ブラックボックス の商品レビュー
ずっと遠くに行きたいと思っていた。今もそのように思っている。 遠くっていうのは、想像もできないような未来?のような気がした そういう自分には分からないが自分にとっての理想の未来のようなものを漠然と求めつつも、それがどれくらいの努力とか苦労の先にあるのか分からないのが苦しい だ...
ずっと遠くに行きたいと思っていた。今もそのように思っている。 遠くっていうのは、想像もできないような未来?のような気がした そういう自分には分からないが自分にとっての理想の未来のようなものを漠然と求めつつも、それがどれくらいの努力とか苦労の先にあるのか分からないのが苦しい だから、タスクを積み重ねた先のゴール? 制度のように決まった分かりやすい未来があるのは生きやすいという気持ちにもなる でも、結局は自分がどちらを求めているのか分からないような、どちらに向かっていくのが正解なのか分からないような、若い世代の途方もない悩みを表しているように感じた
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芥川賞受賞作なので、読みました。 こういう感じ、苦手です。 自転車の宅配?をしているサクマ。 実家から遠くに行きたくて、自衛隊に入り、2年でやめて、不動産営業も1年でやめて、その後も、職を転々とする。コンビニのバイトで知り合った円佳と同棲中。 ぷつっと切れると、暴力的になり、学生の頃も、仕事をしてからも、長続きしない。 円佳の妊娠がわかり、先のことを考えなきゃというタイミングで、税務署から税金未納の督促が来る。税務官の1人の不敵な笑みに腹を立て、暴力を振るう。止めに入った警察官にもケガを負わす。 そして、刑務所へ。 刑務所でも、ケンカして、罰を与えられる。 そこで、自分と向き合い… すこ~し、我慢を覚えたのかな…。
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芥川賞受賞作品。 現代の20代の人達によくある風刺みたいな主人公。自分も40代後半になってきて、振り返ってみればそんな時期もあったなと感じる。 咄嗟に「怒り」の感情が理性では押さえきれなくなり、周りに迷惑かける事などはよくあった。 自分のルールと世間のルールのズレを感じていたのだ...
芥川賞受賞作品。 現代の20代の人達によくある風刺みたいな主人公。自分も40代後半になってきて、振り返ってみればそんな時期もあったなと感じる。 咄嗟に「怒り」の感情が理性では押さえきれなくなり、周りに迷惑かける事などはよくあった。 自分のルールと世間のルールのズレを感じていたのだが、そんなのは自分の我儘に似た傲慢さだった。若い頃には気付かないでいた。今にして思えば笑えるのだが、当時はそんな風な未来がくるとは考えてもいなかった。 「遠くに行きたかった」 作中サクマは何度も言う。 似た感じで自分の場合は認められたかった。世間にも親にも職場にも仲間にも。 自分が一人立ちして生きていける力をつけて、誰もにも認めてもらいたかった。 だけど今にして思えば、周りにいた人達に支えられながら導かれながら、今の自分があるような気がしている。感謝でいっぱい。 年を取り、今度は自分がそっちの番だ。 行き詰まる若い子達にどれだけ手を差しのべてあげられるか。 道を示してあげられるか? 支えてあげられるか? この作品を読んで一層強く今後の自分の取るべき行動言動について考えた。
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前半と後半で、唐突に世界が変わる。少しの間、戸惑って、あれ?私は何かを読み落とした?と思いながら、読み進める。 そして、そうなってしまった理由が分かってくると、何とも言えない気持ちになる。 サクマに共感できるわけでがないが、焦りや不安は、自分にも思い当たることがあるから、身につ...
