なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない の商品レビュー
先ずはタイトルに興味をそそられた。読み進めていると、自分の人生に起きた出来事に重ねてしまう事が多々ある。シェアとナイショ、働く事愛する事、馬とジョッキー…ネガティブな幸せを探したい時きっとこの本が必要になり又読みたくなる。
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夜の航海に出ます。 その中でカウンセリングを受けます。 自分の傷について考えます。 カウンセリングには、マネージメントとセラピー、の段階があるらしい。急を要するときはマネージメント。安全な港に避難すること。そして、そこから、自分の目的地を探す安住模索の旅に出るのが、セラピー。 この本は、セラピーとしての夜の海に読者を連れ出します。そして、いろいろな補助船に助けられます。 補助線。 馬とジョッキー。 働くことと愛すること。 シェアとナイショ。 スッキリとモヤモヤ。 ポジティブとネガティブ。 とても助けになりそうです。 必要な時こそ忘れてしまいそうだけれど、 心に留めておきたいです。
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「わける」ことは「わかる」ことです。複雑な心を補助線によって分解すると、自分の中にどういう思いがあって、自分がどう葛藤しているのかが見えてくる。(p.35) 大学受験時に通っていた塾の英語の先生が、「分かるというのは分けられること」と言っていた話がずっと心に残っている。「その辺の雑草」が「カタバミ、たんぽぽ、スギナ」に、「お星様」が「さそり座、カシオペア座」に。英文についても、文法や構成ルール(主張、具体例、結論)を理解することで、英文全体を分けて理解することができるようになる。黒板にわかる・わけるを縦横に書いて、その説明をしていた話が授業の内容以上に覚えている気がする。 わかる け る この本でも補助線を引くことで「わかる」を深めようとしている。「人生は複数である」ということから、うまく補助線を引いて分けて考える。「自立とは依存先を増やすこと」と言及があるように、困った時や道で躓いた時に色々なアプローチで対応できる態勢を自分の中に構築しておくことは大事なのだと思う。依存先の分散というと、投資のリスクヘッジみたいな考え方だなと思うけれど、ひとつ砕けたら立ち直れないよりは別の柱があった方が良いという意味では色々応用できるはず。複雑な世の中を複数の生き方・応じ方を知っていきながら楽しく生きていたい。 ====== スッキリが非自分を排泄して、自分らしさを回復させてくれるのに対して、モヤモヤは非自分を溶かして、自分の一部にしてくれる。それを世間では「成長」とか「成熟」と言うのでしょう。(p.210) 現実は本当のところ、灰色です。白と黒が入り混じった曖味な色彩こそが世界の本格的なありようだと思うのです。 だから、悲しむことができたとき、僕らの心は以前よりも少しだけ、広く、深くなる。心に複雑なものを置いておけるだけのスペースができる。 これを僕は「ネガティブな幸せ」と呼びたい。(p.264)
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カウンセリングというか、セラピー的なかかわりをしたいとき、平易な言葉で実行しやすくその方法を指南してくれる著者の本は、とても助けになる。 本書も、ぜひ参考にしたいと常々思っていて、ようやく読めた。 わかりやすくて、腑に落ちやすくて、期待に違わず実践で参考にできそうな考え方がたく...
