ブラックボックス の商品レビュー
読んでいて「ケーキの切れない非行少年たち」が頭をよぎった。 メッセンジャーとして働くサクマ。 どの職も長続きせず、なんとか続いたのがメッセンジャーとしての仕事。仕事仲間と話すこともできるし、生活のために働かなければという思考回路もある。それでも他人とはどこかズレていて、表面的で...
読んでいて「ケーキの切れない非行少年たち」が頭をよぎった。 メッセンジャーとして働くサクマ。 どの職も長続きせず、なんとか続いたのがメッセンジャーとしての仕事。仕事仲間と話すこともできるし、生活のために働かなければという思考回路もある。それでも他人とはどこかズレていて、表面的であっても他人を理解することができなくて、衝動的な行動にも出てしまって…なんだか苦しかった。 「ケーキの〜」を読んだことにより、本人が全て悪いとも思えないのだ。
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暴力的なんだけれども文章にするととっても共感出来てしまうのは、多分自分の頭の中では繰り広げられている光景だからかもしれません。いけ好かない上司、弱いものに食ってかかるコンビニ客、理不尽ないじめをするやつ。頭の中ではボコボコにしたり悪態をついたりしています。でも実生活では全然そんな...
暴力的なんだけれども文章にするととっても共感出来てしまうのは、多分自分の頭の中では繰り広げられている光景だからかもしれません。いけ好かない上司、弱いものに食ってかかるコンビニ客、理不尽ないじめをするやつ。頭の中ではボコボコにしたり悪態をついたりしています。でも実生活では全然そんなことできないし、当然しない。自分だって誰かの頭の中ではボコボコにされているかもしれない。全てはブラックボックスなんですよね。
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芥川賞受賞の割には終わりがめっちゃモヤモヤしてるわけでもなく、読みやすかったと思う。 私にはそれが良かった。 読み始めた時に、自転車の用語がかなり出てきて状況の把握ができなかったが、そこを超えたらやっと物語が掴めてきた。 途中で急に場面が変わったところは戸惑ったし、それがあまりな...
芥川賞受賞の割には終わりがめっちゃモヤモヤしてるわけでもなく、読みやすかったと思う。 私にはそれが良かった。 読み始めた時に、自転車の用語がかなり出てきて状況の把握ができなかったが、そこを超えたらやっと物語が掴めてきた。 途中で急に場面が変わったところは戸惑ったし、それがあまりない展開だったので意外だった。
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心の空虚感を表現するのが上手いと感じた。 自分の衝動を抑えられないことも、自分に嘘をつくことなのか。 もう一度読みたい。
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主人公目線で話が続く。わからない用語が多かった。淡々として割と真面目に感じていたけど突然怒りが湧き起こり自制が効かず暴力を振るう。その後反省せずなすべき事をしない。情があるのかないのか分からない。でもこんな人いるよなぁ。(近しい周りにいないけど世の中には)
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主人公の目線で語られる1人語り調の回顧録。 メッセンジャーの仕事、刑務所内の生活にリアリティーを感じたが、結局主人公の心情の変化など、何を伝えたかったのかがわかりづらかった。
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第166回芥川賞受賞2022年 自分の感情を止められない若者の話。彼はこの先、どういきていくのだろうか。
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自転車に乗って顧客の重要書類を運ぶ「メッセンジャー」のアルバイトしている二十代のサクマ。些細な契機でコントロール不能な怒りの衝動に駆られることが多々あり、そのせいで仕事を転々とせざるを得ない生活だった。ある日アルバイト中に自動車と接触事故を起こし、それを機に自分はいつまでこの生...
