プロジェクト・ヘイル・メアリー(上) の商品レビュー
グレースはたったひとりで目を覚ます。コンピュータが「2たす2は?」と問う。「ほろいれくれ」 ロケットの中、冷凍睡眠から目ざめたのだ。次第にその経緯を思い出す。 地球の温度が下がっている、という研究事実が露わになる。また太陽の北極からは、弧を描いて金星に至るライン(ペトロヴァ・ラ...
グレースはたったひとりで目を覚ます。コンピュータが「2たす2は?」と問う。「ほろいれくれ」 ロケットの中、冷凍睡眠から目ざめたのだ。次第にその経緯を思い出す。 地球の温度が下がっている、という研究事実が露わになる。また太陽の北極からは、弧を描いて金星に至るライン(ペトロヴァ・ライン)ができていて、どうやらそれが原因らしい。しかも星の温度が低下しているのは地球だけではない。だが、ひとつ、タウ・セチ星系だけは温度が下がっていない。・・というわけで、「ヘイル・メアリー号」で問題解決のため、グレースは打ち上げられたのだ。 乗組員は3人。だが他の2人は冷凍睡眠がうまくいかず、グレースが目ざめた時にはミイラ化していた。このあたりちょっと「猿の惑星」の最初を思い浮かべた。 この、地球の温度が下がって氷河期になりそうだ、その原因が太陽の北極からたちのぼり金星に向かってラインを形成している物質、しかもそれは生きている、という設定に、おもしい! 最初に引き込まれる。 上巻の最後の方、グレースは別な宇宙船が並行して走っているというのに気づく。これが第2の盛りあがり点。・・ここで宇宙船の中とコンタクトがとれるのだが、その会話部分、これでつまづいた。その記述がよみづらかった。 下巻では解決に向けての方策。そして、最後が、これがまたおおっ! という終わり。いや終わりではない、続いている。 アンディさんは「火星の人」「アルテミス」でも感じたが、とても前向き志向な人。このまっすぐな前向きさ、が魅力か。 冒頭で、宇宙の観測に、JAXAのアマテラス、の情報を活用していたり、前段階の調査計画に、アメリカ、EU,ロシア、中国、インド、そして日本がこぞって費用を負担した。グレースの論文を、オックスフォードの教授から東大の教授までが、評価、など日本が出てくる箇所があるのが嬉しい。アンディ氏の日本観を知りたいな。 2021発表 2021.12.25初版 2022.6.25第9版 図書館
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むちゃくちゃおもしろい。異星人とのファーストコンタクト、互いに科学者ならば最初のコミュニケーションツールはなるほどそうなるだろう。まったく知らない分野だけど、このディテールは精緻な科学的裏付けがあるのだろうし、何よりも感銘を受けるのは、それをつぶさに翻訳する小野田和子さんの圧倒的...
むちゃくちゃおもしろい。異星人とのファーストコンタクト、互いに科学者ならば最初のコミュニケーションツールはなるほどそうなるだろう。まったく知らない分野だけど、このディテールは精緻な科学的裏付けがあるのだろうし、何よりも感銘を受けるのは、それをつぶさに翻訳する小野田和子さんの圧倒的な造詣の深さ。もう尊敬と感謝しかない。蛸壺、排他、無関心を決め込むだらしない相対主義に狎れ切った今、未知の相手を全力で理解しようとする主人公と翻訳者の直向きな営みにグッとくる。
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文章が好き 作品全体の雰囲気が好き ◯ 内容結末に納得がいった また読みたい その他 ◯ 物理数学とか、知識ないし頭が拒否するので、読むのに苦戦。 でもなんとか挫折せず「上」は読み終わりました。 苦戦はしましたが、面白い! どういう話になっていくのか、下巻に期待。
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グレースが「うっそだろう!」というシーンが大好き。きっと僕らも同じリアクションをする。地球を救うために太陽系を飛び出した孤独てやっぱり明るい男の英雄譚。最高にかっこいい主人公である。 他にも地球の非常事態に対して人類がとりうる生存のための最適行動が恐ろしくもある。環境学者が顔を...
グレースが「うっそだろう!」というシーンが大好き。きっと僕らも同じリアクションをする。地球を救うために太陽系を飛び出した孤独てやっぱり明るい男の英雄譚。最高にかっこいい主人公である。 他にも地球の非常事態に対して人類がとりうる生存のための最適行動が恐ろしくもある。環境学者が顔を覆って泣き崩れるシーンが最高にイカしてる。
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著者の前作の映像版であるオデッセイという映画を見てから読むと主人公のイメージが少し湧きやすい。 絶望的孤独の環境で、主人公が淡々と記憶を探り、今の自分のいる場所、目的、プロジェクトの全容が明らかになっていく。 そんな中で、出てくる物理や科学、宇宙工学的な内容は、理系出身の人で...
著者の前作の映像版であるオデッセイという映画を見てから読むと主人公のイメージが少し湧きやすい。 絶望的孤独の環境で、主人公が淡々と記憶を探り、今の自分のいる場所、目的、プロジェクトの全容が明らかになっていく。 そんな中で、出てくる物理や科学、宇宙工学的な内容は、理系出身の人であればそそられます。 さらに宇宙生命体に遭遇するとは! 下巻も楽しみにしておきます。
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書店の立ち読みの段階で、これは読みたい!と思う。物理化学の知識がなくとも、ありえない発想でぐいぐい引き込まれる。 地球温暖化で時間を稼ぐ(笑) そして、まさかの宇宙人!(蜘蛛?)予想を上回る展開でワクワクする。 さて、ロッキーとの友情はどうなるのか、下巻に突入。
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衝撃的におもしろかった。 最初、記憶ないし、大丈夫かな?と思ったが、身についた習性で宇宙船に乗っていると理解するあたり、中学生教師とは思えない。 すごい!人。 途中、宇宙人と遭遇するところも、わくわくしてしまった。 最初の意思の疎通が原子から始まるあたりすごいなと思った。 原子は宇宙で共通?のことなので、物理は宇宙の共通語と聞いたことがあった。 このまま2人はどうなっていくのか、各自母星を救うことができるのか、下巻が楽しみ!
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22/08/24 三体のあとに読んだので、まずは読み口のよさ、やさしさに感動。 ミステリ仕立てもバディ感も楽しめておもしろい。
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アストロファージを「きみたち」や「ちび」と、生命体として呼ぶところにニヤリとする。再生される記憶のなかでの会話のテンポも面白くて飽きないし、読みやすくて映像も浮かびやすい。ロッキーが愛おしくなってきた。
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『三体』とは違う新しい驚き。独特の世界観に気が付けば足を踏み込んでこんでいる。サバイバルしていくこと、問題を解決していくこと。人間の叡智への賛美。知的好奇心をゆさぶってくれる。
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