ついでにジェントルメン の商品レビュー
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・come come kan!! 菊池寛と新人作家。ファタジックだったのにラストだけ編集者目線になって「一人で踊ってるヤバイやつ」になるのが面白い ・渚ホテルで会いましょう 昔と変わり果てたホテル。生活感たっぷりな男と子供たちとの出会い ・勇者タケルと魔法の国のプリンセス 女性専用車両に立ち向かう男。こわい ・エルゴと不倫鮨 卒乳後初の酒と寿司を食べに来る女。 あー寿司食べたい...。 ・立っている者は舅でも使え ・あしながおじさん ・アパート一階はカフェー 令和の話が続いていた中、最後に時代は菊池寛が生きている時代へと戻る。ここまで読むと、何も変わっていないようで、女達の強さが眩しく美しい。
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副題にある英語の「Tired of taking a backseat to gentlemen」は、「紳士(男)の二番手にいる事にはもう飽きた」と訳されてもちょっと解りづらい。解釈に手こずったが、つまり女性はいつも男の二番目の存在でしかないとのことだろう。 Come Come...
副題にある英語の「Tired of taking a backseat to gentlemen」は、「紳士(男)の二番手にいる事にはもう飽きた」と訳されてもちょっと解りづらい。解釈に手こずったが、つまり女性はいつも男の二番目の存在でしかないとのことだろう。 Come Come Kan‼ 渚ホテルで会いましょう 勇者タケルと魔法の国のプリンセス エルゴと不倫鮨 立っている者は舅でも使え あしみじおじさん アパート一階はカフェー 以上7作の物語で紡がれた短編集だが、返却日が迫っていて取り急ぎ3篇のみをチョイスして読んだ。 「Come Come KAN!!」 昨今の朝ドラ”カムカムエブリバディ”のタイトルから採ってあるのだろう、思わずくすっとなった。 文芸春秋社のサロンでそりの合わない担当編集者と打ち合わせをしている新人女性作家。彼女に文芸春秋社を創立した菊池寛の銅像が突如話しだすという奇想天外な展開。小説中に描かれている菊池寛が想像している以上に面白い人だったと分かり、彼の本を読んでみたくなった。最後の『アパート一階はカフェー』でも菊池寛が出てくるらしい。 「渚ホテルで会いましょう」 渡辺淳一の『失楽園』をもじっているのかな? かつては不倫小説で一世を風靡した作家が、昔を偲んで渚ホテルに来てみれば、今やじじばばや孫たちが闊歩するファミリーホテルに変わっていた。ラストが思わぬ展開! 時代の移り変わりを認識できない男・小説家の滑稽さが痛い短編。 「あしみじおじさん」 これまた、”あしながおじさん”をもじってのタイトル!整形手術をすんでのところで思いとどまった亜子が主人公。亜子は「あしながおじさん」や「小公女」「赤毛のアン」「若草物語」の主人公たちに憧れているのだが、作中に少女小説を研究している女史が「彼女ら主人公らは棚ぼた式の遺産や結婚に憧れている」という箇所があり、なるほどと理解しながらも、結末が私には不可解なままで、作者の言いたいところが伝わらなかった。時間に追われて読んだ私が悪い・・・。柚木麻子さんのファンなのだが、短編が好みじゃない私としては、じっくり読ませる長編(せめて中編)をお願いしたい。 (2023年1月10日)
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多分初めて読む作家。 今風のジェンダー、フェミの作風の作家さんのイメージ通りかな? 菊池寛のジェントルさはスマートでなかなか素敵だった。でも作中にもあるように、第一秘書に手を出している上に彼女のことを「淀君」と陰口叩かれるような処遇にさせているのはやはり同じ女としてひっかかる。
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どの話もちょっと奇妙な感じなので面白かった。 柚木さんの本はらんたんを読んだあとなので、作風は真面目なのかと思いきやけっこうぶっ飛んでて驚きました。 私はエルゴと不倫鮨が気に入ったかな?なんか出てくる卒乳したから一人でパーッとやるおばさんがかなり面白くて。 でも不倫鮨??オー...
どの話もちょっと奇妙な感じなので面白かった。 柚木さんの本はらんたんを読んだあとなので、作風は真面目なのかと思いきやけっこうぶっ飛んでて驚きました。 私はエルゴと不倫鮨が気に入ったかな?なんか出てくる卒乳したから一人でパーッとやるおばさんがかなり面白くて。 でも不倫鮨??オーディブルで聞いてたからどこか不倫だったのかな?子どもたちが騒いでるときにその部分を聞き漏らしたかも。 あしみじおじさんも面白かった(笑)よくアルプスのハイジからあんなふうに話を持っていけるな~、もっとオーディブルで柚木さんの本が読みたいし、次女が幼稚園行ったら本読みたいな。あと一年位先の話だけども( ;∀;) アパート一階はカフェも面白かった。レトロ調の話、好き!
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新人作家と菊池寛、大御所作家と父子、女性専用車両に突入した男性、隠れ寿司屋に乱入した母子、元嫁と元舅、貧困から抜け出したい女子と教授、働く女子とカフェ。 短編小説集になっており、最初と最後は菊池寛が絡んでくる。 バリエーションに富んだ短編で、 次々と展開される意外性のある話が面...
