流浪の月 の商品レビュー
小児性愛という単純なものではなく、単純と言っていいのか分からないけれど、第二次性徴が来ない文くんが、自分を安心させるために、また、信じ込ませるために、小さい女の子をかわいいと思うのが切なかった。文くんは、刑を終えてから実家で、どんな生活を送ってきたんだろうと考えるとしんどいし、お...
小児性愛という単純なものではなく、単純と言っていいのか分からないけれど、第二次性徴が来ない文くんが、自分を安心させるために、また、信じ込ませるために、小さい女の子をかわいいと思うのが切なかった。文くんは、刑を終えてから実家で、どんな生活を送ってきたんだろうと考えるとしんどいし、お母さんも相当な教育者だったろうから、冷たい目をしていたのかな。 でも店の名前が更紗っていうのが最後に分かって良かったなぁ。 更紗のお母さんは最後まで出てこなかったけど、今何してるんだろう。読み始めた時から嫌な予感してたけど、お父さんが死ぬ前も、更紗はお母さんというより、お父さんの恋人という感じが強かった。子供は愛の結晶って言うけど、更紗のお母さんにとって、更紗はどんな存在だったのだろう。もし、亡くなったのがお父さんじゃなく、お母さんだったら、お父さんは更紗と二人で平穏に暮らしたのかな。お父さんとお母さんはやばい人という認識だってけど、すごく自由な家庭でいいなと思った。私獅子は、別に厳しい家庭とかじゃないし、アイスも夕ご飯にしてもいいなと思っちゃうけど、世間ではそれは一般的ではなく、更紗にとっては特別なものだったのかなと思う。 表紙も気になった。更紗が食べてたのは、バニラのアイスだけど表紙はいちごのアイス。私には、バニラの白色が少し濁って赤になる。お父さんとお母さんが居なくなってからの更紗の心を表したものではないのかなと勝手に解釈した。 まじで、叔母の中二の息子キモいし、死ねばいと思った。あいつこそ、異常者。小4の更紗に手を出すのキモすぎ。まじで、刑務所にぶち込まれればいいのに。 動物園で見つかって、更紗がカウンセラーさんに尋問を受けた時に本当は叔母の息子に触られていたんですって言えたら、また違かったのかなと思う。更紗の認識も文が「救い出してくれた」といっていたのが、すごく印象に残った。 警察官に叔母の息子のこと言った後、何か叔母息子について言及がなかったので、どうなったかは分からないのがむかつく。 文くんが更紗のことを性的に見ていなかったし、触られもしなかった。だけど、世間から見れば女児誘拐事件だということを何度も何度も突きつけられて、起こったことは当事者にしか分からないし、事実と真実は違うのだと突きつけられた。まぁそれがこの本の最大のテーマなのだと思った。 何を言っても、更紗は加害者に夢を見てる変人扱いされてるし、これこそ「やばい人」という認識になってしまっていたのも、最初の伏線だったのではと思うと凪良ゆう先生スゴすぎる。本気で言っても、可哀想な人としてしか見られないのって、めっちゃ辛いんだろうな。何を言っても、善意で病気みたいに されるのって想像出来ないつらさがあるし、そりゃあ何言っても無駄かってなっちゃう。 だから、最後まで二人の世界が侵されて閉まったら色々な場所に逃げなきゃいけない。けど、2人が世間に何も言われず、事件のことを完全に忘れ去られることは無いけど、二人の世界に誰も邪魔をされずに生きていって欲しいと思った。
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やっぱり凪良ゆうさんの作品はとても読みやすい。言葉が優しい。すーっと心の中に自然に入ってきて、たちまち凪良ゆうの世界観に浸れてしまう。あっという間に読了。 事実と真実は違う、悪意なく人は真実ではなく事実を誤った真実とみなしてしまうことは日常生活の中でもよくあって、きっと自分もそう...
やっぱり凪良ゆうさんの作品はとても読みやすい。言葉が優しい。すーっと心の中に自然に入ってきて、たちまち凪良ゆうの世界観に浸れてしまう。あっという間に読了。 事実と真実は違う、悪意なく人は真実ではなく事実を誤った真実とみなしてしまうことは日常生活の中でもよくあって、きっと自分もそうしてしまってるんだろうなと思った。立場が違うとどうしても生じてしまうことだから、仕方ないことだとは思うけれど、こうだ!と決めつけて物事をみることはやめて、ちょっと視点を変えて、人の意見に耳を傾けることを少し意識するだけでも、また違う真実が見えてくるのだろうと思った。なにわともあれ、最後は幸せな未来が想像出来る終わり方で心がほっこりして良かった。
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人の「優しさ」で、「良かれと思って」、「普通」を押し付けること、それは時に刃であり暴力であるということに気付かされ、自分は今までどれだけの人にやってしまっただろうと考えさせられたし、「普通」 って厄介だなと感じた。そっとしておく、ほっておくこと、それが時に優しさになるという事も頭...
