ブラックボックス の商品レビュー
ぴこさんからこの作品にクズが登場するとお聞きし、断然読みたくなったという訳で手にしました。ありがとうございます。 主人公のサクマは高校卒業後、自衛隊、不動産屋と職を転々とし、現在はメッセンジャーとして都内を自転車で走り回っています。非正規とはいえ、サクマはこの仕事が気に入っ...
ぴこさんからこの作品にクズが登場するとお聞きし、断然読みたくなったという訳で手にしました。ありがとうございます。 主人公のサクマは高校卒業後、自衛隊、不動産屋と職を転々とし、現在はメッセンジャーとして都内を自転車で走り回っています。非正規とはいえ、サクマはこの仕事が気に入っているようですが、同棲していた彼女が妊娠したことを機にUber Eatsの仕事も増やします。ただ、彼女としてはもっとちゃんとしてほしかった…そこへ税務署の職員がサクマを訪ねてきて…あれやこれやという間にサクマは受刑者になっており…。 いつもいつも自分を抑えられないサクマ自身…ガマンがきかない若者、というか、キレる若者??なんか、彼女がかわいそうだったりします。出所して彼女のもとに戻っても、いい未来はなさそうな感じがします。
Posted by
時代背景がほぼ現在であり、今の時代を映している問題作なのでしょうか。サクサクと読み進められ、どうしようもない苛々感と悶々とした感情を残したところが、この作品の凄さなのかもしれない。主人公のような人間が、私の知らないところにこの日本にたくさんいそうで、やりきれない想いが残る。普通に...
時代背景がほぼ現在であり、今の時代を映している問題作なのでしょうか。サクサクと読み進められ、どうしようもない苛々感と悶々とした感情を残したところが、この作品の凄さなのかもしれない。主人公のような人間が、私の知らないところにこの日本にたくさんいそうで、やりきれない想いが残る。普通に常識的に生きていくことは、簡単なようで、難しいことなのかもしれない。
Posted by
気が短い男の日常の話。 細かく描写で誤魔化して文字数を増やしているだけ、それを除いたら内容もペラペラ!びっくりするぐらいしょうもない その日暮らしのメッセンジャーが子供が出来たにも関わらずキレて、警官殴って、刑務所に入って、刑務所内でも暴力ふるって、結局は何?ってよう分からん話で...
気が短い男の日常の話。 細かく描写で誤魔化して文字数を増やしているだけ、それを除いたら内容もペラペラ!びっくりするぐらいしょうもない その日暮らしのメッセンジャーが子供が出来たにも関わらずキレて、警官殴って、刑務所に入って、刑務所内でも暴力ふるって、結局は何?ってよう分からん話でした。芥川賞って?疑う、久々につまらない小説でした、、、時間のムダ
Posted by
小説にもいろいろあるものだなと、まず感心。 主人公サクマはメッセンジャーと呼ばれる自転車宅配便の仕事をしている。カッとしやすく、これまでいろいろな職を転々として、今は自転車乗りだ。仕事で起こるさまざまな出来事、同僚や上司との会話、過去、自分の思い、、実にリアルに細かな描写で綴られ...
小説にもいろいろあるものだなと、まず感心。 主人公サクマはメッセンジャーと呼ばれる自転車宅配便の仕事をしている。カッとしやすく、これまでいろいろな職を転々として、今は自転車乗りだ。仕事で起こるさまざまな出来事、同僚や上司との会話、過去、自分の思い、、実にリアルに細かな描写で綴られていく。後半は突然、懲役刑で服役しているサクマの日常が語られる。 社会人としての常識、納税とか保険とか、何も知らずにきたサクマ。ちゃんとする!とは、そういう義務や権利を理解して、払ったり貰ったり、責任を果たしたり、守られたりすることだが、これまでそこからずっと外れてきてしまっている。めんどくさがって、自分のこだわりも捨てられず、遠くへ行きたいと願いながら、たどり着いたのが刑務所で、そこにはルールと刑期の終わりというゴールがあり、それはサクマにとっての、希望?でもあるらしい。 優等生ぶるつもりはないけど、こういう世界とは無縁、いわゆる、「ちゃんとした」生活の方が馴染みのある私にとっては、サクマの思考回路、言い訳、顛末が興味深いものだった。 作者は元自衛官だという。まぁ、珍しくない経歴だけど、自分の経験が作品に生きてるのかな?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自転車便メッセンジャーとして都内を働くサクマ。 自転車とこの身一つでお金を稼ぐ日々は、体を壊せばそれでお終いの保障のない仕事で 決して長くは続けることは出来ないと思いつつも その先の未来がサクマには想像できなかった。 想像のできない未来ではあったけれど、それでも遠くに行きたいという気持ちだけはあって 同居する円佳の妊娠がわかってから、ちゃんとしようちゃんとしようという思いだけが蓄積し、ある日人を殴って、捕まった。 自分の中の怒りを抑えることができない。 それを暴力という形で爆発させることしかできないサクマ。 自転車便の仕事をする前からも、その繰り返しだった。 なんだかつらいねえ。 日々の小さな成功体験の積み重ねが、人生には大事なのかなあ。
Posted by
ここ最近、男性作家による芥川賞受賞作には馴染めなかったけれど、これは悪くなかった。新しい感じはしなかったけれど。
Posted by
2021年下期芥川賞受賞作品で、前半と後半で大きく状況が異なる二部制のお話です。 主人公は30を目前にした男性で、自転車で書類をやりとりする『メッセンジャー』をしながらも、そろそろちゃんとしなくてはと何とも言えない焦りが募っている。いや、募っているというほどは募っていないの...
