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R.I.P. の商品レビュー

3.8

35件のお客様レビュー

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2021/12/30

三人の自殺志願者を殺害した凶悪犯として糾弾される真也。優しい兄の「真実」を求めた薫子がやがてたどり着くのは、人それぞれの命の概念。生きることは美しく、自殺を選ぶことは決して許されることではないのか。誰しもが考えさせられてしまう作品です。 本音を言えば、誰しもが一度くらいは「死にた...

三人の自殺志願者を殺害した凶悪犯として糾弾される真也。優しい兄の「真実」を求めた薫子がやがてたどり着くのは、人それぞれの命の概念。生きることは美しく、自殺を選ぶことは決して許されることではないのか。誰しもが考えさせられてしまう作品です。 本音を言えば、誰しもが一度くらいは「死にたい」と思ったことはあるのじゃないかと思います。順風満帆、嫌なことがなに一つもない人生を送れる人なんてそうそういないだろうし、だとすればぶつかった困難や苦難から逃げるためだけに「死」をちらりとでも思ったことがない、と自信を持って言える人もまたそうそういないんじゃないかと。ただ、どれほどその思いが本気かというだけで。だから、自殺したい気持ちも生きていたくないという気持ちも理解できないことはありません。それでも周りの人を悲しませるとか、迷惑をかけるとか、それが大きな抑止力となる気がするのですが。その抑止力が生きるための後押しではなく、死を阻むための障害なのだと断言されてしまうのはちょっと怖いことだと感じました。 誰にも他人のことなんて理解できないんだから、何が正しいのか決めつけることはできません。だけどここまで自殺志願者の気持ちに「寄り添う」ことのできる真也は、悪人とは思えなくて。彼のやったことは罪かもしれないけれど、それでも彼には善良さしか感じませんでした。

Posted byブクログ

2021/12/28

「希死天使」というHNで自殺志願者を募り三人を殺害した村瀬真也の妹の薫子が逮捕から裁判の過程を手記として綴る。善良なサイコパスと邪悪な健常者、死の欲動と生への欲動の対局が真也の犯罪の背景にある。日本は自殺率が上位にあるという。SNS上で集団自殺志願者が集まって遂げるという事件も目...

「希死天使」というHNで自殺志願者を募り三人を殺害した村瀬真也の妹の薫子が逮捕から裁判の過程を手記として綴る。善良なサイコパスと邪悪な健常者、死の欲動と生への欲動の対局が真也の犯罪の背景にある。日本は自殺率が上位にあるという。SNS上で集団自殺志願者が集まって遂げるという事件も目にする。自殺の容認、尊厳、死ぬ権利、著書の多くの作品で語られる安楽死や尊厳死に通じるものがあると感じた。「本当の思いやりについて真剣に考えてみてください」と真也の弁、判決後失踪した薫子にやるせないものを感じた。重い話だと思った。

Posted byブクログ

2021/12/28

本筋に関係ないけれど、仏前にお参りするってそんなに意味のあることだろうか、そして私が遺族ならお断りするだろう。

Posted byブクログ

2022/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2021/12/26予約 5 R.I.P Rest In Peace 安らかに眠れ 同じ年に産まれた兄二人を持つ、薫子は下の兄、村瀬真也が嘱託殺人で捕まり、とうてい本当の話とは信じられなかった。できることをするべき、とかつて診てくれていた心療内科のドクターにアドバイスされ、自力で動き始める。 母が病院に行くことを拒否する時、無理に治療を受けさせるのが親孝行ではない。本人が望むことをさせるのが、親孝行。世間一般で良しとされても、母が嫌がることはしたくなかった。 自殺を否定するわけではなく、自殺をすることの全否定を否定したかった。本当の思いやりとは? 生きるのが辛い人に行う殺人は、競走馬が骨折したときの安楽死と同じ。 死んでほしくないという家族の意見もあるが、それは、いざ自分が死ぬしかない苦しみに至ったとき、自分より家族が優先されるということ。 これが、村瀬真也の発言の一部だが、正直で、ある意味全うで、大方の人の本音ではないのかと、考えた。 本当の思いやりとは何なのか、深いテーマです。

Posted byブクログ

2021/12/13

SNSで接触してきた3人の自殺志願者を殺害した容疑で逮捕・起訴された次兄についての妹の手記という形で語られる。特に争うことも、否認することもなく裁判は進む。本作は現実でも繰り返し起きている自殺志願者への幇助や嘱託殺人をテーマにした作品だと思う。とても重いテーマで一概に否定も肯定も...

SNSで接触してきた3人の自殺志願者を殺害した容疑で逮捕・起訴された次兄についての妹の手記という形で語られる。特に争うことも、否認することもなく裁判は進む。本作は現実でも繰り返し起きている自殺志願者への幇助や嘱託殺人をテーマにした作品だと思う。とても重いテーマで一概に否定も肯定もできないが、安楽死が認められていないこの国ではやむを得ないことのような気もする。後半からラストへは駆け足すぎて、消化不良の印象が残った。

Posted byブクログ