ばにらさま の商品レビュー
6つの短編小説。誰もが抱く人間関係から生じるモヤモヤ感やザラツキ感。心の深層描写に終始共感した。遺作となった本書だが、鋭利な中に愛と光が鏤められていて山本文緒が溢れていた。
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9月に発行された物だから遺作という事になりましょうか。小説をよく読み始めた頃は山本文緒さんの作品が読み易くてよく読んでたなぁと思い出す。最近はまた描き始めていたと言う事だったが、残念ながら最近の作品に出てくる女性には少しイラっとさせられる事が多く、あまり楽しめなかった。それでも、...
9月に発行された物だから遺作という事になりましょうか。小説をよく読み始めた頃は山本文緒さんの作品が読み易くてよく読んでたなぁと思い出す。最近はまた描き始めていたと言う事だったが、残念ながら最近の作品に出てくる女性には少しイラっとさせられる事が多く、あまり楽しめなかった。それでも、もう新作が読めなくなるのは寂しい事です。
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6つの短編集。 タイトルの「ばにらさま」は、モテない僕の恋人が白くて冷たいからバニラアイスにたとえている。 こういうの今どきの彼女なんかな? 何を考えているのか何も考えてないのかよくわからない2人の恋愛と破局。 「わたしは大丈夫」は、ただただ倹約生活をしているちょっと疲れた主...
6つの短編集。 タイトルの「ばにらさま」は、モテない僕の恋人が白くて冷たいからバニラアイスにたとえている。 こういうの今どきの彼女なんかな? 何を考えているのか何も考えてないのかよくわからない2人の恋愛と破局。 「わたしは大丈夫」は、ただただ倹約生活をしているちょっと疲れた主婦かと思いきやそこに至るまでの過程が凄すぎて恐い。 「菓子宴」は、浮き沈みの激しい娘に振り回されている母。 血が繋がっているとどうしても放っておけない、気になって仕方がない…。育て方が間違っていたのか、自分が悪いのか、本当は独り立ちしてしっかりと生きてほしいのが本音。 だけど言えないもどかしさ。 「バヨリン心中」は、祖母が語る若き日の恋愛。 一目惚れのような感じで自分からグイグイと行動してしまったあの頃。 2011年の震災が無ければ、ずっと一緒に暮らしていたのか? どうなるのかわからないのが人生。 「20×20」は、まさに著者のことなのでは… 仕事場にしているマンションの隣人たちとの日々。 あんまり深く付き合いたくないオーラが出ているが、放っておいてほしい、と思う気持ちよくわかる。 「子供おばさん」は、中学時代の友人の葬儀に出席した後、遺族から形見として託されたもの。 えっ、そんなのあり…というもの。 いやいや普通は、引き受けないでしょう、辞退するでしょう。 なのに何故⁇ ひとりで寂しく生きるであろう…と思われたのか?
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前から好きな作家さんの1人でした。長い心の病からやっと抜け出せて これから と言うときに 今度は 身体の病…とても残念で悲しいです。 短編集 これを書かれた時 心や身体はどんな状態だったんでしょう。 「バヨリン心中」が良かったです。でも どのお話も みんな不安定な人達 な感じでし...
前から好きな作家さんの1人でした。長い心の病からやっと抜け出せて これから と言うときに 今度は 身体の病…とても残念で悲しいです。 短編集 これを書かれた時 心や身体はどんな状態だったんでしょう。 「バヨリン心中」が良かったです。でも どのお話も みんな不安定な人達 な感じでした。 たまたまでしょうか。最後の短編の最後の言葉。
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冴えない会社員の広志にできた彼女は色白でとびきり可愛い“ばにらさま”。彼女は、バニラアイスみたいに冷たい…。痛くて、切なくて、引きずり込まれる。日常の向こう側に見える心のあり様を捉えた6篇。 気持ちがすっきりしない。
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本の表紙がなんとなく今までと違い読み出すのに時間はかかったが読み始めるとスルスルと読めてしまいました。折り合いがつきにくい気持ちの機微を丁寧に書いてある作品。もう新しい話が読めないと思うと寂しい。。
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装丁が可愛くて買いました。とても甘々しいタイトルで気になりました。短編集なのですが、どの作品にも共通しているのが、ちょっと甘くて、ちょっとほろ苦い恋愛模様を描いているところです。山本作品にもっと早く出会ってればと感じました。
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タイトルと装丁の甘さとはちょっと違いダークさのある短編作品でした。特に「わたしは大丈夫」「菓子苑」は昔読んだ恋愛中毒を思わせる、そんなゾワッとした感覚がありました。 もっともっとご活躍して頂きたかった大好きな作家さんでした。近年は心の病からの復帰でこれから、って思っておりましので...
タイトルと装丁の甘さとはちょっと違いダークさのある短編作品でした。特に「わたしは大丈夫」「菓子苑」は昔読んだ恋愛中毒を思わせる、そんなゾワッとした感覚がありました。 もっともっとご活躍して頂きたかった大好きな作家さんでした。近年は心の病からの復帰でこれから、って思っておりましので残念です。心安やかにお休みください。ご冥福をお祈り申し上げます。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み終えて、人って試行錯誤しながら生きてるんだなって感じた。 生きているということを強く感じる気がした。 短編集だが読んでいて「あれ??」っとそれぞれ驚く箇所がある。「ぼおっと読んでんじゃねぇよ〜!」とツッコみ入れられてるかのような瞬間がある。 「菓子苑」の展開には特に驚いた。 余談だが、胡桃の性格が昔の私そっくりだったからより一層驚いた。 愛に渇望していて生き急いでるような… 家族も友達も恋人も同僚も上司も一緒にいてしんどかっただろう思う。胡桃の性格を読んでついでに私自身の反省もした。 SNS風文章をうまく入れ込んでいるところもトリッキーだった。 鋭い観察眼はさすがだ。 ずっと昔に読んだ『プラナリア』もまた読みたくなったから探してみよう。 今年春から体調崩されていたとのこと。 9月発売のときにはTwitterにも書かれていてお元気そうな感じだったのになぁ。 ご冥福をお祈りします。
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どれも日常のなかでありそうな作品。 バニラのような甘さのなかに潜む毒。 誰もパーフェクトじゃない。楽な人生なんてない。だけど誰かのそんな人生を本を通して覗いてみることは、なんて面白いんだろう。 表題作の「ばにらさま」は、ばにらさまのその後がとても気になった。 きっと1人で、ど...
どれも日常のなかでありそうな作品。 バニラのような甘さのなかに潜む毒。 誰もパーフェクトじゃない。楽な人生なんてない。だけど誰かのそんな人生を本を通して覗いてみることは、なんて面白いんだろう。 表題作の「ばにらさま」は、ばにらさまのその後がとても気になった。 きっと1人で、どこか冷めた様子で、淡々と生きていくのだろうけれど、それを観察していたかった。 「わたしは大丈夫」「菓子苑」「バヨリン心中」「20×20」は、その仕組みに気づいたときに「おおっ」となった。 2度読みとは、そういうことか。 最後の「子供おばさん」は、なんだか停滞したまま何もなし得てないいまの私と重なって、5つの中で一番共感した。 あと、葬儀や死、エンディングノートについて書いていて、山本文緒さんが亡くなられたいま、山本さんも生前こんなことを考えていたのだろうか…と思いをめぐらせた。 山本さんの訃報、本当にびっくりで、残念でした。心よりお悔やみ申し上げます。 最後の本となってしまった「ばにらさま」は訃報を知った翌日に、上司が貸してくれました。 もっといろいろな作品を、これからも書いていただきたかったです。安らかに。
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