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パラソルでパラシュート の商品レビュー

3.8

158件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    59

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    1

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2024/05/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芸人の本当にありそうな日常世界。 純粋にお笑いをやるということと、ショーレースで勝ち登らないと生き残れない厳しい現実。

Posted byブクログ

2024/05/21

一穂ミチさんの作品は『スモールワールズ』に続き2作目!今回は長編ということでますます期待が膨らんだ。 『パラソルでパラシュート』 契約社員の29歳の受付嬢 美雨が、ひょんなことからお笑い芸人の卵 亨と出会い、芸人仲間との交流を通じて人生を切り開くキッカケを模索していく物語。 ...

一穂ミチさんの作品は『スモールワールズ』に続き2作目!今回は長編ということでますます期待が膨らんだ。 『パラソルでパラシュート』 契約社員の29歳の受付嬢 美雨が、ひょんなことからお笑い芸人の卵 亨と出会い、芸人仲間との交流を通じて人生を切り開くキッカケを模索していく物語。 お笑い芸人のネタもしっかりと描き切ってあり、文字を通してなのに、きちんと伝わって来て、これがいい塩梅に面白い。 途中、少し中弛みしかけたが、後半に亨の継母 葉月が登場し展開を一気に加速させる。葉月のアンニュイな人物描写でみせる儚さと不思議な魅力の力加減が特に秀悦だった。 また、随所に光る言葉選びのセンスが抜群で新鮮な表現が多く、時々クスッと笑える。一穂ミチさんは癖になりそうだ。 ルックスで採用され、30歳になると契約終了となる美雨は残り1年で職を失う。女性の働き方が急激に様変わりする世の中で、期限付きで働く受付嬢という存在とその立ち位置。 一方、お笑い芸人の卵だが、将来の展望が定まらない安全ピンの亨と弓彦。芸事で生きていくことの喜びと難しさ、年齢を重ねるにつれて迫って来る現実との葛藤。 彼等との出会いから約一年。 ラストで見せた美雨の決意が、力強くて意地らしく、同年代の方へ向けた作者のメッセージだと感じた。 そして、本作では芸人の世界観を少しだけ覗かせて貰えたような気がする。厳しい世界だとは想像に容易いが、仲間意識やライバル視から、更に深い所にある同志としての誇りがとても強い世界なのだと気付かされた。 人を笑わせることを追求している方々に、憧憬の念に似た気持ちを込めてエールを送りたいと思う。 余談だが、久しぶりに大阪に行きたくなった。 大阪のドギツい色彩と音と匂いと空気、離れてみるとやっぱり異世界だと思う。 けれど、そこに住む人達はやたら距離感が近くて、よく笑っていて温かかった。 大阪に十年以上も住んでいたのにUSJはいつでも行けると思い、結局行かないまま引っ越してしまった。 でも何を隠そう・・・ 実はこの夏、遅ればせながら行く予定なのだ! これは、美雨おすすめの 「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」 せっかくだから夕暮れ時に乗るぞ♪ 尻込みしなければ・・・笑 乗らんのかーい

Posted byブクログ

2024/05/19

亨と主人公美雨の恋愛物語かと思いきや、アラサーの人間物語で想像が裏切られて良かった。 コントや漫才のネタが面白いし、芸人みんなのツッコミも面白く、デイデールの細かさが物語を膨らませてさすがだと思った。 シェアハウスで暮らせる仲の良さや、後輩の千冬とも何でも話せる親友なのがとても羨...

亨と主人公美雨の恋愛物語かと思いきや、アラサーの人間物語で想像が裏切られて良かった。 コントや漫才のネタが面白いし、芸人みんなのツッコミも面白く、デイデールの細かさが物語を膨らませてさすがだと思った。 シェアハウスで暮らせる仲の良さや、後輩の千冬とも何でも話せる親友なのがとても羨ましく感じた。 何より彼女らがアラサーで、まだまだ思うほど崖っぷちではない年頃なのが一番羨ましかった。 これがアラフォー、アラフィフだったらどんな物語になるのかなぁ。 一方で何でもなく、ただ生きていくことの難しさにはとても共感した。 『何でもなく生きていくのが難しい。 成長、目標、何かきらきらしたものをまとっていないと「怠け」「甘え」の烙印を押される。 上昇し続けられない人間は地べたを這いずるし かないという極端な二択の中で「女性が輝く」とか「夢を追うのに年齢は関係ない」とかいうキャッチフレーズを聞くたび、わたしの頭にはいつも民家のクリスマスイルミネーションが浮かんだ。 窓辺に電飾を吊るし、「Merry X'mas」と外に向けて掲げる。それって誰のため?』 美雨の言葉に私も頷く。 世の中の上昇志向が肌に合わない人は少なからずいると思う。 私がもっと若ければこの作品にもっと救われていたかもしれないと思った。 ちょっと物足りない読後感。

Posted byブクログ

2024/05/06

読み始めは雨ちゃんと亨の恋愛ものかと思ったけど違った。 亨と弓彦のコンビ芸人と雨ちゃんの、なんともふんわりした関係性が心地よく、芸人のお話しだからか話しのテンポもよくてあっという間にふわっと読み終わった。タイトル通りの着々?そういうこと?そうかー。

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2024/04/12

タイトルが後から効いてくる!上手い! 絶対的な女性目線で自分の良いところも嫌なところも肯定できる。 一気読みでした。

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2024/04/07

不思議な雰囲気の小説。 崖っぷちOLとお笑い芸人たちの物語なんだけど 主人公美雨のふわふわした性格のせいか 享のつかみどころのない雰囲気のせいか 良い意味で生々しくないかんじというか。 日本の大阪の話なのに、どこか全体的に遠い世界の話を読んでいるような感覚に陥りました。 登...

