川のほとりで羽化するぼくら の商品レビュー
❇︎ わたれない ながれゆく ゆれながら ひかるほし 独特な視点からの不思議な話 『わたれない』が、 読み馴染みが良かった
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4つの話を全て読み終わり、タイトルの意味がわかった。 どの話にも川が出てくるのだけれど、常識であったり慣例だったり、他人の目であったり、自分自身にかけた呪いであったりして、簡単には渡れない、自分には無理だと決めつけてしまう壁のような分断を表しているようだった。 川のこちら側で...
4つの話を全て読み終わり、タイトルの意味がわかった。 どの話にも川が出てくるのだけれど、常識であったり慣例だったり、他人の目であったり、自分自身にかけた呪いであったりして、簡単には渡れない、自分には無理だと決めつけてしまう壁のような分断を表しているようだった。 川のこちら側で息苦しく感じても、頑張ってそのまま生きるのも人生だけれど、見方を変えてみたり、恐れず向こう側に行ってみることによって今より生きやすい世界に行けるかもしれない。渡ってみると意外と容易かったと思うかもしれない。 変化をすることは恐ろしいけれど、自分が踏み出す小さな一歩で自分の世界を明るい方に導けるかもしれないと背中を押された一冊でした。
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リアルなものとファンタジーをまとったものと。人と人とが、尊重し合って暮らすとは?ということを問うような四つの物語。 私たちの暮らしのあちこちを縛る古い約束事は、女を縛ることで、男も縛る。それに気づいて、変えようとする人の物語は、優しく柔らかいけれど、背筋がすっと伸びるような力があ...
リアルなものとファンタジーをまとったものと。人と人とが、尊重し合って暮らすとは?ということを問うような四つの物語。 私たちの暮らしのあちこちを縛る古い約束事は、女を縛ることで、男も縛る。それに気づいて、変えようとする人の物語は、優しく柔らかいけれど、背筋がすっと伸びるような力があった。 #彩瀬まる さん。初読みの作家さん。Instagramで知ったのだけれど、手にしてよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どの話にも川と橋が出てくるのですが、それが心の壁で自分と外界を遮断するものだったり、ベルリンの壁のように文化を分断したり、自分を守る城壁になったり 特に重要というわけではないけれど、ちょっとした比喩っぽい ここからはそれぞれの短編の感想 わたれない 会社が倒産し、専業主夫となった男の話 今だに家事や子育ては女性の仕事と思われている 役所からの書類には母親目線のことしか書かれてなく 公園に娘を連れて行ったり、ショッピングセンターのオムツ台を使ってると警戒され周りの母親が離れて行く。 専業主夫の理解がなく、世間からは冷たい目で見られる。 男女平等と言われているけれど、働く女性、家事・子育てをする男性 それぞれの立場はまだまだ守られてはいないと感じた作品 ながれゆく 天の川、織姫、彦星の話 これはあまり刺さらなかったので、流し読み ゆれながら 近未来の性 世界的な感染症によってセックスや妊娠が無くなった世界 感染症防止のため、性器を退化する薬を飲み 精子・卵子は冷凍保存され、恋人同志の同意で、 人工授精 → 人工子宮によって子供が生まれる世界 世界的な人口減少と妊娠出産の危険性がなくなったため 多くの子供を育てている人が尊敬され、補助金や社会的な補償が充実している セックスはなくなったけど、その代わりにスキンシップのハードルが下がって、食後のデザート感覚に近い感じで肌を重ねている。 セックスがなくなっても、この世界での独自のセックスのようなものが発達していたりしているのを読んで、やはり人間はどこかで相手を求めているのかなと考えたりした ラストは暗い感じで終わったので、そこはモヤっとしたのが残念 ひかるほし 熟年夫婦の話 田舎ではよくある男尊女卑 何をするにも夫や息子に相談することしかできず、 自分の考えを持てていない 言われるまま、家を守ってきたが、 夫は勲章をもらうほど評価されているのに、 自分にはそれがない 最近のフェミニズムの盛り上がりについても ----------- 自分向けではない、と思っていたのだ。それは下の世代を救済する運動で、自分はその恩恵を受けられない。だって、もう嫁いでしまった。職を得る機会もなかった。贅沢を言ったらばちが当たる。そんな人生観で長い時間を過ごし、もはや生活を変更する時間も余力もない。諦めではなく、ただの事実としてそう思ってきた ----------- と今の状況を当然と考えて生きてきたが、 夫が歳を取りさらに頑固になり、痴呆のような症状も出始め ついに自分の力で世界を変えようと、彼女なりに勇気を持って 外の世界に助けを求める。 ラストは今までとは違う新しい世界で、自分の時間を満喫している感じで終わったので、 救われた感じでよかった。
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女性として生きる苦しさ、葛藤、そしてそれでも生きていく強さを様々な切り口で表現していると感じました。どの小説もとても素晴らしかったです。 腰を落ち着けて読み進めたい、良い作品集でした。
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何らかを隔てる川を象徴的に扱う短編4本。最初の話はいつもの彩瀬まるワールドでとても良かった。ただ中2編が苦手なファンタジー系で読むのに苦労した。
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川を例えに一線を超える、境界線を越える、隔たりを越える、をテーマにしたような作品。 ユニークなのは4作品、現代、神話、SF、現代と設定が全く異なること。本のタイトルを意識しないと農内バグる。 2022.1.9 4
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*息苦しい今を軽やかに越えゆく一歩を描いた、希望の物語 ー仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する暁彦は、“ママじゃない”ことに限界を感じていた。そんなとき拠り所になったのが、ある育児ブログだった。育児テクニックをそこから次々取り入れる暁彦だが、妻はそれがつらいと言い……(「わたれない...
*息苦しい今を軽やかに越えゆく一歩を描いた、希望の物語 ー仕事を辞め、慣れない育児に奮闘する暁彦は、“ママじゃない”ことに限界を感じていた。そんなとき拠り所になったのが、ある育児ブログだった。育児テクニックをそこから次々取り入れる暁彦だが、妻はそれがつらいと言い……(「わたれない」)。私たちに降りかかる「らしさ」の呪いを断ち切り、先へと進む勇気をくれる珠玉の四篇* 自分を包む、薄く柔らかいのに身体にそぐわない衣を、そっと脱いでいくような物語たち。 羽化…なんてぴったりな表現なんだろう。 儚いのに、力強い世界観。
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川をテーマに綴られた4編。 現代小説の2つはさらりと読めたが、昔話(?)やSFの2つはイマイチ共感できず。 全体的なまとまりもあまり感じられなかった。
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