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暇と退屈の倫理学 の商品レビュー

4.2

657件のお客様レビュー

  1. 5つ

    267

  2. 4つ

    216

  3. 3つ

    90

  4. 2つ

    17

  5. 1つ

    5

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2024/12/10

より多くの人に読んでほしい良質な哲学書。

2024年12月読了。

ずーっと気にして買っていたのに、中々手が伸ばせずに積ん読状態だったのだが、数年前にTVでオードリーの若林さんが称賛していたのを見て興味が湧き、読み始めたのだが、自分はうつ病を患っており、その時は具合が悪く途中で手を止めてしまった。
その...

2024年12月読了。

ずーっと気にして買っていたのに、中々手が伸ばせずに積ん読状態だったのだが、数年前にTVでオードリーの若林さんが称賛していたのを見て興味が湧き、読み始めたのだが、自分はうつ病を患っており、その時は具合が悪く途中で手を止めてしまった。
その後::(つい最近だが)思うところがあり、改めて初めから読み返したところ、夢中に成る面白さで、半日弱で読み終えてしまった。
哲学書でこんなに読み易い本は、早々お目に掛かれない良書だと思った。そして若い読者にも理解しやすい書き方で、現国のテキストに使われたのも頷ける内容だった。

中身を多くは語るまい。読み終えた人だけが、感想をスタート地としてそれぞれに思考を進めていければ良いのだ。

恐ろしく単純に云うとしたら、凸凹の「凹」の真ん中(低い所)に居ると思っている人達に、「そうじゃないんだよ、貴方の居る(べき)場所は、実は凸(の高い所)なんだよ。だから『暇や退屈』なんかに右往左往しないで世の不条理に惑わされず、絶えず『学ぶ』ことが一番大事なんだよ!」という、素晴らしく明快な答えを教えてくれる良書だと云う事だ。
と言っても、コレは読んだ人なら分かる、いや、読んだ人にしか意味が分からない感想かもしれないけどw。
補編の『痛みについての考察』は、心の痛み(うつ病)を抱える身の自分にもヒットする部分を感じて、とても嬉しかった。再読して、この病と闘っていこうとも強く思った。

國分先生、病と立ち向かう勇気を貰えました。ありがとうございました。

左衛門佐

2026/04/21

■好きなもの、欲しいものは操作されている 〜楽しみの強制と時間の搾取 ~ > かつて労働者の労働力が搾取されていると盛んに言われた。いまでは、むしろ労働者の暇が搾取されている。 …それは気づかなかった。僕は自分が暇を持て余してるとか退屈だとか思うことはないが、それは暇を...

■好きなもの、欲しいものは操作されている 〜楽しみの強制と時間の搾取 ~ > かつて労働者の労働力が搾取されていると盛んに言われた。いまでは、むしろ労働者の暇が搾取されている。 …それは気づかなかった。僕は自分が暇を持て余してるとか退屈だとか思うことはないが、それは暇を搾取された結果ではないか?もし仮に、現在高度に発展した(と思っている)この資本主義社会における文化産業、レジャー産業、広告業界やメディアといった類の産業が存在しなかったら?需要と供給で成り立つ資本主義社会でそんな仮定はあり得ないことはわかっている。人々の需要があるからそういった産業が生まれ、成長したわけだから。 しかし今や、 > 供給側が需要を操作している。 > 私たちの「好きなこと」は、生産者が生産者の都合のよいように、広告やその他手段によって作り出されているかもしれない。 というのだ。これは、著者に指摘されずとも誰もが薄々勘付いてはいるが、直視できずにいるのではないだろうか。 夜中に漫然とサブスク動画を見るのも、何となくAmazonでポチるのも、カメラのモデルチェンジにいちいち物欲が掻き立てられるのも、供給側に踊らされているのは明らかだ。なければ、あるいは目にしなければ欲しくならない。あると、あるいはあるのを知ってしまうと欲しくなるのだ。 つまり、僕らが望むから作られるのではなく、明らかに供給が先回りして僕らが欲しくなるはずのものを用意している。そして、それをメディアが上手に盛り付けてディスプレイする。さらに、我々はそのディスプレイを店舗に足を運ばなくとも、スマホで簡単に見ることができるのだ。サプライヤーとメディアとGAFAの高度な連携プレイ。世の中、うまくできてるものだ。 では、自分が本当に好きなこと、欲しいものってなんだろう。まず浮かぶのは時間だ。子どもたちと遊ぶ時間、ゆっくり読書する時間、休日ゴロゴロする時間。そんな時間の過ごし方ができれば毎日がどれだけ充実することだろう。 自分が主体的に欲していると思い込んでいる、いわばフェイクの欲望=操作された需要がなければ、またフェイクと本物を見分けることができる賢い消費者であったなら、搾取されるはずの暇をそんな充実した時間に変えることが可能かもしれない。 ■ウサギ狩りの楽しみ方 また、著者はパスカルを引用し、こう指摘する。 > ウサギ狩りに行く人はウサギは欲しいのではない。 > おろかなる人間は、退屈に耐えられないから気晴らしをもとめているにすぎないというのに、自分が追い求めるもののなかに本当に幸福があると思い込んでいる。 ウサギ=<欲望の対象>ではあるが、<欲望の原因>ではないのに、人はそれを取り違えるという。つまり、 > (狩りをする人は)狩りをしながら自分はウサギが欲しいから狩りをしているのだと思い込む。 > おいしいものをおいしいと感じているのではなくて、おいしいと言われているものをおいしいと言うために口を動かしているかもしれない。 メディアに踊らされてウサギ狩りをすることは本意ではない。誰だってそう思っているだろう。だからみんなレビューを見て自分なりに自分の行動を決めるのだ。けど、それも含めて僕らはやっぱりウサギ狩りをしていることに変わりはないのでは?結局は、衣食住に困らず、余暇を楽しむくらいの余裕がある現代人の多くは退屈と気晴らしのスパイラルに陥っているということだろうか。 思い当たる節は大いにある。食べログやAmazonのレビューを見て消費をするのは自ら自由な選択をしているように感じさせてくれるけど、実は巧妙に仕組まれた楽しみの強制なのではないか。 ウサギ狩りがつまらないことだとは思わない。ただ、ウサギは<欲望の対象>であって、<欲望の原因>ではないということを頭の片隅にわきまえた上で、ウサギ狩り=<退屈な気晴らし>を楽しめばいいのはないか。実際そうする以外に何ができよう?著者も結局それが「人間らしい生」と言っている。

