暇と退屈の倫理学 の商品レビュー
なかなかに壮大なテーマにして、哲学ゆえの(?)難解さもあった。ただ、読み応えはあった。いや、読ませたのは流石!と言うべきか。著者の他の作品にも興味が沸いた。つまり、評価は高いということで。
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暇と退屈の発生について論述してから、その正体を論じる。過去の哲学者の考え方を幾つか参照しながら、退屈の正体と、その罠、著者のあるべき状態の提言がなされる。 1.次の列車まで後4時間だった時の退屈、2.楽しかったパーティのはずが帰ってきたら退屈、3なんか退屈。という3つの例を使っ...
暇と退屈の発生について論述してから、その正体を論じる。過去の哲学者の考え方を幾つか参照しながら、退屈の正体と、その罠、著者のあるべき状態の提言がなされる。 1.次の列車まで後4時間だった時の退屈、2.楽しかったパーティのはずが帰ってきたら退屈、3なんか退屈。という3つの例を使ってくるが、誰しもが体験してそうな例で難しい話なのにわかりやすい。
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【総合評価 ⒋0】 ・革新性⒊5 暇と退屈との向き合い方が書かれている。著者の意見ももちろんあるが、それよりもニーチェ、ハイデッガーなどの過去の哲学者の考えに沿っている話が多いため革新性は少なめ。 ・明瞭性⒋0 大哲学者たちの高度な内容を日常生活レベルに落とし込めている。 ・...
【総合評価 ⒋0】 ・革新性⒊5 暇と退屈との向き合い方が書かれている。著者の意見ももちろんあるが、それよりもニーチェ、ハイデッガーなどの過去の哲学者の考えに沿っている話が多いため革新性は少なめ。 ・明瞭性⒋0 大哲学者たちの高度な内容を日常生活レベルに落とし込めている。 ・応用性⒋5 暇と退屈という現代人の流行病にアプローチしているため応用の幅は半端ない。 ・個人的相性⒋0 たくさんの哲学者の考えを網羅している点が個人的に好き。著者だけの考えになっていないのが良き。
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タイトルに惹かれて。 人間全てに共通する「暇と退屈」を深掘りしていく過程はとても面白かったし、文章もそんなに難しくないからスラスラ読めた。
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論の進め方が結論ありきのように感じられてしまい、どうものれなかった。学術書では無く一般文芸に類する本なのでこんなものなのかもしれないが、例えば暇と退屈から逃れる目的で、熱中できる対象であるファシズムやテロリズムへ傾倒していくというような書き方は本当にそうか?と思ったり。テロリズム...
論の進め方が結論ありきのように感じられてしまい、どうものれなかった。学術書では無く一般文芸に類する本なのでこんなものなのかもしれないが、例えば暇と退屈から逃れる目的で、熱中できる対象であるファシズムやテロリズムへ傾倒していくというような書き方は本当にそうか?と思ったり。テロリズムに至る人間には確かにそういう向きもあるが、暇も自由もないような逼迫感が背景となった例だって歴史には多々ある、いやむしろ歴史的にはそちらのほうが多数派のように思えるが。実例だとか根拠をもっと示してほしいのだが、単に著者の中で辻褄があっているというだけの論がどんどん進んでいってしまい、どうも納得できないまま半分ぐらいを過ぎてしまったので、あとは流し読みのようになってしまった。 哲学や倫理学ってこんな感じなんだよ、という雰囲気を概観する目的であれば、さまざまな思想家が出てくるし良い本では無いかと思う。表題通りの「学」を期待すると肩透かしを食らう。
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とても読みやすく面白い。・人間は環世界を移り代わりやすいので、とりさらわれにくい。だから退屈する ・ハイデガーは決断することを退屈しないことの対応として挙げているが著書はそれを決断してとりさわらわれているだけだと指摘。第一段階の仕事にとりさらわれている状況に陥るだけだとした。 ・...
とても読みやすく面白い。・人間は環世界を移り代わりやすいので、とりさらわれにくい。だから退屈する ・ハイデガーは決断することを退屈しないことの対応として挙げているが著書はそれを決断してとりさわらわれているだけだと指摘。第一段階の仕事にとりさらわれている状況に陥るだけだとした。 ・では、著者の結論は第2段階の退屈ととりさらわれを行き来しながら、(人間(環世界の移動)と動物(とりさらわれ)を行き来)し、なんだか退屈する際、それは、動物には起こりにくい、とりさらわれを待ち望む状況であり、そこに退屈は希望と可能性を秘めている。楽しむにも訓練が必要。 ・駅で電車を待つ時、退屈だなあと思った時、環世界を移動できる人間だからこそそう思い、そこから訓練でひと、街、店、風景、自然、そういうものに気がついてとりさらわれることができる。
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人間はなぜ暇するのか?退屈を感じるのか?そのような誰しもが感じる「なんとなく退屈」という虚無感から始まり人間の生の本質へと迫っていく。さまざまな哲学者達の議論を経ながら美しい組み立てで結論へと向かってゆく。本書を通雨読することによって人生について、「反省的認識」を獲得できるだろう...