カウンセリングというか、セラピー的なかかわりをしたいとき、平易な言葉で実行しやすくその方法を指南してくれる著者の本は、とても助けになる。 本書も、ぜひ参考にしたいと常々思っていて、ようやく読めた。 わかりやすくて、腑に落ちやすくて、期待に違わず実践で参考にできそうな考え方がたくさんあった。 これはつまりネガティブケイパビリティだよね、というくだりもあったし、人と「話す」ことの意義について、改めて思うところも多くあった。 何より、この本のなかでとても印象深かったのは、フロイトが言ったという「(大人ができなくてはならないことは)働くことと愛すること」ということと、「物語るとは時間の経過を描くこと」ということ。 このどちらも、人が生きることの本質を突いていて、私の中に深く残った。 働くことは「すること」、愛することは「いること」。時間の経過を描くとは、自らに起きたことを自分の中に取り込んで整理して、それを乗り越えて(または自分の糧にして)次のステップに進んでいくこと、つまりは成長すること。変わっていくことと言ってもいいかもしれない。 究極的には、人はこの二つの本質を重ねて生きていると言ってもいいんじゃないかな。 人は物理的にも精神的にも変わり続ける存在。変わり続けながら「do」と「be」を繰り返しながら生きていく。それがうまくできないとき、周囲の人間、家族や友達や、自分の師や時にはセラピストに助けてもらいながら、毎日を重ねていく。そして変わっていく。時が経過していく。 セラピーの場面でのナラティブの力、物語の力ということはずっと言われてきている。そのことへの実感はありつつも、何がそうさせているのか、もうひとつ納得感が薄い部分もあったが、それはつまり「時間」だったんだな、ということはやっぱり、回復していくことの力の源は、その人本人の力なんだな、と改めて強く思えた。 私が仕事で誰かの話を聴くとき「聴くくらいしかお手伝いできないけど、いくらでも聴けるよ」という気持ちでいることは、間違ってはいないんだなと、ちょっと安心できたかな。 なかなかいい読書だったな~。
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心って、複雑でやっかいなもんだなぁ。 こういうタイプの本に触れることは滅多にないけど、読んでよかった。
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『悲しむことができたとき、僕らの心は以前よりも少しだけ、広く、深くなる。心に複雑なものを置いておけるだけのスペースができる。 これを僕は「ネガティブな幸せ」と呼びたい。』 著書のカウンセリングを受けているような、やんわり、ふんわりとした例えの言葉を読み進めていくと、一つひとつクリアな視界が開けていく感覚。 ああ、あのときの表しようのない気持ちの正体はコレだったのか!とか。 慰められても励まされてもいないのに、自分を知りたくなって信じてみたくなる。 ミキとタツヤのストーリーが小説のようで引き込まれる。この症例が挟まることでグッと解像度が上がります。 『心は一瞬で変化するときには危うくて、かけた時間の分だけ変化するのがいい。』
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なかなか詳しく背景までは知ることができないので、フィクションとはいえ、貴重な話に触れることができました。 夜の航海、小舟…安全な場所があると、人はもがきながらも前に進んでいけるはずだと信じています。
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正欲の解説があまりにも良かったので、この人の本を読んでみたくて買ったやつ! 相変わらずこういう学んでいく系の本は苦手なので、具体ケースの話が入っているのが面白かった。 ナイショの関係が時に人を傷つけるというのは本当にそうなんだよなあと思いながら、そこからどうしたら逃げずにいら...
正欲の解説があまりにも良かったので、この人の本を読んでみたくて買ったやつ! 相変わらずこういう学んでいく系の本は苦手なので、具体ケースの話が入っているのが面白かった。 ナイショの関係が時に人を傷つけるというのは本当にそうなんだよなあと思いながら、そこからどうしたら逃げずにいられるのか、わかったようなわからないような。 怒り、失望だけの純粋なネガティブから悲しみが混ざった不純なネガティブに変化する、という話、自分の認識はどちらかというと最初から後者に近い気がしていて、本当はもっとストレートに相手に対してああだこうだと思ったり言ったりすべきなのかもしれないなあと 再読予定〜〜理解しきれてない気がする
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久しぶりにこういう本を読んだけれど、事例と共に、文体も丁寧でとても読みやすい 最近、職場の人間関係で心が疲れてしまって ずっと頑張れていたのに急に頑張れなくなった どうして頑張れなくなったのかもよくわからなくて そんな私の心に染み入る本だった
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尾崎世界観が薦めているのを見て読んだ本。 とても読みやすい。自分はもともと補助線を引いていた方なのか、新たな発見!みたいなものはあまりなかったが、作者の提示する幸福の定義は心に響いた。自分のことも、他者や世の中のことも、複雑なまま受け入れられたらと思う。きっと簡単なことではないけ...
尾崎世界観が薦めているのを見て読んだ本。 とても読みやすい。自分はもともと補助線を引いていた方なのか、新たな発見!みたいなものはあまりなかったが、作者の提示する幸福の定義は心に響いた。自分のことも、他者や世の中のことも、複雑なまま受け入れられたらと思う。きっと簡単なことではないけれど。
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