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ばにらさま の商品レビュー

3.7

146件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2021/12/17

山本文緒さんの、最新刊にして遺作となったこの小説を読んで、もっともっと長く山本さんの作品を読みたかった、としみじみ思った。 シンプルに読み物として面白い作品をたくさん生み出し続けていたことに対する敬意とともに。 帯の「痛くて、切なくて、引きずり込まれる!」が、まさに、の感想。そ...

山本文緒さんの、最新刊にして遺作となったこの小説を読んで、もっともっと長く山本さんの作品を読みたかった、としみじみ思った。 シンプルに読み物として面白い作品をたくさん生み出し続けていたことに対する敬意とともに。 帯の「痛くて、切なくて、引きずり込まれる!」が、まさに、の感想。その3要素は私の好きな小説のタイプに当てはまるので、嫌いなわけがない。 6つの物語のうちいくつかは、ミステリではないもののいわゆるミスリードを誘うものがあり、気づいた時の「やられた」感がとても爽快。 表題作の「ばにらさま」は白くて可愛らしい歳上の彼女が出来た主人公目線なのだけど、ネットを通して彼女の裏側が明かされていくという哀切を感じる物語。 他の5つもそれぞれに切ない要素があってとても良くて、とくに好きな作品を選べない。どれもとても良い。 他人からは幸せに見えていたり、何の問題もなく生きているように見える人たちにも、それぞれの悩みや苦しみがある。そしてそれを取り繕って過ごす人間について描かれていて、昔からずっと山本文緒さんの作品といえばそれが醍醐味だったと改めて感じた。自分にも思い当たる面があるからこそ、グサッときたりする。 まだ読んでいない山本さんの作品も、大切に読んでいこうと決めた。

Posted byブクログ

2021/12/05

 短編集。  立場を知らないと、側から見ると悪い印象を持つ相手が違いますね。  菓子宛・子供おばさんがよかった。  p88体を鍛えて、能力を磨いて、社会の中で価値ある人間として生きてゆく。そのためには睡眠時間などいくらでも削ると言うのだろうか。そして何を獲得してゆくのか。生...

 短編集。  立場を知らないと、側から見ると悪い印象を持つ相手が違いますね。  菓子宛・子供おばさんがよかった。  p88体を鍛えて、能力を磨いて、社会の中で価値ある人間として生きてゆく。そのためには睡眠時間などいくらでも削ると言うのだろうか。そして何を獲得してゆくのか。生きている実感なのか、他人からの賛辞なのか、家族との豊かな生活なのか、はたまた享楽と言われるもの全てなのか。    p97大人はみんな知っている。人生のパートナーはこの世で一人きりではないことを。賃貸マンションのように、条件さえ緩めれば、好きになれる相手はいくらでも存在する。問題は親密さを保つ努力や、相手のことを慮る想像力だ。それに加えてひと匙の縁。それが胡桃の言う運命だとしても、小 恋人同士の関係維持はそれだけでは保たれない。それに彼女はただ、自分褒め称え、わがままを聞いてくれ、会いたいときにはそばにいて、会いたくないときには目の前から消えてくれる便利な男を探しているだけだ。 p105「〜アイルランドでは腹が立った時に、ポケットに入れてある小石を右から左に移すと怒りが収まるっていう言い伝えがあるって言って」

Posted byブクログ

2021/11/25

自分とは違う世界を生きている人々が描かれていると思いました。でも、その差はきっとほんのちょっとなんだとは思います。

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2021/11/21

これが遺作だなんてどうしても受け入れたくなくて、読んでしまったら本当にお別れな気がしてしまい、積まれたこの本になかなか手が伸びなくて、読むのに時間がかかってしまった。 あぁ、そうだ。 わたし、若い時、この人の作品が好きだった。 そのことを思い出した。 この六つの短編を読んでそ...

これが遺作だなんてどうしても受け入れたくなくて、読んでしまったら本当にお別れな気がしてしまい、積まれたこの本になかなか手が伸びなくて、読むのに時間がかかってしまった。 あぁ、そうだ。 わたし、若い時、この人の作品が好きだった。 そのことを思い出した。 この六つの短編を読んでそれをもう一度おもいだしたし、若くない今も好きだなとおもう。 個人的には菓子苑がお気に入り。 山本さんは、中央公論文芸賞受賞のお言葉の中で『ただ腕を伸ばして届く範囲にある絵の具で作品を描くような仕事の仕方をしてきてしまった』と仰っていたが、山本さんの手にした絵の具は単純な色ではなかったし、描いた作品も決して凡庸なものではなく、かといって私を突き放すような偉大なものでもなく、包み込んで赦してくれるような、それでいて叱ってくれるような、とにかく素晴らしい『絵』でした。 最後の作品をこんなにも早く手にしなければいけなかったことがくやしい。 山本さんが残してくれた作品は消えてなくなったりしないから、わたしはこれからもプラナリアや恋愛中毒を何度も読み返して、山本文緒という作家を決して殺すことなく生かし続けてみせるよ。 読者が忘れなければ、いつまでだって生きていられる。今はただそう自分に言い聞かせてる。

