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ブラックボックス の商品レビュー

3.3

211件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    62

  3. 3つ

    91

  4. 2つ

    24

  5. 1つ

    6

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2022/06/07

コロナ以降の状況を反映した今どきの作品だが、描かれる若者の心情は割と普遍的なものを扱っていると思う。漠然とした将来への不安や、現状に対する閉塞感、どこか遠くへ行きたい気持ちなど、ありきたりな若者のありきたりな心情を具体的に捉えて良く描写されていると感じた。

Posted byブクログ

2022/06/04

この本を読み進めていて、主人公に共感することは中々ないし、不快感を持つことさえでてきます。 一方で、これを拒否したくなるということは、潜在的に自分にもそういった意識があるのかもしれないという思いも浮かんできます。だからこそ気持ちが悪いのだと。 最後の場面では主人公は大きな代償を...

この本を読み進めていて、主人公に共感することは中々ないし、不快感を持つことさえでてきます。 一方で、これを拒否したくなるということは、潜在的に自分にもそういった意識があるのかもしれないという思いも浮かんできます。だからこそ気持ちが悪いのだと。 最後の場面では主人公は大きな代償を払ったものの、人生に希望を見つけました。最後の方の描写、主人公の感情も明らかに変化が見られました。 主人公の行動や許されない行為は置いておいて、私はこの本を読み終えたときに爽やかな気持ちになることができました。

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2022/06/04

良くない意味で早く読み終えたい一冊だった。何も読みとれなかった。 不快感と共に吐き気をもよわせる 描写の連続。 作者の自慰行為に付き合ってしまった。

Posted byブクログ

2022/06/01

ずっと遠くに行きたかった 今も行きたいと思っている ちゃんとしたい とは ちゃんと生きたいという主人公の願望であるように感じた。 社会は透けて見えるようで見えない。 自分と社会を隔てる壁の向こうへ行きたくても術がわからずに、孤独と閉塞感に覆われてしまう。 自分を変える事がで...

ずっと遠くに行きたかった 今も行きたいと思っている ちゃんとしたい とは ちゃんと生きたいという主人公の願望であるように感じた。 社会は透けて見えるようで見えない。 自分と社会を隔てる壁の向こうへ行きたくても術がわからずに、孤独と閉塞感に覆われてしまう。 自分を変える事ができずに、社会の変化に取り残されていく。壁をぶち壊したいと望んでも自分の尺度でしか物事を見る事が出来ずに、イラだって、大事な人も、自分自身も破壊してしまっているように思える。

Posted byブクログ

2022/05/30

サクマの思う遠くに行きたいと言う 感じは現実逃避に他ならないが、社会の閉塞感 や若者言えの迷いや焦りが、全て虚無感に 変換されていく。 自転車で過ぎていく都会の風景の描写は リアリティーがあり、都会の喧騒とサクマの 湿った汗の匂いがこちら迄する様で景色がどんどん 変化して行く感じ...

サクマの思う遠くに行きたいと言う 感じは現実逃避に他ならないが、社会の閉塞感 や若者言えの迷いや焦りが、全て虚無感に 変換されていく。 自転車で過ぎていく都会の風景の描写は リアリティーがあり、都会の喧騒とサクマの 湿った汗の匂いがこちら迄する様で景色がどんどん 変化して行く感じも読み手に感じさせる。 サクマが、刑務所で何を感じ何にを得られたのかは 読み手に今度は考える余地を与えたのか。

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2022/05/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

誰でもイライラしていたり気持ちに余裕がないと、人を傷つける発言や行動をしてしまうことがある。 そういう時は人と話したり、趣味でリフレッシュすることで気持ちを整理できると思うが、サクマには気分転換をできる場所も人もいなく、 また何に対しても意欲がなかったことで、常にストレスがかかる環境に身を置いてしまっていたように思う。 「こういう人いるよね」と軽く読み進めていたが、二回読んでふと身近に感じた。 コロナで人に会う回数は激減し、外出も憚られると嫌なことがあっても気持ちの切り替えがしづらい。 サクマのように一見普通の人に見えても、尖った心がふとした瞬間に表に現れやすい人は増えているのではと危惧した。 作品は終始よどんでいたが、唯一カラーを感じたのが、担当刑務官から労いの言葉をかけてもらえたシーン。 終盤で色味が出てやっと息継ぎできた感覚だったが、それと同時に、こういった出来事をサクマが経験するには遅きに失っしていて、房に入る前だったら人生がもう少し彩れたかもしれないのにと悲観した。 ただ、そういった経験があったところで活かせる性分では無かっただろうが、、