2021年下期芥川賞受賞作品で、前半と後半で大きく状況が異なる二部制のお話です。 主人公は30を目前にした男性で、自転車で書類をやりとりする『メッセンジャー』をしながらも、そろそろちゃんとしなくてはと何とも言えない焦りが募っている。いや、募っているというほどは募っていないのだが、ちゃんとしなくてはと思っても、つい怠惰に今まで通りの日々を過ごしてしまう。そんな彼には、自分を上手くコントロールできないところがあった。何かの拍子にキレて、相手に暴力をふるってしまう。そのような性質が原因で、主人公はついに事件を起こしてしまう。 作中に出てくるような、普通にしている時は別段おかしいところはなさそうなのに、突然キレて何をするかわからない、というタイプの人は、正直一番怖いタイプだと思います。普段から居丈高にして頭ごなしに怒鳴ってくるタイプよりも、沸点がどこにあるか見えないタイプの方が、いつどんなことでぎゅんと沸騰してしまうか分からない分読めずに恐ろしい。 主人公もそんな自分を持て余しているところがあるけれど、そういう性質は簡単に治るものでもないのだろうなと思います。 何度も回想の時期が行ったり来たりするため、今どこの時空の話をしているのかに振り回される部分が多くありました。 芥川賞の作品にしては読みやすい話だったと思います。 『ブラックボックス』という言葉から想像していたものとは少し違うお話でしたが、一番の『ブラックボックス』は人の頭の中なのだろうなと感じました。 外からは見えない。記憶も、心の中も、それによって起きたどのような行動も、すべてを見通すことはできない。そんなブラックボックスを、誰しもが持っている。 そんな風に感じる作品でした。
Posted by
主人公に共感できる部分があったり、逆にさっぱりわからなかったりと難しい作品であった。ちょっとしたボタンの掛け違いで簡単に落ちていける社会だし、自分も何かが少し違っただけで似たような状況に陥ったかもなと思う。純文学は普段読まないけど、特にストーリー性があるわけではないのに主人公が気...
主人公に共感できる部分があったり、逆にさっぱりわからなかったりと難しい作品であった。ちょっとしたボタンの掛け違いで簡単に落ちていける社会だし、自分も何かが少し違っただけで似たような状況に陥ったかもなと思う。純文学は普段読まないけど、特にストーリー性があるわけではないのに主人公が気になってページをめくる手が止まらなかった。
Posted by
『ちゃんとできるなら今すぐにでもしたい。でも、いますぐちゃんとしなくてもなんとかやっていける。やっていけなくなる日がいつか来ることだけは分かっているが、そのいつかが分からないから、無限にいつまでもこんな日々が続いていく気もする』 この気持ちが分かりすぎて苦しい。 生きていてゴー...
『ちゃんとできるなら今すぐにでもしたい。でも、いますぐちゃんとしなくてもなんとかやっていける。やっていけなくなる日がいつか来ることだけは分かっているが、そのいつかが分からないから、無限にいつまでもこんな日々が続いていく気もする』 この気持ちが分かりすぎて苦しい。 生きていてゴールが分からない気持ち、「ちゃんとした」人との壁…社会の周縁にいる人の感情がすごくよく伝わってきた。
Posted by
芥川賞というのと、あらすじに惹かれるものがあって購入してみた。 主に読みやすい書き口で、最後までさらっと読むことができた。なかなか集中できず波に乗り切れない感じがもどかしかったが、おそらくそれは私個人の問題のように思う(久々に読書をしたので)。 数カ所、読み手が迷子になりそう...
芥川賞というのと、あらすじに惹かれるものがあって購入してみた。 主に読みやすい書き口で、最後までさらっと読むことができた。なかなか集中できず波に乗り切れない感じがもどかしかったが、おそらくそれは私個人の問題のように思う(久々に読書をしたので)。 数カ所、読み手が迷子になりそうな表現や流れがあり、それは若干気になったが、全体的にまとまってはいたと思う。 ただ、主題が分かりそうで分からない。前半、ブラックボックスの表現にああなるほど、と感じはしたが、その気持ちが発展せず最後まで宙ぶらりんのまま終わった。後半も含め主人公の気持ちに同調するところもあったが、何せあまり考えようとしない主人公だから、こちらにも感情の波が立たない。 結局、前半と後半が私の中でうまく繋がらず、読んでいる間楽しめはしたけれども、感想もこのようにとりとめのないものになってしまった。 次は、もう少し脳みそと感情が動かされるものを読みたい気分。
Posted by