残照の頂 の商品レビュー
女性の人生と登山をうまくリンクさせた物語。主に中高年の人生を振り返る登山がよい。まさに人生山あり、谷あり。 山の上のコーヒーと和菓子に絡めたくだりもよき。 若い時の山での苦楽を共にした友人とふたたび心を通わせ、また一歩を踏み出す勇気をくれる本。
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山女日記と違って登場人物が交錯するようなことはないんだけど、一本一本が珠玉。本のタイトルになっている残照の頂はちょっと難しい話だった。 後立山連峰は綾子の前半と麻美子の後半で、夫が退職してカフェを開こうとするのを定年までと引き留め、開店前に亡くしてしまった登山素人の綾子が夫へ謝り...
山女日記と違って登場人物が交錯するようなことはないんだけど、一本一本が珠玉。本のタイトルになっている残照の頂はちょっと難しい話だった。 後立山連峰は綾子の前半と麻美子の後半で、夫が退職してカフェを開こうとするのを定年までと引き留め、開店前に亡くしてしまった登山素人の綾子が夫へ謝りたくて五竜岳に登る。ガイドの山根が夫が店に残した写真の作者だった。後半は麻美子が大学時代に交際していた山根に助けられて鹿島槍ヶ岳に登り、下りたらカフェで会おうという。 北アルプス表銀座は、音大生3人と性愛について。それぞれが抱える悩みが難しい。 立山・剱岳は父親を2歳で亡くした娘が母を山に連れていって反対していた山岳ガイドにしてもらえるよう説得する。その山は父が母にプロポーズした山で、その時と同じサプライズを母は用意していた。 武奈ヶ岳・安達太良山は、山岳部の友人2人が仲違いしてたんだけど、月日を経て1人は実家の和菓子屋を継いで山を辞めていたのをまた登ったと手紙を書き、もう1人は夫との結婚生活が相続していたようにいかなかった話とやはり山にまた登った話を手紙に書いて。 著者は確か因島出身だったと思うけど、山も詳しいな。しかも音大の事情とか老舗の和菓子屋のこともよく取材している。
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山ガールの、山登りにまつわる友人、親子、夫への想い出を載せた短編4題。 後立山連峰 北アルプス表銀座 立山·剱岳 武奈ヶ岳·安達太良山 小説の主人公とは違い、私の場合は基本単独登山だったが、山に対する思いは伝わってきた。また、久しくアルプスと呼ばれる高山にも登っていないが、こ...
山ガールの、山登りにまつわる友人、親子、夫への想い出を載せた短編4題。 後立山連峰 北アルプス表銀座 立山·剱岳 武奈ヶ岳·安達太良山 小説の主人公とは違い、私の場合は基本単独登山だったが、山に対する思いは伝わってきた。また、久しくアルプスと呼ばれる高山にも登っていないが、これを読むと懐かしく、また登りたくなってきた。(剱・立山と安達太良以外は行っている) 湊かなえさんも、かつては山ガールだったようだ。彼女の山に対する気持ちが伝わってくるようだ。
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続編も最高でした。 あー山登ってみたい。 日帰りできるような初心者向けの… でも、過敏性腸症候群の私に清潔なトイレのない場所は無理。 そうだ、いつかお腹が強くなったら行ってみよう。きっとその時まで情熱が残っていないだろうけど… 山女日記のように登場人物が少しずついろんな話に登場す...
続編も最高でした。 あー山登ってみたい。 日帰りできるような初心者向けの… でも、過敏性腸症候群の私に清潔なトイレのない場所は無理。 そうだ、いつかお腹が強くなったら行ってみよう。きっとその時まで情熱が残っていないだろうけど… 山女日記のように登場人物が少しずついろんな話に登場するのではなく、完全な短編集だったのが星一つ分残念だった。 北アルプス表銀座の話が一番好きだった。美しい三角関係の話。山は三角関係すら美しくしてしまうのだろうか…
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登山をする女性が主人公の小説。第二弾も短編集。文庫本の発売前にNHKでドラマ化されているが、工藤夕貴をメインの主人公に据えているため本編とは違う脚本になっている。それぞれの人生の中での抱える日常の悩みなどが、山という特別な舞台の上であぶりだされ解放されていく展開は前向きで暖かい気...
登山をする女性が主人公の小説。第二弾も短編集。文庫本の発売前にNHKでドラマ化されているが、工藤夕貴をメインの主人公に据えているため本編とは違う脚本になっている。それぞれの人生の中での抱える日常の悩みなどが、山という特別な舞台の上であぶりだされ解放されていく展開は前向きで暖かい気持ちにさせてくれる。
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読みかけのままだったのが何となく気になったので最初から読み直し。『山女日記』第2弾。4話収録の短編集。前作を読んだ時に自分も山に登ってみたいなと思ったのを思い出した。『ゆるキャン△』を読んだ時はキャンプしたくなったし、影響されやすいのかな。女手一つで育ててくれた母と登山をすること...
読みかけのままだったのが何となく気になったので最初から読み直し。『山女日記』第2弾。4話収録の短編集。前作を読んだ時に自分も山に登ってみたいなと思ったのを思い出した。『ゆるキャン△』を読んだ時はキャンプしたくなったし、影響されやすいのかな。女手一つで育ててくれた母と登山をすることになった山岳ガイド志望の娘のエピソード「立山・劔岳」の母の強さが好き。不安な気持ちで帰りを待つのでなく自分も同じ経験をしてみる。疎遠になってしまった女友達との往復書簡「武奈ヶ岳・安達太良山」のソロ登山の挑戦も良かった。
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立山に行った後、家の本棚を見てみると妻が買ったこの本が目についた。立山のことが出てくるので読んでみた。山好きのプロの作家が書くとこうなるのか、と感嘆した、見事な連作小説。
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湊かなえ著『残照の頂 : 山女日記 続』(幻冬舎) 2021.11発行 2024.7.24読了 短編4本を収録したもの。前作が7本だったのに対し、今作は4本なので、内容にも厚みがある。私は今作の方が好みだった。 「後立山連峰」 早期退職して喫茶店を開きたいという夫の夢を、定...
湊かなえ著『残照の頂 : 山女日記 続』(幻冬舎) 2021.11発行 2024.7.24読了 短編4本を収録したもの。前作が7本だったのに対し、今作は4本なので、内容にも厚みがある。私は今作の方が好みだった。 「後立山連峰」 早期退職して喫茶店を開きたいという夫の夢を、定年退職するまで待ってほしいと引き伸ばしてしまい、夢を叶えることなく心筋梗塞で死んでいった夫。夫に詫びるため、天の川が見える五竜岳を目指す。 「北アルプス表銀座」 「立山・剱岳」 「武奈ヶ岳・安達太良山」 大学時代、同じ山岳部の同期だった「エーコ」「イーちゃん」の往復書簡形式の物語。京都で300年続く和菓子屋『吉兆鶴亀堂』の女店主エーコは、大学を卒業しても一緒に山に登ろうと約束していたのに30年間一度も会いもしなかったイーちゃんに突然手紙を送る。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I031748202
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続・山女日記。後立山連峰、北アルプス表銀座、立山・劔岳、武奈ヶ岳・安達太良山の4篇(連作ではない)。山は人間関係の痼を解して再生してくれる。僅かなボタンの掛け違いで関係が軋んでしまった友人、恋人、夫婦、親子。人生にドラマあり…続編が出たら是非読みたい。
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女性目線の登山話、でも登山に真剣に向き合っている、人生を重ねている女性は身近にいない。というか存在してるのか、だから小説になるのか。
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