Posted byブクログ

2026/04/19

今のタイミングで読めてよかった。 人生暇になることが怖かったけれど、結局、退屈と気晴らしを行き来するのが人間らしく生きることであって、人間らしく生きていくしかない、と納得した! 今考えるのは主に婚活だけど、結婚してもしなくても、生活に慣れることによって環世界のようなものはでき...

今のタイミングで読めてよかった。 人生暇になることが怖かったけれど、結局、退屈と気晴らしを行き来するのが人間らしく生きることであって、人間らしく生きていくしかない、と納得した! 今考えるのは主に婚活だけど、結婚してもしなくても、生活に慣れることによって環世界のようなものはできてしまって、結局その移動によって、楽しみを得ていくしかないのかもしれないなぁ、と思った。 結婚して子どもがいたほうが、自動的に環世界が移っていくかと思っていたけど、仕事でステップアップしていくことと何が違うというのか、いや、同じといえるのではないか。

Posted byブクログ

2026/04/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日常的な楽しみに関しても楽しむことの訓練を経て習得しているから楽しむことができる視点が面白かった。 しかし、楽しむことの訓練を通してでも個人の性格や価値観、状況によってはそれを楽しめないこともあるのではないかと思う。楽しむことの訓練を受けているにも関わらず、あえて物を受け取らずに退屈を感じる人もいると感じた。

Posted byブクログ

2026/04/13

暇と退屈を過去の哲学者や思想家のスキームなども紹介しながら土台を整えつつ、 暇と退屈をメタ的に考えた書籍 そして倫理というからには、一定のすべきまでを提示している。 個人的に印象的だったところを雑多メモ 17世紀パスカルのうさぎ狩りの例 今から兎狩りに行く人にすでにとれた兎を...

暇と退屈を過去の哲学者や思想家のスキームなども紹介しながら土台を整えつつ、 暇と退屈をメタ的に考えた書籍 そして倫理というからには、一定のすべきまでを提示している。 個人的に印象的だったところを雑多メモ 17世紀パスカルのうさぎ狩りの例 今から兎狩りに行く人にすでにとれた兎を渡しても彼らは満足しない。兎狩りそのもの、つまり気晴らし的なこと、プロセスへの没頭的なところが欲望原因であり、兎はその対象になっているだけなのだと。これは現代社会のいろいろなところに見て取れるたとえである。 暇の誕生 狩猟採取や遊動的な暮らしは、その日暮らしで、常にやることがあり、移動により新しい土地に新しい景色、新しい刺激というものが日常的に飛び込んでくる状態であった。また、食物やゴミ。廃棄物なども。昔はそんなに自然を壊すような人工物はなかったかもしれないが、そういったものも基本的には放置していれば自然に帰った。 元々人間はこちらのライフスタイルから出発している。 一方で気候変動や様々な要因から推定して遊動的な暮らしが難しくなったときに、定住型へと移動し、農業作物栽培へと移行していった。すると頻繁に移動していたときに比べて外界からの刺激が少なくなる。 そうすると、これまで脳を刺激するような行いの代わりの行いを見つけ出すようになり、それが土器の装飾、暮らしのルールづくり、新しい道具の開発、などの技能の探求や、コミュニティのルールづくりなどを行っていった。 一方で、農耕社会は作物を貯蔵することで富の概念が生まれ、それによって余暇と労働の割合が人によってグラデーションになっていった。富んでいる人ほど余暇もあり、それは高貴な証拠担っていった。 貴族は暇を嗜むための遊戯を発達させた。芸術や狩猟、スポーツなども古くはそうであろう。 そして時代は経て、産業革命、資本主義のよる労働者と資本家の関係になってからも、労働者を健康的に働いてもらうためにも、余暇と気晴らし的なものが必要に社会是正されていき、一定の余暇時間がある程度等しく生まれることになっていった。 その結果として、人は暇、余裕が生まれることになったのであるが、ここでこの暇で何をしようとなる。ここで企業群は、暇、退屈を埋めるような製品サービスを余暇の消費のために新たに開発して需要を喚起するようになった。これは消費行為であり、たえず要望を刺激し、退屈を埋める某を発信してくる。終わらない消費活動へと組み込まれていく。 ハイデッガーの退屈の形態 1:何かによって退屈させられる(仕事への隷属) 2:何かに際して退屈する(暇と退屈の均衡) 3:なんとなく退屈(1や何かへの渇望) ユクスキュルの環世界の話。まさかの個人的にもよく使う環世界の思考フレームがここにもでてくるとは思わなかった。 人間:環世界を生き来するのが比較的容易 動物:所与の環世界を生きる 人間は生き来するからこそ、気晴らしもできるし、退屈もする。自分の環世界を深めることをせずに、ほいほいよその環世界にいってると自分というものが無個性的になってしまったり、何かをしてても退屈に感じてしまう。そこで、何かに隷属する、没頭するようなモードにもチェンジし得る。 これは今風な発露の仕方でいうとオタクとか推し活的なものもそうかもしれない。自分の環世界に掲げた刺激を内在化、深化するように、特定の何かを浪費していくのだ。 こうした暇と退屈への気晴らしをほどよくこなしたり、それらじたいには退屈してきたら、退屈と感じる間もないくらい、何かに身を捧げるのだと。 AIが普及すればするほど、なおさら考えざるを得ないテーマでもあり、このタイミングで読めて良かった作品であった。 個人的にも色々と派生探求したい作品であった。