前半と後半で、唐突に世界が変わる。少しの間、戸惑って、あれ?私は何かを読み落とした?と思いながら、読み進める。 そして、そうなってしまった理由が分かってくると、何とも言えない気持ちになる。 サクマに共感できるわけでがないが、焦りや不安は、自分にも思い当たることがあるから、身につまされる。 『自分は遠くに行きたいと願いながら、一方で制度を求めていた』 こういう、一見矛盾した気持ちって、サクマだけでなく、多くの人が持っているのではないかな。
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どこに向かって行けばいいのだろう。 何のために頑張るというのだろう。 いつまでこんな日々が続くのだろう。 主人公サクマのそんな心の声が聞こえてくるようだ。 辛いことがあっても我慢したり頑張ったりできるのは、守るべき存在、大切な存在があるからだ。 それがないと、我慢だってできないし頑張れない。 主人公のサクマには、そういった存在がない。 親や周りの人たちから十分な愛情を受けられなかったのかもしれない。 とりあえず生きる。目先の欲望だけ満たされればそれでいい。 しかし、本当はこのままではいけないとも思っている。 自分自身への怒りや憤り、焦りがある。 だから何も考えず自転車で走っているときは心地いいのだろうな。 そして抱えていた怒りがついに爆発してしまう。 どこか遠くに行きたかったのに、行けなくなってしまった。 そんな刑務所での生活は、自由とは対極にあるはずなのに、サクマはやっと解放されたように感じた。 出所というゴールが見えたから。頑張る理由ができたから。 …なんか、せつないな。 人生にはゴールなんてない。 日々同じループを繰り返しながら、進んだり戻ったりしながら、少しずつ変化していく。 みんなブラックボックスを抱えながら生きているんだ。 サクマが新たなスタートを迎えられる日が来ますように。
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おもしろい。おもしろいのだけれど、芥川賞ってどういうことかはわからなかった。描写の上手さ、心情も情景も。そこには無駄がない。
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ドライな感じの文章がなかなか良い感じで始まり、興味の沸く展開でしたが…。 ある場所に展開が変わってからは、『んー、なんだか…』って感じで少々残念に(勝手ながら)。 しかし、今度は『小隊』を読んでみたい
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面白かった。 前半どういうところに繋がっていくんだろうって気持ちで読み進めていって、一転して刑務所に場所が移る。 大団円とは程遠い終わり方だと感じたけど、なぜか読んでいてものすごく気分が盛り上がるし、衝動が抑えきれない主人公に対して、何か面白いものを期待しながら読んでしまう、...
面白かった。 前半どういうところに繋がっていくんだろうって気持ちで読み進めていって、一転して刑務所に場所が移る。 大団円とは程遠い終わり方だと感じたけど、なぜか読んでいてものすごく気分が盛り上がるし、衝動が抑えきれない主人公に対して、何か面白いものを期待しながら読んでしまう、暴れ狂っている主人公は見ていて爽快な気持ちになる。 彼の生き方は間違っていたのか。 それとも、彼のような生き方が世の中ではむしろ必要なんじゃないか、彼のような暴力性がないと、物語が始まらないんじゃないかって気がしてくる。 ぶん殴りたい奴はね、ぶん殴ってやればいい。 手紙のお返事も書かずに物語は終わる。 どこへ向かっていくの…余裕のない心理描写が中心になってくるというか、それが物語には欠かせない要素なのかもしれないけど、芥川賞獲るような作品って何か振り切ったとんでもないエネルギーの塊みたいに感じるし、私のような教養のない人間でも十分楽しめる。 ありがとうございました。 最高。
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この物語の中で、何度も出てくるフレーズ「ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている」と、「ちゃんと生きると言うこと」。 主人公は湧き上がる怒りの感情を抑えられず、それが原因での失敗を何度も繰り返す。誰かのために何かをするタイプでもなく、自分の生活を満足させるための努力をするわけでもない、今出来ることの中から無難なものを選んで、なんとなく生活しているような。本人の中ではそれで良しとは思っていないのだけれど、だからと言って変わるために何か、という風でもない。 おそらくその微妙な、俗に言う「ちゃんと生きるということ」と自分の差が、本人の中でフラストレーションになっているのかな。 「ずっと遠くに行きたかった」と思うのは、本当は、変わりたいと思う気持ちが底にあるからなのかなとわたしは思った。 ずっと暗く、恨み節を聞かされているような重たい空気だったけれども、後半になり刑務所の中での場面では、考える時間が増え、毎日変わらない規律の中で自分を振り返り、終盤ではほんの僅か、明るい方へ顔を向けたように思えた。 芥川賞受賞作、と言うのは実はあまり読まない。元々ミステリばかり読んでいると言うのもあるけれど、読後感というか、なんだかどよーんとした澱みたいなものが自分の中に生まれて、どうにも心地が良くないことが多いから。 だけどもそれはつまり、物語に引っ張られて、普段の自分では考えなかったことについて、深く考えさせられていると言うことなのかも知れない。
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スタートはチャリンコ(って言っては怒られるかもしれない)のメッセンジャーがベンツに左折で巻き込まれそうになって転倒するシーンから始まるから、後半の展開は予想できず、これはこれで面白かった。ただなぁ、なんというのかいわゆる恨み節のようなストーリーなんで、楽しくはない。でも最後のペー...
スタートはチャリンコ(って言っては怒られるかもしれない)のメッセンジャーがベンツに左折で巻き込まれそうになって転倒するシーンから始まるから、後半の展開は予想できず、これはこれで面白かった。ただなぁ、なんというのかいわゆる恨み節のようなストーリーなんで、楽しくはない。でも最後のページで何か光が差しそうな感じのことを言っていたのだろうか? 読解力がそこまでなくて、よく分からなかったのは残念…
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