1,800円以上の注文で送料無料

川のほとりで羽化するぼくら の商品レビュー

3.3

51件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2023/02/17

「わたれない」「ながれゆく」「ゆれながら」「ひかるほし」 4話収録の短編集。 それぞれ、シチュエーションは全く異なるが、全話に共通して登場するのは『川』。 いつのまにか自身に植え付けられた性別による役割や、息苦しいまでの固定観念。 その理不尽な思いを掬い上げ、縛りから解放して...

「わたれない」「ながれゆく」「ゆれながら」「ひかるほし」 4話収録の短編集。 それぞれ、シチュエーションは全く異なるが、全話に共通して登場するのは『川』。 いつのまにか自身に植え付けられた性別による役割や、息苦しいまでの固定観念。 その理不尽な思いを掬い上げ、縛りから解放してくれるような筆致に、心が少しずつ軽くなって行く。 遠いように見えて向こう岸までは、勇気を振り絞ればあっと言う間。 いつもの見方、考え方を少し変えて頭をやわらかくすれば、いつだって前へ進む事は可能だ。 自分を変えたい、変わりたいと思った時が決断の時。

Posted byブクログ

2023/02/15

橋にまつわる短編集。 どの話も好きだったが、同作家さんのSFチックな話を初めて読み、着眼点も好きだと感じた。 最近子供ができ、年中行事や童謡なども調べているため、七夕の話についてもそんな見方があるのか、と興味深く感じた。 確かに、罰として1年に1回しか会えなくされていたなぁと。 ...

橋にまつわる短編集。 どの話も好きだったが、同作家さんのSFチックな話を初めて読み、着眼点も好きだと感じた。 最近子供ができ、年中行事や童謡なども調べているため、七夕の話についてもそんな見方があるのか、と興味深く感じた。 確かに、罰として1年に1回しか会えなくされていたなぁと。 他の話でも世間から見た男女の役割の差、出産という行為で愛情の大きさが変わるのかなど、考えてしまう部分が多かった。

Posted byブクログ

2023/02/05

美しいタイトルと装丁、気になっていた本です。 違う世界に行ける気がする、川を越えれば。しかし、なかなか渡れないのが現実。先入観、人の見方(世間の目)そんな呪いを断ち切ることができたらどんなに楽かと思う。 川と橋をモチーフに、ジェンダーレス、男性の育児、神話(過去)、ファンタジー(...

美しいタイトルと装丁、気になっていた本です。 違う世界に行ける気がする、川を越えれば。しかし、なかなか渡れないのが現実。先入観、人の見方(世間の目)そんな呪いを断ち切ることができたらどんなに楽かと思う。 川と橋をモチーフに、ジェンダーレス、男性の育児、神話(過去)、ファンタジー(未来)へと舞台は飛び、ラスト男尊女卑世代の背景(この世代の妻の心理を若い作家さんが表現され凄い)の現代へ戻る。 「らしさ」に縛られ、解放を求めている登場人物。その解放されたい現状は本人しか気づくことはできない。その心情が伝わり、自分の抱えるものと重なりました。 しかし、一概に解放されればいいというものではなく、自分の役割があるほうが楽、ということもありますよね、と。そのバランスと自分で選択できるようになりつつある社会について考えた一冊だった。ツーンとした息苦しさが残った。神話、ファンタジーの章は、訴えは響きはするのですが、宙を浮いてるような不思議な感覚。 ウスバキトンボの北上。ウスバキトンボは北上しすぎて死滅する習性がある。それは自分たちの生きやすい世界が来るのを信じて飛んでいるから。

Posted byブクログ

2023/01/15

「新しい星」彩瀬さんにハマったので。 2部と3部がファンタジーで新鮮だったけど、個人的には彩瀬さんはやっぱり生々しい人間物語が好き。 なので1部と4部が特に好きでした。 どちらも自分と違った、むしろ対角線の立場にいるような人達の主観に触れることで色々考えさせられた。 やはり彩瀬さ...

「新しい星」彩瀬さんにハマったので。 2部と3部がファンタジーで新鮮だったけど、個人的には彩瀬さんはやっぱり生々しい人間物語が好き。 なので1部と4部が特に好きでした。 どちらも自分と違った、むしろ対角線の立場にいるような人達の主観に触れることで色々考えさせられた。 やはり彩瀬さんの人情表現はえげつないです笑

Posted byブクログ

2022/11/12

橋の向こうとあちら側。 どちらに自分にとっての安息の地はあるのか。 人生は常に分岐の連続。 その時々で選べる時もあれば、そうでない時もある。 だが、分岐したことを憶えていて、いつかもう一度選択する機会をそっと待つのも良いのかもしれない。 人生はそんな分岐と選択の連続で成り立つ不思...

