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明け方の若者たち の商品レビュー

3.8

152件のお客様レビュー

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2021/11/25

友人に薦められたので、映画公開前に。 一貫した「彼」の目線での描写。「彼女」がどう思ったとか、何を考えているか、とかは分からないけれど、こんな風に一生懸命人を好きになれるって素敵だと思うし、好きになってもらえるのも羨ましい。 メンヘラ男子だなぁと思いつつ、イマドキの若者感をものす...

友人に薦められたので、映画公開前に。 一貫した「彼」の目線での描写。「彼女」がどう思ったとか、何を考えているか、とかは分からないけれど、こんな風に一生懸命人を好きになれるって素敵だと思うし、好きになってもらえるのも羨ましい。 メンヘラ男子だなぁと思いつつ、イマドキの若者感をものすごく感じる。きっと読めば昔の恋を思い出す。カツセさん自身が若いからこそ書けるし、同じような苦い恋愛をしてきたんだろうな。 映画化のキャスティングがハマりすぎてるので絶対見に行く。「彼女」は黒島結菜なんだ〜と思いながら読んだけど、イメージピッタリ。

Posted byブクログ

2021/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

尚人の「23~24歳の時期は人生のマジックアワー」という表現が印象的で好きだった。大学生の時期は人生のモラトリアム、などとはよく言われる表現かもしれないけど、本当のモラトリアムはその後の社会人になってすぐの時期かもしれない。このお話の主人公の高円寺での思い出のように、背負うものが何もないこの期間の思い出って、良くも悪くも無責任だから、楽しいものばかりだった気がします。 でも主人公たちはマジックアワーをどうにかこうにか生き抜いて、時間が経って大人になっていく今、「あの頃のきらきらは失われていく」ということを、一つの事実として前向きに受け入れていく。清々しいとは言えないけれど、苦しみや悩みの狭間にいながら、それでも現在を受け入れる主人公の姿が、なんだかリアルでよかったです。 あと明大前とか高円寺とか下北なんかの街が持つ”来るもの拒まず去る者追わず”のちょっと雑多な雰囲気は、「本当は弱くてダメな自分」と「働く社会人としての自分」を繋ぎとめてくれるような感覚を持たせてくれたなと、ふと、自分の悩んでいた時期を思い起こしました。そしてその街がもつノスタルジーはきっとずっと人を惹きつけるけれど、そこに縋り続けてしまうとそれはそれで多分ダメになってしまうなあと、弱い心のどこかで理解している感覚も心に残っていて、ちょっぴり胸が苦しくなります。 でも時間が経ってから間違いなく、こういう”なつかしさ”の感覚は、もう戻れない時間の美しさやあの頃の想いをのせて、時に人の心を温めてくれる。あの頃の記憶、経験、匂いなんかは時間の経過とともに確実に薄れていくけれど、時間のふるいにそぎ落とされて、なお胸に留まり続けて残った思い出が、人生の一つの拠り所として機能し続けるのもまたいいよねって思いました。

Posted byブクログ