パラソルでパラシュート の商品レビュー

一穂ミチ(著者)

2023/05/27

お笑い芸人とアラサーの微妙な感情を映す小説。最後の1人の登場人物によって心の中身がガラッとオープンになっていく。その伝わり方が少し面白かった。

2023/05/25

関西弁のやりとりや、ふんわりとした人間関係の移行が、心地よいのは文体のなせるところなのでしょうか。契約社員の受付嬢とお笑い芸人で、シェアハウスと映像化に適しそうな題材ではありますが、装丁も相まってか、非常にさわやかな読後感を得ました。

2023/04/30

読了後の爽快感が半端ない。
大阪のまだ売れない芸人達と、大企業の受付嬢がひょんなことからシェアハウスで一緒に暮らすことになる。
いわゆる普通には遠い人達の中での生活は、アラサーの普通のお嬢様にとってハラハラドキドキの連続だった。
出会う芸人達はコンプレックスのかたまりだったが、それを笑いに変えるエネルギーを自ら生み出し、人生という舞台で日々格闘していた。そしてそれに感化される主人公美雨。
芸のこと、生い立ちのこと、年齢や性別のこと、深い話題に触れながらも、大阪芸人特有のブラックユーモアに変換され、若者の青春劇として生き生きと描かれている。
主人公美雨とシェアハウスの住人との距離感が心地良かった。大切な人との距離感として見習いたい。

2023/04/21

美雨と享と弓彦の奇妙で穏やかな関係。そのゆったりとした空気感がそのまま漂う本でした。
大きな出来事が起こる訳でもないですが（第4章でちょっとあるかな）美雨と安全ピン、さらには郁子さん、マコちゃんとの関係性がすごく心地よかったです。
冒頭の一文が好き。

2023/05/08

最初は、何の話だろと思いながらだったけど、だんだん引き込まれて、シェアハウスの人たちと弓彦くんが好きになっていった。古い家も幽霊も怖いし、こんな不規則な生活の人たちと、私は暮らせないけど。でも楽しかった。
亨と美雨の関係はとても気持ちがいいけれど、もしかしてこれから恋愛関係になると、どうなるんだろう。亨の飄々とした感じにのっていければ、同じ感じで発展するのだろうか。

2023/03/21

読むのに時間がかかった。最初のうちは
登場人物の誰にもそれほどの愛着を感じなかったから。

3章の『あたらしい夏』から
だんだん登場人物の、背景が出てきて、

どんどん読み進めれるようになった。

本当に狭い世界、
何かが大きく変わるわけでもなく
板の上を生きていく

お笑い芸人てすごいなあ
やっぱり頭いいのかなあ

人を笑わせながら屈折したものがあるのかなあ

ひさしぶりに劇場でお笑いを見たいと思った。
通う人の熱に羨望の気持ち

千冬さんや浅田さんを見て
そうそうOLも捨てたもんやない
でも美雨の働いてきた、女性の使い捨てみたいな
会社はきっと先は長くないぞと思った。
いや、滅べばいいと思った。

自分も大阪に住んでいるので
路線も出てくる地名も知っていて嬉しい。とはいえ雑多なミナミはコロナ以降ほとんど行っていない。

行きたいな

印象に残ったセリフ

『なんでもなく生きていくのが難しい、成長、目標、何かキラキラしたものをまとっていないと怠け甘えの烙印を押される
上昇し続けられない人間は、地べたを這いするしかないという極端な二択の中で、女性が輝くとか
夢を追うのに、年齢は関係ないとかいうキャッチフレーズを聞くたび、私の頭にはいつも民家のクリスマスイルミネーションが浮かんだ。
窓辺に電飾を吊るし、Merry Xmasと外に向けて掲げるそれって誰のため？』

夏子の元ネタにもびっくり

あと、作中に出てくるネタも作者が考えたのかな

面白かった！

2023/03/12

スモールワールドが好きすぎて期待値高めで読んだので、少し残念。お笑い苦手なのもあり…読むのは時間がかかった。

2023/03/09

一穂作品初めて読んだ
この作家も私のリストに加えようと思った
読みたい作家がどんどん増えていく
こんな夢見たいな出会いがあるのだろうか
しかも、こんな舞台が
この作家の素晴らしさの原点かもしれない
この続きはあるのだろうか
読んでみたいような

2023/03/05

いやもう、めっちゃ好き。
「スモールワールズ」「砂嵐と星屑」「光のとこにいてね」と読んで、これが一番好きでした。
1回目でストーリーを追い、2回目で細かい表現をさらったけどまだ読みたい。図書館で借りて読んだんですが、買って手元に置きたい。
それくらい含蓄を富み、それがわたしには刺さりまくった本でした。
アラフィフだから刺さるんかな。20年近く経ってもアラサー女子のメンタル環境が変わってないことにも驚くけど、通ってきた道だからこそ感情移入が深くなるのかも。
色を多用した自然の表現や、突飛なとこからスタートして芯を食う比喩も好みでした。
あと欲しいとこに欲しい一文をズバッとくれる作家さんだと思う。
タイトルの回収も、これくらいちゃんとしてくれる方がわたしは好き。
とにかく好みの作家さん見つけられて嬉しいです。
某文庫を遡ります。

2023/02/23

私が美雨の友達か家族だったら、「もっとしっかりしなよ」とか「何で努力しないの？」とか言う側だったと思う…なんかごめんな…

何かしら、強い気持ちを持って目標を持って生きている人ばかりではない、人の生き方はさまざまだと読み終わった後思いました