人間はなぜ暇するのか?退屈を感じるのか?そのような誰しもが感じる「なんとなく退屈」という虚無感から始まり人間の生の本質へと迫っていく。さまざまな哲学者達の議論を経ながら美しい組み立てで結論へと向かってゆく。本書を通雨読することによって人生について、「反省的認識」を獲得できるだろう。
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産業革命と資本主義の登場によって、貴族階級のみならず人びとは余暇を持つようになった。そのかわり我々は絶えず消費し、また消費のスピードを上げることでしか退屈をしのげなくなってきている。人は暇のなかでいかに生きるべきか。退屈という感情とどう向き合えばいいのか。パスカル、ラッセル、ハイ...
産業革命と資本主義の登場によって、貴族階級のみならず人びとは余暇を持つようになった。そのかわり我々は絶えず消費し、また消費のスピードを上げることでしか退屈をしのげなくなってきている。人は暇のなかでいかに生きるべきか。退屈という感情とどう向き合えばいいのか。パスカル、ラッセル、ハイデッガーらが試みた〈暇と退屈の倫理学〉を批判的に参照しながら考える哲学書。 〈暇と退屈〉をキーワードに、主に近代以降の機械化された社会で生きる人間が〈気晴らし〉を求める心理のメカニズムをおさらいできてよかった。この〈気晴らし〉に「万博」とか「博物学」「百貨店」「探偵小説」などを代入すれば高山宏先生の世紀末表象文化論になり、果ては「戦争」に行き着くだろう。それくらい、人類が抱える〈退屈〉は病的なのだとも言える。 けっして埋まり切らない空洞という意味での〈暇と退屈〉を追いつつ、〈疎外〉という概念を本来性抜きに捉え直して〈気晴らし〉を肯定していく(「生きることはバラで飾られねばならない」)前段は面白かった。だが、最終的な結論がいかにもブルジョア的というか、かつての貴族の暮らしやパーティー文化を肯定し、現代人にとって一番身近なポップカルチャーは「消費」と位置付けただけで終わっているように見える。映画『ファイト・クラブ』の評論はあるにしろ、この視点はありきたりで本書の弱点なのではないかと思う。 人は生きるために必要なこと"だけ"をして生きていては狂ってしまう。例の「健康で文化的な最低限度の生活」というフレーズに使われる「文化的」の一語が示すのは、「気が狂わないための」という意味なのだと思う。だが、気が狂わないための気晴らしにもっと大きな刺激を求めていくうち、異なる狂気に足を踏み入れてしまうことも多々ある。それなら、ただ退屈を感じているだけの無害な存在でい続けられないものか。 実は、一番面白く読んだのは増補新版で追加されたという付録の「傷と運命」だった。精神医学と脳神経科学を援用して、そもそもなぜ人は〈退屈〉に苦痛を感じるのかを考察している。退屈が辛いのは、我々が無意識レベルで生きることに慣れるために負った心的外傷が空虚な時間につけこんで蘇り、我々を苛むからだという。今ある痛みを忘れるため、人は新しい刺激=新しい環世界を求めるとここでは結論づけられる。 新しい環世界とは、つまり他者の世界ということだ。たとえば本書が言うように、本を読むことも他者の環世界を覗き込むという体験なのだとすると、『プリズン・ブック・クラブ』(21/11/25読了)や『テヘランでロリータを読む』(21/11/27読了)で書かれた読書会の浄化作用にも合点が行く。本という他者、そして読書会のメンバーという他者と世界を共有し、あるいは反発することで、現実の痛みが和らげられる。それは逃避ではなく、気が狂わないための、正気を失わないでいるための命綱のような〈気晴らし〉なのだ。
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暇と退屈についての悩みに対する回答は、何かに「とらわれる」こと、それが人間を楽しむということだと理解。 哲学なので正解不正解は意味がない気もして、まぁそうだよなーという感想しか出てこなかった。いろいろ考えることに意味はあったのかもしれないけれども、自分の中で何かが変わったようには...
暇と退屈についての悩みに対する回答は、何かに「とらわれる」こと、それが人間を楽しむということだと理解。 哲学なので正解不正解は意味がない気もして、まぁそうだよなーという感想しか出てこなかった。いろいろ考えることに意味はあったのかもしれないけれども、自分の中で何かが変わったようには思えなかった。 話の途中にでてきた、生き物がそれぞれもつ環世界の考え方は面白かった。ダニは哺乳類の匂いと体温にしか反応しない、それ以外の知覚(世界)が存在しない世界に生きていて、人間が認知している世界とは異なり時間の進み方も相対的に違っている、というもの。人間から見ると、ただのアルゴリズムにしか思えないのが世界ということなので、ということは人間もまたより高次な生物から見れば明確なアルゴリズムがあって一つの環世界を生きてるにすぎないのかも、、とも思った。
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この本は。東大&京大で実績第一位❕として紹介されている本ですが、めちゃくちゃ面白かったです。 とても丁寧に論理展開して、わかりやすく説明されており、読んでいると引き込まれて、グイグイ入っていけました。 「暇と退屈」というテーマを、様々な哲学者の解釈を混じえながら丁寧に説明されてお...
この本は。東大&京大で実績第一位❕として紹介されている本ですが、めちゃくちゃ面白かったです。 とても丁寧に論理展開して、わかりやすく説明されており、読んでいると引き込まれて、グイグイ入っていけました。 「暇と退屈」というテーマを、様々な哲学者の解釈を混じえながら丁寧に説明されており、「そういう捉え方もあるのかー!」と、とても参考になりました。 ぜひぜひ読んでみて下さい。
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