人の「優しさ」で、「良かれと思って」、「普通」を押し付けること、それは時に刃であり暴力であるということに気付かされ、自分は今までどれだけの人にやってしまっただろうと考えさせられたし、「普通」 って厄介だなと感じた。そっとしておく、ほっておくこと、それが時に優しさになるという事も頭に入れてとこうと思った。 この本のテーマであろう、事実と真実は違う、っていうのは話が進む事にほんとにそうだなーって感じたし、同じ出来事も当事者と第三者とではまるで違って見えることを再確認させられた。SNSが発達してる今、余計違う見え方してることも沢山あるんだろうなと感じて何が正解か、間違いか、なんて判断が怖いと感じた。おもしろかった!
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性暴力、小児性愛、孤児、毒親、つらい場面も多くあった。性暴力に遭.いながら本当のことを伝えられない、理解できないけどそのくらいつらいのだろうなと。どうなるんだろう、というおもしろさで一気に読み進められたエンタメ。
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暴力的な「普通」と「心遣い」、本当の優しさ、思うことがたくさん胸に残って離れない。 読んだ人はみなきっと、「じぶんは心優しい人を鈍感さで傷つけて生きていないか?」と自省してしまうような、自分の視界を考える機会になるような、素敵な作品。
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自分の中の秘密は自分だけのもので、それを受け入れるかどうかも自分だけのものだ。ありのままで人と関わることの難しさと、ありのまま受け止めることのままならなさ、心の自由があることの素晴らしさを感じた。どんな場所にいようと、どんな人として生きようと人はみな孤独だけど、孤独なもの同士だか...
自分の中の秘密は自分だけのもので、それを受け入れるかどうかも自分だけのものだ。ありのままで人と関わることの難しさと、ありのまま受け止めることのままならなさ、心の自由があることの素晴らしさを感じた。どんな場所にいようと、どんな人として生きようと人はみな孤独だけど、孤独なもの同士だから共に生きていけるのだ。誰かと互いの重さを支え合いたい。2人が自由な心を損なわずに生きていける世の中でありますように。
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切なく儚く深い愛の物語だった。 更紗がどうしてこんなに酷い目に合わなければならないのか、また、一つの事件で人格、性格までもが周りの人々によって判断されてしまうことの恐ろしさを痛感した。更紗と文がずっとずっと幸せであることを心から願いたくなりました。
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本屋大賞受賞作と聞いて買った一冊。 誘拐事件で加害者と被害者とされた男女の話。 事実と真実はちがう。 まさにこの言葉が合っている話でした。 本当の事は当事者しかわからないし、周りの人達はそれを理解しようとしない。 たぶん現実の世界でもそんな事が沢山あるのだろうと思う。 ...
本屋大賞受賞作と聞いて買った一冊。 誘拐事件で加害者と被害者とされた男女の話。 事実と真実はちがう。 まさにこの言葉が合っている話でした。 本当の事は当事者しかわからないし、周りの人達はそれを理解しようとしない。 たぶん現実の世界でもそんな事が沢山あるのだろうと思う。 自分の買った本には裏表紙に 文と更紗 ふたりが楽に生きられる世界であるようにと願って書きました。 と書いてあった。 本当にそう思うが、残念ながら今の世の中正義だ、正しい事だと言って相手の事を考えずすぐSNSなどですぐ写真や動画をあげる人達が多いから、楽に生きられる世界はだんだんなくなってると感じた小説でした。
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「彼が本当に悪だったのかどうかは、彼と彼女にしかわからない」(p.333) すごく深い作品だった。現代社会に密接に関係している内容だったと思う。映画も観賞しました。作品の中の登場人物の印象は、映画でもかなり再現されていたように感じた。 タイトルの「流浪の月」にもある"...
「彼が本当に悪だったのかどうかは、彼と彼女にしかわからない」(p.333) すごく深い作品だった。現代社会に密接に関係している内容だったと思う。映画も観賞しました。作品の中の登場人物の印象は、映画でもかなり再現されていたように感じた。 タイトルの「流浪の月」にもある"流浪"という言葉。まさしく、この作品の中に出てくる登場人物たちは誰しも"流浪"の渦中にある。彼らの感情、個性を自分なりに感じながら物語を楽しみ、とても考えさせられました。
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