を反らすような、事なかれ主義の中学教師だった。 しかし小6の娘がいじめで飛び降り自殺をはかり、被害者の親になってしまう。 加害児童への復讐を誓う妻。穂刈を責める息子。家庭は崩壊寸前だった。 そんな中、犯人と疑われて...

+++ 家族全員が、容疑者だ。 穂刈は、クラスで起こるいじめに目を反らすような、事なかれ主義の中学教師だった。 しかし小6の娘がいじめで飛び降り自殺をはかり、被害者の親になってしまう。 加害児童への復讐を誓う妻。穂刈を責める息子。家庭は崩壊寸前だった。 そんな中、犯人と疑われていた少女の名前が何者かにインターネットに書き込まれてしまう。 追い込まれた穂刈は、教育者としての矜持と、父親としての責任のあいだで揺れ動く……。 +++ いじめにまつわる物語。加害者、被害者、正義感、事なかれ主義、保身、悪意、憎悪、場当たり的行為、社会的抹殺、ネット社会の闇、などなど、いじめにまつわる、と言っても、あまりにもさまざまな要因と派生することごとがあり、読み終わった後でも、どこで対処を間違ったのか、どこでどうするのが正解だったのかがわからない。人は、自分の置かれた立場でしか判断できないものだということがよくわかる。立場を変えると、見える世界が変わり、どんな行動を起こすかも変わってくる。じわじわとしみ込んでくる現実的な恐ろしさもある一冊だった。

Posted byブクログ

2022/08/17

中学教師の穂刈は担任の生徒にいじめを訴えられたのに反故にしている。そんなとき小学生の娘が学校の3階から飛び降り重傷、どうやらいじめられていたらしいとわかり、煮え切らない学校にどう対応していくか苦慮、マスコミやネットを使ってうまく警察ざたにせずに攻撃していたと思ったら、今度はいじめ...

中学教師の穂刈は担任の生徒にいじめを訴えられたのに反故にしている。そんなとき小学生の娘が学校の3階から飛び降り重傷、どうやらいじめられていたらしいとわかり、煮え切らない学校にどう対応していくか苦慮、マスコミやネットを使ってうまく警察ざたにせずに攻撃していたと思ったら、今度はいじめていた女子が殺されてしまい…。 展開にドキドキしながら一気に読まされましたが、主人公である父親が不甲斐なさすぎて読むのが嫌になりそうだった。ちゃんと謎も収束するし、穂刈先生もダメダメでは終わらないので最後まで読みましょう。 お母さんの方の外出理由、当日はともかく、渦中の日のあれはないな。母親ならあんな時は絶対に出られない。そこがいまいちだった。 あと、最近の学校は誰かが物理的に嫌なことがあったとわかったら直ぐ双方に聞き取りすると思うのでいじめに対する対応も非現実的に感じた。

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2022/08/17

包括的なテーマがいじめ。 ここまで徹底しているのは他にあまりないかも、 でも言動に感情移入しにくい部分多々あり。 いじめ問題って、ひとつひとつ深刻ではあるが、 左右に広げるのは間違ってるのかも。 上下に伸縮させることはある意味難しくない。 そんな感想です。

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2022/08/15

担任学級でのいじめをから目をそらす中学教師穂刈だが、娘がいじめを苦に自殺未遂。激怒し復讐に走る妻、父親を批判する息子…家庭は崩壊の危機に。自己保身、悪意、不満…家族それぞれが抱えている闇を知った穂刈家族の今後はどうなるのか。真犯人の動機もすっきりしない。

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2022/08/15

断片的な報道や情報におどらされない人間にならなければ!とあらためて戒められます。 さっくり読み進められる一冊でした。

Posted byブクログ

2022/08/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

学校のイジメ問題から派生する殺人事件、主人公穂刈は自分が勤務する中学校でもイジメ問題を抱えている、そして彼ら教師たちの事勿れ主義の方針にもイライラさせられる、それにマスコミの酷さは相変わらずだ、まともな国民はTVは見るべきではないと思う。犯人はあまり予想外な人物でもなかったが、妻をはじめ被害に遭った娘まで信じられなくなったこの家庭に明日はなさそうだ。登場した坂東刑事はどこかの作品に出ていたのだろうか、著者の作品の多さから思い出すことができない、冤罪事件があった事を匂わせているので「テミスの剣」あたりか?

Posted byブクログ

2022/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

学校の隠蔽体質や事なかれ主義、匿名ネット探偵の意気揚々さがとてもリアル。 自殺未遂をした少女のしたたかさも私は好みでした。 犯行の動機が理解できず星は3つですがすらすら読めて面白かったです。 加害者と被害者を出したあの家、悲惨ですね。

Posted byブクログ

2022/07/27

教師も仕事だから、無難にやっていきたい気持ちはとても分かる。自分にふりかかってきた時の矛盾はきっと本人が一番苦しいので、責めずにそっとしておいてあげて欲しい。生徒としては黙ってられないだろうけど、そこは少し可哀想だった。私個人としては、この作品に関しては、虐めた側が100%悪くて...

教師も仕事だから、無難にやっていきたい気持ちはとても分かる。自分にふりかかってきた時の矛盾はきっと本人が一番苦しいので、責めずにそっとしておいてあげて欲しい。生徒としては黙ってられないだろうけど、そこは少し可哀想だった。私個人としては、この作品に関しては、虐めた側が100%悪くて、やっぱりその家族は狂っていたので「でしょうね」という感想。ただ、里美は大嫌い。両方の母親をヒステリックに描いたあたり、中山さんの先入観なのかしら…物語の展開上なのかしら…そんなもんかしら…

Posted byブクログ