博士の長靴 の商品レビュー
季節が移り変わるように、丁寧に紡がれていく連作短編小説。 そこには家族があり、一人ひとりの人生がある。 降ったり晴れたり、天候の変動のような心の動きが、日々の暮らしの種を育て未来へと繋げていく。 そよかぜに乗ってそれをそっと見守るような、優しい読書体験でした。 人生には、天...
季節が移り変わるように、丁寧に紡がれていく連作短編小説。 そこには家族があり、一人ひとりの人生がある。 降ったり晴れたり、天候の変動のような心の動きが、日々の暮らしの種を育て未来へと繋げていく。 そよかぜに乗ってそれをそっと見守るような、優しい読書体験でした。 人生には、天気のように自分の力では変えることができないものに見舞われることがあるけれど、のちに光を得るならば、雨は虹の元となる。 種がこぼれ落ちるなら、雨は成長の糧となる。 きっと、天を見ても地を見ても、私たちには気づきがある。 天使の梯子のように、一筋の光が射すような物語です。
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ポプラブッククラブの2月の配本でした、 発売前に読ませてもらいました。 装丁も、モチーフに気象マークが使われていて、オシャレ。 気象学の研究者と、それを取り巻く家族(4世代)の物語。 研究者って、研究以外のことには無頓着な人が多いけど、まさに。 同じ瀧羽さんの左京区シリーズのたっくんを思い出しました。 ずっと空をみていて、空以外に興味がない先生。 そんな先生に家族は振り回されます。 でも、この不器用さが、最初と最後につながるんです。素敵なプレゼントで。 「役に立つかどうかを基準にものを考えるのって、研究者としてどうなんだろう」 「人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかないんだって」 天気はコントロールできないけれど、知ることで備えはできる。 自然災害が増えてきた現代へのメッセージも込められていました。
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