永遠についての証明 の商品レビュー
書籍に関して「誰が書くか」にはあまり頓着がなく、『楽園の犬』のついでとして買った本作だった。しかし読み終わって後書きを読んで初めて「これが岩井圭也という作家のデビュー作なのか」と驚嘆した。自分と同じ年代の人間が、デビュー作でこれを書けるのか。あまりに驚いて、中身についての感想を書...
書籍に関して「誰が書くか」にはあまり頓着がなく、『楽園の犬』のついでとして買った本作だった。しかし読み終わって後書きを読んで初めて「これが岩井圭也という作家のデビュー作なのか」と驚嘆した。自分と同じ年代の人間が、デビュー作でこれを書けるのか。あまりに驚いて、中身についての感想を書く余裕がなくなってしまった。引き込まれて、あっという間に読み終わってしまった。
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こちらも前回の読書会でお借りしてきた。岩井圭也作品は楽園の犬に続いて2作目だが、こちらはデビュー作だそう。 物語は、6年前に早逝した天才的数覚をもつ三ツ矢暸司が残した「コラッツ予想の証明に成功した」とされるノートからはじまる。 彼とは大学入学からの友人であり、今や30代半ばにし...
こちらも前回の読書会でお借りしてきた。岩井圭也作品は楽園の犬に続いて2作目だが、こちらはデビュー作だそう。 物語は、6年前に早逝した天才的数覚をもつ三ツ矢暸司が残した「コラッツ予想の証明に成功した」とされるノートからはじまる。 彼とは大学入学からの友人であり、今や30代半ばにして母校の准教授に就任した数学者熊沢勇一の、時系列で現在の視点と、大学入学から病死する直前までの三ツ矢暸司の視点、交互に進んでいくストーリー。 面白かった。 読んでいて、「哲学的な何か、あと数学とか」を思い出した。 あと、短絡的だけど、ラマヌジャンみたいだなとも思った。 真理の追求は、時に人を蝕む。 自分の中に絶対的な軸があって、それを外の世界へ持ち込むことなく、外側は外側として折り合いがつけられるような器用な人間なら、こんな風にはならないのだろう。 そう言う意味では佐那は自分の軸をしっかり持って外側との折り合いをつけられている稀有なキャラクター。 熊沢の、暸司に対する気持ちもわかる。 自分に見えていない何か、 たぶん正しく美しい何かを見ている友人に嫉妬し、その堕ちていくさまに溜飲を下げてしまう気持ち…。 そこにもう少し早く自覚的であれたら、もう少し外側から俯瞰できていれば、 ちょっとは変わったのかもしれない。 その俯瞰するための時間が暸司が亡くなってから6年必要だったのか。 真理の追求は信仰に近いと思う。 それぞれが持つ相対的な何かではなく、絶対的な真理…そんなものがあるのかはわからないけど、それを追い求められる才能や才覚がもてるならそれは幸せなことなのかな。 読後、漠然とそんな問いが残った。
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初読みの作者さん。フォローしている方のレビューを読んで、数学者たちのお話というのに惹かれて買ってきた。 数学は得意ではなかったが、今でも新聞に入試の問題が載ったりすると、ちょっと覗いてみたくはなる。 大学の数学科に特別推薦生として同期で入学した瞭司と熊沢と佐那。主に瞭司と熊沢そ...
初読みの作者さん。フォローしている方のレビューを読んで、数学者たちのお話というのに惹かれて買ってきた。 数学は得意ではなかったが、今でも新聞に入試の問題が載ったりすると、ちょっと覗いてみたくはなる。 大学の数学科に特別推薦生として同期で入学した瞭司と熊沢と佐那。主に瞭司と熊沢それぞれの視点で語られる、彼らの過去と現在。 コラッツ予想にリーマン予想、群論だとかムーンシャインの一般化だとかWikipediaの説明を読んでもさっぱり理解できないが、そんなことは関係なく、面白く読むことが出来る。 とりわけ、圧倒的な〈数覚〉に恵まれた瞭司の天才ぶりと、それに惹きつけられた熊沢と佐那が共同研究で結びついていく前半は、彼らの幸せな時期の様子が描かれて好ましい。 一方、それぞれが自分の道を見出しその関係性が崩れていくようになる後半は、そこから引き起こされる瞭司の孤独、その繊細さや脆さも分からないでもないが、アルコールに溺れていくところがかなり苦々しく、破滅型の天才という絵柄は今どきあまり読みたくなかった。 それでも終章、熊沢が見た景色は瞭司の魂とのつながりを感じさせ、佐那が教えた少年の登場も連綿と続く“知”のつながりを思わせて、素敵な終わり方だったと思った。
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「数学することの喜び、興奮」をあまり感じたことがないからなのか、「自然の根底にある数学的真理とのつながり」という大きなテーマ「真理」が最後まで具体的にイメージ出来ず残念。「証拠もなく疑念を抱いている相手には弁解のしようがない」「問題を解くことに挫折はない」「数覚」に恵まれていなが...
「数学することの喜び、興奮」をあまり感じたことがないからなのか、「自然の根底にある数学的真理とのつながり」という大きなテーマ「真理」が最後まで具体的にイメージ出来ず残念。「証拠もなく疑念を抱いている相手には弁解のしようがない」「問題を解くことに挫折はない」「数覚」に恵まれていながら破滅していくのは、挫折ではないんだろうなぁ。やりきれない思い残る。
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私は全くの文系人間なので、数学の世界は全くわからないけど、数学の天才、数覚のある人の見ている世界を想像させてもらえた。 ある種の天才がたどる、天才が故の孤独と狂気。 そういう人に畏怖の念を抱いてしまう。 天才は幸せなのか、とかそういう次元の問題じゃなくて、それはもう宿命なんだろう...
私は全くの文系人間なので、数学の世界は全くわからないけど、数学の天才、数覚のある人の見ている世界を想像させてもらえた。 ある種の天才がたどる、天才が故の孤独と狂気。 そういう人に畏怖の念を抱いてしまう。 天才は幸せなのか、とかそういう次元の問題じゃなくて、それはもう宿命なんだろう。
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稀有な数学センスを持つがゆえの孤独。 ようやく得た理解者と、その繋がりへの執着。 それらを抱えながら、転がるように落ちていく過程が痛ましい。 選ばれし者のみが見ることができる美しい世界、素晴らしかった。
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下手に感想を述べたくないくらいに好きな本。 文体、内容、読んでいる時の心地と肌感覚……何から何まで至高です。是非、というか絶対に読んでほしい、としか言えないです。
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数学というのは‥ 雲を、雪を、そして森までを式で表せるのか! そういう世界を見られるというのは、とても興奮する、きっと幸福な世界なのだろう ひとがその天才的な能力を持つとき、世渡りの術とか、生活力とかいう この世を生きていく力を併せ持てない事が多いのかも知れない その結果の...
数学というのは‥ 雲を、雪を、そして森までを式で表せるのか! そういう世界を見られるというのは、とても興奮する、きっと幸福な世界なのだろう ひとがその天才的な能力を持つとき、世渡りの術とか、生活力とかいう この世を生きていく力を併せ持てない事が多いのかも知れない その結果の孤独 嫉妬もされるだろう 数学の(真理というのか)本質は、すでにずーっと この世に存在しており、それをいかにみつけるか、完璧に式に表すか、という事らしい 今まで見えていなかった、新たな世界を発見するのが天才 そして天才の持つ能力を、その発見した事を とてつもない能力であり 発見であると理解して世に広める能力を持つ人々がいて そんな数学の世界を生きる 数学者たちのものがたり
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