新人作家と菊池寛、大御所作家と父子、女性専用車両に突入した男性、隠れ寿司屋に乱入した母子、元嫁と元舅、貧困から抜け出したい女子と教授、働く女子とカフェ。 短編小説集になっており、最初と最後は菊池寛が絡んでくる。 バリエーションに富んだ短編で、 次々と展開される意外性のある話が面白い。 特に、元嫁と元舅。 離婚を切り出して実家に戻ってきた嫁のところに、 舅が実子とはもう一緒に住めない!と言って嫁を頼ってくるところが面白い。 生半可な関係よりも、赤の他人と割り切って生活する方が上手くいく描写も言い得て妙だ。 兎にも角にも、ぶっ飛んだ話も中にはあるが、 話の展開は多種多様なので、 1つでも気に入ったものが見つかればラッキーかな。
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誰もと距離感のつかみにくい世の中。15歳くらいの子で、この話が分かれば、もうおとなの距離感がわかると言えるのではないかな?
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『わたしのためのホテル』と同系列の作品。作家の内輪ものや、ジェンダー・バイアスを皮肉った傾向の。『足短おじさん』が特に楽しかった。古典的な少女小説がみな、お金持ちの男の人が、女の子を支援してくれるお話だという解釈は、なるほど確かに。それをお手本に、そういう男性との出会いを探してい...
『わたしのためのホテル』と同系列の作品。作家の内輪ものや、ジェンダー・バイアスを皮肉った傾向の。『足短おじさん』が特に楽しかった。古典的な少女小説がみな、お金持ちの男の人が、女の子を支援してくれるお話だという解釈は、なるほど確かに。それをお手本に、そういう男性との出会いを探している女性の話は、おとしどころも絶妙。実際そんな大学の先生はいそう。
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いろんなステージを生きる全ての女性たちへ、好きなことをして生きよう(と書くと陳腐になってしまうけどそれを感じさせない) みたいなエールを感じた。 変な意味ではなく、女に生まれてよかったなと思った。 そしてタイトルに納得。 いちばん印象に残ったのは、「エルゴと不倫鮨」。 たぶん自...
いろんなステージを生きる全ての女性たちへ、好きなことをして生きよう(と書くと陳腐になってしまうけどそれを感じさせない) みたいなエールを感じた。 変な意味ではなく、女に生まれてよかったなと思った。 そしてタイトルに納得。 いちばん印象に残ったのは、「エルゴと不倫鮨」。 たぶん自分といちばんステージが似ている女性が出てくるからかな。 そしてなにより創作鮨の描写が美味しそすぎた。 それから、最初の「come come KAN!」と、最後の「アパート一階はカフェー」で共通して登場する菊池寛。2つのお話から彼の懐の深さとユーモアを感じて会ってみたくなった。(会えない) 男性でも女性でも、彼のように良い距離感と温度感で人と接したいね。 「アパート一階はカフェー」では、女性の生きづらさと、それを容認しなさいという暗黙の圧を感じた。昭和初期の話だから尚更。 「1人で住む自由も、1人で珈琲を飲む自由も私たちにはないんですか?」に、現代を生きる私もうんうんうんと共感したが、男性が読んだらどう感じるのかな。 それにしても、私も大塚女子アパートメントに住みたすぎるわ〜と思いながら読み進めて最後、参考文献見て、まさか実在の場所だったとは。 なんだかいろんな意味で、心の中で広がりを感じる本でした。
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7つの短編集で、どれも柚木さんワールド全開! 力を合わせた女性たちは最強で誰にも止められない感じが、爆発しています。 感じが悪いのはたいてい男性の登場人物だけど、彼らもどこか憎めない一面を持っているのが魅力的な作品にしていると思いました。 大人数の女子、おいしいご馳走、文学の香り...
7つの短編集で、どれも柚木さんワールド全開! 力を合わせた女性たちは最強で誰にも止められない感じが、爆発しています。 感じが悪いのはたいてい男性の登場人物だけど、彼らもどこか憎めない一面を持っているのが魅力的な作品にしていると思いました。 大人数の女子、おいしいご馳走、文学の香りの、私が勝手に思う柚木さんの得意分野がこれでもかと盛り込まれていて、『アパート一階はカフェー』は女子たちのにぎやかな話し声が聞こえてくるようでウキウキしました。 『エルゴと不倫寿司』は、アンソロジーの『注文の多い料理小説集』に入っていた作品なので、柚木さん目当てなら、本書を読めば、同アンソロジーは読まなくてよくなります(『注文の多い〜』は柚木さんの作品以外も面白かったですが…!)。
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まだ途中なので評価変わるかもですが。 ーーー 普段は好きな作家さんですが、今回は読みあぐねてまだ半分くらいです。 短編集で、それぞれに、偏っていたり古かったりする、価値観をギュッと凝縮させたような困った男性たちが登場します。 そして彼らは何らかの方法でその価値観を砕かれ、ある意味「目を覚ます」のですが。 好みの問題ではありますが、どうにも男性陣が気持ち悪く、受け付けない。(菊池寛除く) 理由としては、凝縮したエッセンスを抽出して模った、「偏った価値観を持った男性」像が秀逸に過ぎたこと、がひとつ。 (特に不倫や浮気を男性の目線から見るとこうなるのか、と…個人の好みが大きいけれど) もうひとつは、そんな男性像を打破しようとする側が、やや贔屓されすぎているように見えるような、もっといえば、そうした男性像を軽蔑しているような著者の視線を感じるように思うこと。 たまにならいいのだけど、毎話はちょっとしんどいなぁ…と思ってしまいました。 まだ全話は読み終えていないので、また読み終えた ら書きます。
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