橋の向こうとあちら側。 どちらに自分にとっての安息の地はあるのか。 人生は常に分岐の連続。 その時々で選べる時もあれば、そうでない時もある。 だが、分岐したことを憶えていて、いつかもう一度選択する機会をそっと待つのも良いのかもしれない。 人生はそんな分岐と選択の連続で成り立つ不思議な営みなんだなと改めて感じさせる一作だった。

Posted byブクログ

2022/10/30

読書備忘録692号。 ★★。 新しい星は良かったけど、これは心に響かなかった。 描きたかったことは理解する。 川を、そこにあるけど渡れない別の世界との境界、ちょっとしたハードル、ひと皮むける勇気と位置付けた短編4篇。 やはり読書って圧倒的な感動、感激、感情移入、衝撃が欲しい。現...

読書備忘録692号。 ★★。 新しい星は良かったけど、これは心に響かなかった。 描きたかったことは理解する。 川を、そこにあるけど渡れない別の世界との境界、ちょっとしたハードル、ひと皮むける勇気と位置付けた短編4篇。 やはり読書って圧倒的な感動、感激、感情移入、衝撃が欲しい。現実世界での苦しみやちょっとした悩みをいっときでも忘れたくて読んでるし、それを期待するから。 微妙に味がする程度のフレーバーウォーターが好きな人は合うかも。笑 「わたれない」 「ながれゆく」 「ゆれながら」 「ひかるほし」 まあ、「わたれない」が一番しっくり来たので、2編目に入ったけど、そこから3編は???の連続だった。 最後の「ひかるほし」は高齢の女性が認知症的な連れ合いのおかしな振る舞いから羽化する的な話だけど、高齢者なら誰にでも起こる、自分ではどうしようもないことを、なんとなく悪人に仕立てているのが非常に気分が悪かった。 200p無いボリュームなのに、めちゃくちゃ読了に時間が掛かった。笑 いじょう!笑

Posted byブクログ

2022/10/18

川のこちら側とあちら側。それを繋ぐ大きな橋。 四つの話は連作短編ではないけれど、川と橋は共通のテーマ。 御伽噺やファンタジーもあれば、現代の話もあり。 人生の分岐点で、橋を渡って向こう側へ行くのか留まるのか。 一歩踏み出すのは勇気がいるけど、橋の向こう側の希望を想像して行動した...

川のこちら側とあちら側。それを繋ぐ大きな橋。 四つの話は連作短編ではないけれど、川と橋は共通のテーマ。 御伽噺やファンタジーもあれば、現代の話もあり。 人生の分岐点で、橋を渡って向こう側へ行くのか留まるのか。 一歩踏み出すのは勇気がいるけど、橋の向こう側の希望を想像して行動したら、思ったよりも明るかった。

Posted byブクログ

2022/10/05

勝手に長編もしくは連作短編かと思って手に取ったわたしが悪いんですが…苦笑 最初の話読み終わった後次の話読んだらかなり迷子になって、さらにその話が超つまらないものだから困った。楽しみにしてる作家さんの1人なのですが残念でした

Posted byブクログ

2022/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する暁彦は、“ママじゃない”ことに限界を感じていた。 そんなとき拠り所になったのが、ある育児ブログだった。 育児テクニックをそこから次々取り入れる暁彦だが、妻はそれがつらいと言い……(「わたれない」)。 (アマゾンより引用) それがつらい、の意味が分からん

Posted byブクログ

2022/05/14

底のしれない深さを持つ大きな川が流れていて、橋がかかっているからその向こう側とは世界は繋がっている。けれども、渡るのになぜだか果てしない勇気を必要とするという状況は、現実において何かの岐路に立たされたとき、イメージしやすい状況だと思います。 そんな岐路に立つ人々の姿が、リアルに...

底のしれない深さを持つ大きな川が流れていて、橋がかかっているからその向こう側とは世界は繋がっている。けれども、渡るのになぜだか果てしない勇気を必要とするという状況は、現実において何かの岐路に立たされたとき、イメージしやすい状況だと思います。 そんな岐路に立つ人々の姿が、リアルに、あるいは幻想的に、繊細な筆致で描かれていました。渡ってしまえばちっぽけなものだったり、こちらもあちらも変わらなかったり、絶望を抱えて出戻ってしまったり。橋を渡る、一歩踏み出す人々のその些細な心の揺らめきと決意の摂り方がやさしく現わされていました。 未知の世界は恐ろしくてよそよそしい。けれども、そこには今まで見えなかった世界が広がっているかもしれない。それは、必ず素晴らしいわけではないけれど、そこへ踏み出す決意はきっと、これからの自分に大切な礎になるだろう。 そんなささやかな勇気をいとしく感じられた作品集でした。

Posted byブクログ