Posted byブクログ

2022/05/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川賞受賞作ということで、まずは文芸春秋誌に掲載されていた号の中で読み始めた…なんと、私と共通の趣味のロードバイクを題材としているではないか…都会での雨の中を走る描写であるとか(私は都会、ましてや雨の中などここ数年走ってはいないが…)なかなかに緻密で正確で清々しい描写であり、面白く読み進めると同時に書籍版で読み始めた… ただ、読み進めるうちに、主人公はどうやら私とは年齢も生きている時代も異なる、Z世代とでも言うのか…ロスジェネと表現したら良いか?、「生きづらい時代を、自らの性分でさらに生きづらくしている、出口の見つからない人生、を過ごしている」人物像であるように感じられ、読み始めた時の「さわやかな」感想は、だんだんと私の中で曇っていった… 余談であるが、この作品には「章」なるものが見当たらなかった(ように思う)。私が唯一見つけたそれらしいものは、主人公がいろいろな障壁にぶちあたりながらもせめて社会生活を送っている日々の描写と、それが性急に刑務所の中での生活に切り替わった時の描写、そう、例えて言うなら細い一本の赤い線を隔てて人生が切り替わっていくタイミングでの文中にあった、ひとつの「*(アスタリスク)」マークだけだったように思う… 後半はその赤い線を越えて、それでもなお淡々と生きようとする主人公の自分語りが殆どであり、その赤い線を越えてしまうことが如何にたやすく、如何にその後の苦痛を伴うものであるのか?を私たちに教えてくれているようにも思う。さらに余談だが、後半の淡々とした色のない刑務所内での生活の描写とその部分が占める全体での構成は、かつて読んだジョージ・オーウェル著作「1984年」での表現を思い出させた… 最後はそれなりのかすかな希望、闇の向こうにさす光、をもって書籍は閉じられたように私は感じた。にしても、芥川賞受賞作である。私の無知であるかもしれないが、難読漢字、熟語も多々ある。漢字検索アプリも片手に勉強の意味も込めて読むことができた。作者の今後の新展開、新境地の開拓、に、大いに期待したい。

Posted byブクログ

2022/05/25

主人公のような性格の人はすごく生きづらそうだなと思った。でも、生きづらいみたいなことは全く言ってなくて、ちゃんとしたいちゃんとってなんだと考え続けている様子が印象的だった。芥川賞を取る、主人公に対して共感ができない思考回路不明な小説は結構好き。

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2022/05/25

読了後の爽快感はない。青空よりも、終始景色が灰色がかった流れを感じた。 サクマがメッセンジャーをしていた頃、サクマがロードバイクを漕ぐ時の様子や、行動、思考が時折コマ送りに感じられたり、頭の中で映像が浮かぶような描写があったのが個人的には良かったのかな、と。 アスタリスクの後、突...

読了後の爽快感はない。青空よりも、終始景色が灰色がかった流れを感じた。 サクマがメッセンジャーをしていた頃、サクマがロードバイクを漕ぐ時の様子や、行動、思考が時折コマ送りに感じられたり、頭の中で映像が浮かぶような描写があったのが個人的には良かったのかな、と。 アスタリスクの後、突然場面が変わり、話の流れに順応できずにいたが、読み進めると、ダークな世界へ連れて行ってくれた事に気づく。 サクマは悪いヤツではない気がした。 この本を読まれたら、先ずはサクマの思考を感じてほしい。 ハッピーエンドを期待する人にはオススメしない。

Posted byブクログ

2022/05/22

2021下期芥川賞受賞作 若者の閉塞感と暴力衝動について描かれている。 清々しさ、爽やかさゼロ。どことなく暗いイメージがつきまとう物語。 何をやっても無意味な感じ、突然の暴力への衝動など社会の片隅でもがくサクマのどうしようもない孤独と、虚しい内面がしんみりと伝わってきた。 サ...

2021下期芥川賞受賞作 若者の閉塞感と暴力衝動について描かれている。 清々しさ、爽やかさゼロ。どことなく暗いイメージがつきまとう物語。 何をやっても無意味な感じ、突然の暴力への衝動など社会の片隅でもがくサクマのどうしようもない孤独と、虚しい内面がしんみりと伝わってきた。 サクマは私の勝手な推測だが境界知能なんだろう。生きづらさは想像するしかできないがなんとなくわかる気がする。   本作は前後半できっぱり分かれている。前半は20代後半のサクマが、自転車でものを急いで運ぶ仕事メッセンジャーに励みながら、悶々とする姿を描いている。後半は突然に暴力事件を犯した彼の刑務所ライフだ。 淡々と事実がのっぺりと記されている構成が、サクマが世界とうまく心を通わせられないことを強調している。 働く喜びは皆無。「ずっと遠くに行きたい」と思いながら、社会の歯車としてひたすらに自転車を走らせるだけだ。ただ将来への漠然とした不安。それはまるで膜がはっているような… サクマは私が学生時代に住んでいた近くの三鷹のはずれに住んでいるが、一緒に暮らしている女への愛情は感じられない。そんななかな暴力が噴出する。いわゆるキレて刑務所で暮らすことに。怒りをコントロールできなくて、とっさの感情を抑えられない。 刑務暮らしで自由を奪われ、逆に自分の人生の大切なことに思いをはせる。 この物語後のサクマはどうなるんだろうか。 大げさにいえば、彼の将来は日本で閉塞感や孤独にもがく若者たちの将来なのではないだろうか。 そんなことを思った。

Posted byブクログ