Posted byブクログ

2026/04/12

時間を要したけど今読んでよかった。 ひとりでいる不安を消すために予定を詰めたりしていたけど、病まない程度にきちんと向き合いたいと思った。 わたしは大学生で、自分も周りの子達も隙間がないほどバイトや遊び、就活など予定を入れている。一昔前の大学生は人生の夏休みと言われるほど、ゆとりが...

時間を要したけど今読んでよかった。 ひとりでいる不安を消すために予定を詰めたりしていたけど、病まない程度にきちんと向き合いたいと思った。 わたしは大学生で、自分も周りの子達も隙間がないほどバイトや遊び、就活など予定を入れている。一昔前の大学生は人生の夏休みと言われるほど、ゆとりがありのんびりしているイメージだった。SNSの普及により、資本主義の奴隷になっていたり、暇ではいけないという潜在的な認識に駆られているような気がしている。 

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2026/04/07

そもそも哲学もよく分かっていませんが、暇と退屈について考える良い機会となり、時間がかかりましたが楽しく読む事ができました。

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2026/04/01

人間がうまく飼い慣らせず、それ故に人生や幸福そのものに深く関わってくる「暇と退屈」について、人類の系譜や哲学者の論述から分析した上で、我々現代人に対して一定の提案をしてくれる本。 色々な哲学者(主にハイデッガーとユクスキュル)の話をベースに、批判もしつつ良いとこ取りして、現代人...

人間がうまく飼い慣らせず、それ故に人生や幸福そのものに深く関わってくる「暇と退屈」について、人類の系譜や哲学者の論述から分析した上で、我々現代人に対して一定の提案をしてくれる本。 色々な哲学者(主にハイデッガーとユクスキュル)の話をベースに、批判もしつつ良いとこ取りして、現代人にしっくり来る結論に落とし込んでいく論述過程が非常に面白かった。 登場する哲学者のことはほぼノー知識で読んだが、順を追って丁寧な論理で進めてくれるので大丈夫だった。難易度は低いと思う。 結論はわりとあっさりしているが、論述全体を追うことで読者自身の思考が変容していくこと、そしてそれを楽しむことこそが重要と著者は言っており、その通りだなと思った。

Posted byブクログ

2026/03/31

哲学書なのにすごく軽く読めて読みやすかった。 暇と退屈の違いというのを改めて認識することができたし、暇になりたい。 暇を楽しめるように環世界の移動を苦なくできるように、訓練したい

Posted byブクログ

2026/03/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物を享受することが気晴らしと退屈が絡み合う生を豊かにする。 しかし、今の消費社会は享受することを困難にしている(妨害している)。 だから我々は楽しむ訓練によって享受できるものの数を増やし、失われた贅沢を取り戻す必要がある。 めっっちゃ簡単に言えば、楽しむ訓練(教養を身につけるが1番わかりやすい)によって視野を広くすれば、受け取れる物の数は増えて人生ハッピーになるねってことかな。環世界を構成する要素が増えるたびに思考を余儀なくされ、それはすなわち享受であり贅沢である。だから豊かになるって意味だと自分は受け取った。 まぁその通りだと思う。色んな楽しみを知っている人の方がそりゃ豊かだもんね。 退屈とは切り離せない気晴らしをどういうものにするか、その重要性を教えてくれた本。

Posted byブクログ