会って、話すこと。 の商品レビュー
本書のメッセージはタイトルの通り「自分のことはしゃべらない」「相手のことも聞き出さない」こと。ひたすら自分語りしたり、根掘り葉掘り質問していたら本当の意味で会話は豊かにならない。 会話をする上では ・わたしの話を聞いてもらわなければならない ・あなたの話を聞かなければならない ...
本書のメッセージはタイトルの通り「自分のことはしゃべらない」「相手のことも聞き出さない」こと。ひたすら自分語りしたり、根掘り葉掘り質問していたら本当の意味で会話は豊かにならない。 会話をする上では ・わたしの話を聞いてもらわなければならない ・あなたの話を聞かなければならない という発想を捨てると、楽にコミュニケーションをとれるようになる。要は人は人に興味がないので、熱く語ったり、熱心に話を聞いたところで・・・ということになる。会話に結論は不要で、適当なことを話せばいい。 お笑いの文化にはボケとツッコミが存在するが、日常の会話ではボケをかますことだけ考えていればいい。ボケは今目の前にある現実世界に対する、別の視点からの「仮説提示」であり、豊かな会話の出発点であるという。ツッコミはそれをぶち壊してしまうので、日常生活では不要。
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【会って、話すこと。】 田中泰延さんのベストセラー『読みたいことを、書けばいい』では、自分が書きたいことを書くのではなく、読みたくなることを書きましょうと伝え、その方法が挙げられていた。本を読み終えてから、ちょうど書き上げてあとは投稿するだけだったnoteの記事を泰延さんの本の...
【会って、話すこと。】 田中泰延さんのベストセラー『読みたいことを、書けばいい』では、自分が書きたいことを書くのではなく、読みたくなることを書きましょうと伝え、その方法が挙げられていた。本を読み終えてから、ちょうど書き上げてあとは投稿するだけだったnoteの記事を泰延さんの本のまますべて書き直して投稿したところ、ダントツにビュー数とリアクション数が高くなり驚いてしまったことがある。 でも人は弱いもので、やはり書きたいことを書いてしまう。そして話したいことを、聞きたいことを口に出してしまう。 私を知って、あなたを知りたいのと、まるで落ち着きのないイヌのようにハアハアと飛びついているようだ。 本が届き目次を見て、恐れながら最初に読んだページがある。 『好きという言葉は、最悪です』 好きな人、ものには臆面なく好きと言ってしまうし、どう好きかまでを語ってしまう。なぜかはわかっている。好きを語るのは自分が気持ち良いからだ。感情の押し付けとわかっているのに、好きなものについて語る快感はあまりにも甘く止めることができない。 内田樹さんは著書の中で、ファンの一番大切な仕事は、そっとプレゼンテーションすることだと書いていた。押し付けがましいのも、ツンケンするのもだめで、そっと差し出すのだと。 これもかなりドキッとさせられた一文だった。 接客販売業なので、一般企業の事務の人に比べれば、未知の人と会話をつくる状況はとても多い。 最初からスムーズに会話ができればいいが、店員とのコミュニケーションを拒否する人も一定数いる。だからといって放っておいても売上はつくれないので、商品やお買い物という目的の外に会話のきっかけをつくろうとする(「いいお天気ですね」は経験上、相手の心にバリヤーを張る最悪な言葉だったりする)。 仕事の時は割と冷静にコントロールできるのに、プライベートとなるとガタガタに崩れてしまうのはなぜだろう。 会話は相手の力に負うことが多いと感じる。聞き上手の人が相手だと、まるで自分の会話力が上がったような気になり時には相手を楽しませたと錯覚すらしてしまう。なんと恐ろしいことだ。もしそうなら私が何を言わなくても、話したいという人が列をなすはず。しかしどこにも見えない。それが現実だ。 『黙って想い、考えたすえ、どうしてもこぼれ落ち、相手に伝わることばが「話す」である。(「会って、話すこと」より)』 日頃から考えていることや、蓄えてきた知識が、あるとき誰かとともに過ごした時間にほろりと出てくる。 理想の会話は問わず語り。そういえば、で連なる会話ができたとき、胸があたたかくなる幸せをふっくらと感じる。これがもっともっと多くなれば、人生に幸福なときが増えていくということだ。 この本を読み通しても、言いたいことを話し、好きを好きとストレートに伝えてしまう悪癖をやめられる自信はない。でも好きの外にある世界にもっと目を向けようと思う。顔をあげて広く遠く見通して、目に留まったカケラをいくつも拾えれば、その先に誰かとの愛おしい会話の時間が待っているのかもしれない。 田中泰延さんの魅力である言葉選び会話運びそのまま、あちこちに散りばめられたユーモアに噴き出しながら、最後の章では深い優しさに涙する。大好きな(あ、言っちゃった!)一冊となった。
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自分は相手に興味がない。相手も自分に興味がない。それが真実なら、どんな会話があり得るか。ケニアで暮らし、人一倍”会話”に渇望しながら生きているからか、何度も頷きながら読み進めた。マウンティングのない会話の豊かさよ。個人的には前著よりも好きです!
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