不思議な雰囲気の小説。 崖っぷちOLとお笑い芸人たちの物語なんだけど 主人公美雨のふわふわした性格のせいか 享のつかみどころのない雰囲気のせいか 良い意味で生々しくないかんじというか。 日本の大阪の話なのに、どこか全体的に遠い世界の話を読んでいるような感覚に陥りました。 登場人物みんな優しくて 距離感の程良さと関係の曖昧さが 心地よかったです。 空飛べるんじゃないかって 傘持って高いところから飛び降りてた 小学校時代を思い出した。

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2024/04/05

芸人と受付嬢を中心に色々な人達が世の中の「ねばならない」に微力抵抗する物語だと思います。肯定的な意味でモラトリアムの話。 途中少し間延びしたように感じてしまったのですが後半想定しなかった展開で大変楽しく読み終えました。 星4つ。

Posted byブクログ

2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【あらすじ】 「できること、やりたいこと」何もない――。大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になると同時に「退職まであと1年」のタイムリミットを迎えた。その記念すべき誕生日、雨の夜に出会ったのは売れないお笑い芸人の矢沢亨。掴みどころのない亨、その相方の弓彦、そして仲間の芸人たちとの交流を通して、退屈だった美雨の人生は、雨上がりの世界のように輝きはじめる。美雨と亨と弓彦の3人は、変てこな恋と友情を育てながら季節は巡り、やがてひとつの嵐が訪れ……。 『どうしてだろう、この人の適当さにひどく安心するのは。安心している場合じゃないのに、気持ちが楽になる。』 『もう、半ば吹っ切れてしまったような笑顔だった。何かが抜け落ちた風通しの良さが悲しい。この人は苦しいけど、悔しいけど、楽になったんだ、と思った。いったん下ろしてしまったその荷を、もう一度はとても背負えないんだろう』 『夢とか目標って、一種の呪いだと思った。失うことも諦めることもつらい、でも解放でもある。』 『結婚したくない、とはっきり言えば「じゃあどうするの」と返す刀を受けなければならない。でも、何が「じゃあ」なんだろう。「ただ生きていく」のはそんなにも難しくて駄目なことなのか。』 『人間の運命はこんなちょっとしたことでいいほうにも悪い方にも転がっていく。その不確かさを、わたしは希望と呼びたかった。』 【個人的な感想】 他の方の感想で『スモールワールズ』の方が面白かった、という声が多かったので読むのを躊躇していたが、個人的にはすごく面白かった! 30手前、もがきながらも強く生きる美雨に勇気をもらえた!

Posted byブクログ

2024/02/28

29歳の崖っぷち受付嬢とお笑いを生業にする人々が出会って、シェアハウスっていうほどおしゃれじゃない事故物件の一軒家で生活する。どのキャラも個性的で、漫才やラジオトーク、日常会話の大阪弁が軽妙で心地良かった。 美雨の素直すぎる天然ちゃんがめちゃめちゃ可愛かった。亨の相方、弓彦の言動...

29歳の崖っぷち受付嬢とお笑いを生業にする人々が出会って、シェアハウスっていうほどおしゃれじゃない事故物件の一軒家で生活する。どのキャラも個性的で、漫才やラジオトーク、日常会話の大阪弁が軽妙で心地良かった。 美雨の素直すぎる天然ちゃんがめちゃめちゃ可愛かった。亨の相方、弓彦の言動がいちいち思春期か?!って笑えた。深いような、笑える一冊。

Posted byブクログ

2024/02/09

この本自体が、すでに漫才のネタ帳のようだった。 大阪の街や人に、どっぷりとつかって楽しかった。 パラソル、 雨に濡れないようにさしたり、 強い日差しから肌を守ったり、 もし、それが崖っぷちの人生にパラシュートになったら、 思いっきり飛び出せるのに。 鳥人間になれなくても、落ちて...

この本自体が、すでに漫才のネタ帳のようだった。 大阪の街や人に、どっぷりとつかって楽しかった。 パラソル、 雨に濡れないようにさしたり、 強い日差しから肌を守ったり、 もし、それが崖っぷちの人生にパラシュートになったら、 思いっきり飛び出せるのに。 鳥人間になれなくても、落ちて傷ついても、 キズパワーパッドがあれば、すぐに立ち直れる。 関西弁がなんだか暖かく感じた。 怒りを相手にぶつけるとき、 ぶつけられて、やんわりかわしたいとき、 ボケとツッコミ、とってもいい。

Posted byブクログ