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2021/11/16

6つの短編。 どれも読みごたえあり。いつもなら、好きなものが2,3編というところだが、今回はあえて気に入らなかったものはと聞かれれば「ばにらさま」かな。 著者の訃報、本当に残念です。 この短編からも様々な年代を見渡すことができ、そしてこの先も同年代として、年齢を重ねるごとにたく...

6つの短編。 どれも読みごたえあり。いつもなら、好きなものが2,3編というところだが、今回はあえて気に入らなかったものはと聞かれれば「ばにらさま」かな。 著者の訃報、本当に残念です。 この短編からも様々な年代を見渡すことができ、そしてこの先も同年代として、年齢を重ねるごとにたくさんの共感できる小説に出会えると思っていたのに・・・ 心からご冥福をお祈りいたします。

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2021/11/14

短編集。 う~ん、読み終わっても特に印象に残らなかった。 ただ最後の話はちょっとグッと来た。 決して同じ立場ではないけど、ラストの2行は自分のようだと思った。

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2021/11/13

追悼の意味を込めて、 読んでみた。 山本文緒さんの話は「自転しながら公転する」がとても印象に残っている。 そんな雰囲気の短編集が6つ。 ばにらさまも良かったが、バヨリン心中が壮絶で迫力のある話だった。 どれも良かった。 大人女性が共感出来そうな本。

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2021/11/12

取っておきたかったけど、読み終わってしまいました。山本文緒さんの描く女性像は、どこにでもいそうだけどどこか影を抱えた女性が多かった印象です。彼女たちなりに問題に立ち向かったり、小さな一歩を踏み出す描写に勇気をもらいました。また読後に感じられるほんのりとした希望や温かみ、余韻が好き...

取っておきたかったけど、読み終わってしまいました。山本文緒さんの描く女性像は、どこにでもいそうだけどどこか影を抱えた女性が多かった印象です。彼女たちなりに問題に立ち向かったり、小さな一歩を踏み出す描写に勇気をもらいました。また読後に感じられるほんのりとした希望や温かみ、余韻が好きでした。この作品の中にも、それぞれ個性のある女性たちが描かれており、どこか自分を重ねるように、噛み締めるように読みました。 大好きな作家さんでした。もっともっと読みたかったです。

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2021/11/09

 久しぶりな『文緒様』だったので、どんな文章書かれた方なのか復習気分で読み終えた。『恋愛中毒』の延長上がこれですか。口直しに『プラナリア』攻略中。

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2021/11/09

山本文緒が好きだ。 初読は『絶対泣かない』。 二子玉川の書店で買って、家に帰るのももどかしくカフェで読んだ。 その山本文緒が死んだ。 『自転しながら公転する』は久々に読んで、いろいろな感想を持ったけれど、 また新作が読めると疑っていなかった。 とてもとても悲しい。 一番好きなの...

山本文緒が好きだ。 初読は『絶対泣かない』。 二子玉川の書店で買って、家に帰るのももどかしくカフェで読んだ。 その山本文緒が死んだ。 『自転しながら公転する』は久々に読んで、いろいろな感想を持ったけれど、 また新作が読めると疑っていなかった。 とてもとても悲しい。 一番好きなのは『バヨリン心中』 3.11の時、国際結婚をしていた夫アダムが祖国に子どもを連れて逃げ帰ろうとするとき、父親の軽トラで空港行きのリムジンバスに突っ込み、子どもを奪還する。 「この子は私のものだ!」 「富士山が噴火しても私は逃げない!」 ここを読んだとき、そのストーリーと関係なしに、 もう、こういうのを書く山本文緒がいない、と思ったら泣けてきた。 「どうせ愚かなら、どこまでも一緒だと思うような愚かさだったらよかったのに」 「写真を見せてもらっても、昔のことすぎて顔も覚えていません。でも、こんなふうだったのならよかった」 恋とは生きものになること。

Posted byブクログ