自転車に乗って顧客の重要書類を運ぶ「メッセンジャー」のアルバイトしている二十代のサクマ。些細な契機でコントロール不能な怒りの衝動に駆られることが多々あり、そのせいで仕事を転々とせざるを得ない生活だった。ある日アルバイト中に自動車と接触事故を起こし、それを機に自分はいつまでこの生活を続けるのだろうと思いを馳せ、焦燥感に襲われる。その一方で、相変わらず前触れなく湧き起こる暴力的な衝動を抑えることはできず、次第に追い詰められていく。芥川賞受賞作。 読み始めてすぐ、間違えた、と思った。まず冒頭カタカナの自転車用語が連続的に出てきて意味がわからない。そもそも自転車関連の用語であるということすらもしばらく気付けなかった。いきなり何の話?完全に置いてけぼりを喰らった。そして文章。力みすぎていて、他にはない唯一無二の文章を書こうとするあまり聞き慣れない単語を無理に使おうとしているような独りよがりな文章に見えて、引いてしまった。もちろん、こういう文章をかっこいいと感じる人もいると思う。気合い入ってて、疾走感あっていいじゃん、と。わたしには合わなかったというだけのこと。 小説は、自分には書けない美しい文章に圧倒されたくて、想像力を掻き立てる洗練された言葉の連なりの中に埋没していきたくて、読む。だから文章を苦手と感じてしまった時点で、ストーリーに入り込むことも難しくなった。今のわたしが、人生を憂い、荒んだ二十代男性の心情や好意を理解しようとすること自体がナンセンスなのかもしれないし、サクマと同じ年代の頃に読んでいたら、内容に対する感じ方も違っていたかもしれないけれど、んー、でもやっぱり、怒りの衝動を抑えられず誰彼構わず暴力を振るうというのは経験がないし、人生このままでいいんだろうかと悩みながら目を逸らして何も行動を起こさないという自己破壊的な生き方も理解できないし、そういう友達もいないし、やっぱり若い頃に読んでいても同じ感想に行き着くような気もする。第一、若い男性が主人公でおもしろかったと思う小説はいくらでもあるわけで、やっぱり作者との相性の問題だろうなあと思う。 今のわたしは、本屋大賞と同じように芥川賞関係の本も合わないらしい。川上未映子『わたくし率〜』(候補作)、宇佐美りん『推し、燃ゆ』、羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』などなど、わりと好きになれないものが多い。安部公房『壁』は好きだったな。これから受賞作を読むなら直木賞にしよう。そして芥川賞が気になるなら文藝春秋を買って読もう。自分のこの好き嫌いが年齢を重ねてどう変わっていくかが少し楽しみ。
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何をすれば良いか決まっている方が生きやすい。 感情の暴発は、抑えられないのではなくて、抑えなくて良いと心の奥底では思っているから表に出てしまう。 暴発した後に耐え難い苦痛があると実感したら、抑えられるようになる。 暴発してしまうのは、止める気が無いだけ。 ちゃんとする...
何をすれば良いか決まっている方が生きやすい。 感情の暴発は、抑えられないのではなくて、抑えなくて良いと心の奥底では思っているから表に出てしまう。 暴発した後に耐え難い苦痛があると実感したら、抑えられるようになる。 暴発してしまうのは、止める気が無いだけ。 ちゃんとするのは難しい。 「ちゃんと」の定義が決まっていないから。 大人であれば当たり前だけど、生活の全てを自分の責任で決めるのはつらい事だ。 何となく、「ちゃんと」出来ていないと思ってしまうから。 出来ている事はたくさんあるのに、出来ていない事ばかりに目がいって、いたずらに不安に駆られてしまう。 生きるためのガイドラインがあって、こうしなさいと日々のタスクが決まっていれば、こなしただけ成果が実感できる。 成果が実感できれば、「ちゃんと」している実感も湧く。 自分と正面から向き合って、ありのままの自分を受け入れる事で成長できる。 幸せに生きるという事は、きちんと自分と向き合って、「ちゃんとできている」を実感しながら生きる事ではないかと思った。 このために茶道や武道などの「道」があるのだと気付いた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「ずっと遠くへ行きたかった」 『何処へ』かも分からず、ただ遠くに行きたい。 『逃げたい』わけではない。 いや、周りから見たら現実から逃げてるように見えるんだろうが、逃げずに済むなら、その方が人生を全うに生きれることなんて分かりきっている。 どうすれば周りの『普通の人』のように生きれるのだろう。 でも周りと同じことはしたくない。 それっぽく振る舞うことはできる…はず。 いや、周りから陰で「あの人変な人だよね?」って言われてるかもしれない。 本当なら幸せを求めて人生を謳歌したいはずなのに、不器用な人間はその表現方法に戸惑い、誤った結果を導いてしまう。 こんなはずじゃなかった…、と。 暴力とか詐欺とか、或いは殺人など、それらは立派な犯罪であることは誰でも知ってるし理解してる。 大抵の人間は、他者に対して殺意や悪意を抱いたとしても、「警察に捕まったらどうしよう?」「裁判沙汰になったらどうしよう?」「刑務所なんか行きたくない」「将来の自分のキャリアに傷がつく」など、自己防衛の為に、そんな犯罪行為を実行に移すことはしない。 だがサクマのような、不器用で無愛想な人間は、一度暴発した感情をコントロールする方法を知らないし分からない。 「暴力はいけません」なんてことは幼稚園児でも分かってる。 「じゃあそれでも暴力したくなったらどうすればいいの?」という問いには誰にも答えられない。 人はそんなに簡単には変われない。 暴発する感情をコントロールできない、もしくはしたくない時だってある。 そしてサクマは刑務所に行ってから気付く。 自分の人生は、刑務所の生活と何が違うのか。 または何が違わないのか。 むしろ刑務所での生活のほうが人間らしい生活ができてるのではないか。 テレビの裏側を覗くと、埃っぽくて、ぐちゃぐちゃに絡まったコード群がいる。 本当は綺麗に掃除して整理して直した方が良いんだろうけど、見なかったことにして、また明日を迎える。 でも、一気に掃除するのは無理でも、ちょっとずつなら出来るかもしれない。 明日は少しだけ頑張ってみようか。
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