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の商品レビュー

3.6

48件のお客様レビュー

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2023/03/30
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無機質な存在「某」がいろいろな人間の形に変化して、人間に近づいて行くのが面白かった。 デッサンの時に強い感性を発揮するところからはじまり、悲しみに共感するようになったりして、なんともほろりとさせられます。 川上弘美さんの文体がとても好きです。

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2023/03/26

「誰でもない者」という独特な設定なのに、なぜかすっと受け入れられた。一つ感じたのは、じゃあ私は空っぽではなくちゃんと私であれているのかなということ。もっと私自身と寄り添ってみよう。

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2022/12/17
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某って響きいいな。 こんな簡単に色んな人に変われたらなーって誰しも思うよなぁ。女にも男にも日本人以外にもなってみたい。しかも元の人間の記憶がありながら。 大切な人が出来たら変わらないことを望むかー。確かに。考えたことなかった。今のその人自体が好きなんだものね。ありのままが1番ってわけだ。

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2022/12/07
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不思議な話だった。不思議な世界に飲み込まれていってすらすらと読めたがアルファとシグマという仲間が出てきた途端つまらなくなった。何者でもない者は1人(最低2人)でいいと思う。

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2022/11/29
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人間に近い何かの目線で登場人物をみれるのが面白かった。最初は淡々と進んでいき感情の変化もそこまでないが、後半になるにつれ主人公の心の変化が大きく、豊かになっていくのが感じられて良かった。 何者でもない時は誰にでもなれるしどこにでも行けるが、愛するものなど執着が産まれたらそこにつながれてしまうというのは人間においても同じように感じた。人間でないものの話だけども、人間味を感じる話だった。

Posted byブクログ

2022/09/13

限りなく人間に近い、人間でない生き物の目から見る人間。 彼らの出会う感情や疑問に、人間として寄り添いながら読む感覚。ときに不可思議で、ときに微笑ましく、ときに切実だ。 私は誰かのために生きたいと思ってるだろうか、とか思いながら。この生き物のことをどこか愛おしいと思いながら。

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2022/08/27
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読む前の印象は、もっと怖くて仄暗いお話なのかな~‥と思いましたが、そんな事はなくてちょっぴり不思議なお話でした。 一見、突拍子もない摩訶不思議な話しに思えるけど、この物語を前世の記憶を少しだけ持っている人達の話と置き換えて読んでみると、非常にしっくりくる‥ 何度も何度も変化(輪廻転生)を繰り返しながら 生とは?死とは? 問いかけながら 変わっていく事、変わらない事。 色んな人格になり、色んな人生を経験する事で、自身も知らない間に少しずつ成長していく‥ 「愛するって何?」 「相手の為に生きたいって思える事だよ」 死を恐れなかったひかりが、愛する事を知って変化する事を恐れた事も、変化出来なくなった事も、魂の意志、成長を現しているように思えた。 最後の人格が「ひかり」という希望の溢れる名前なのも良かったな‥。 あと、個人的には何度か 途中禅問答のようなやりとりも出てきて、あ〜こういうの好き♡ と思いながら夢中で読み耽りました。 色んな解釈が出来る一冊 私好みのお話で面白かったです。

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2022/06/24

何とも奇怪な話を考え付く才能はどこから生まれるのか、読みながら考えたが未だに結論が得られない.丹羽はるかが野田春眠になり、山中文夫、神谷マリ、ラモーナ、片山冬樹、ひかりと変身していくなかで、キャバクラで働いたり、カナダに移住したり、幼児になったり、なんだこりゃ! 蔵先生と水沢看護...

何とも奇怪な話を考え付く才能はどこから生まれるのか、読みながら考えたが未だに結論が得られない.丹羽はるかが野田春眠になり、山中文夫、神谷マリ、ラモーナ、片山冬樹、ひかりと変身していくなかで、キャバクラで働いたり、カナダに移住したり、幼児になったり、なんだこりゃ! 蔵先生と水沢看護師が唯一まともな人と思ったが、芦田先生、津田さん、アルファ、シグマ、高橋さん、鈴木さん、等々ユニークな登場人物をチェックするのも大変だった.人間の生き方を上下左右に振り回しても、生き長らえられるのだと感じた.

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2022/06/15

なんかよくわかんない本だった。 結末が全く予想できなくて面白かったけど、読み進めるうちにだんだん飽きてきちゃった。 いろんな人になれるっていうのは楽しそうだけど、誰の記憶にも残らないのは悲しいなあと思った。

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2022/03/26

ああ、川上弘美だ。 「神様」とか「蛇を踏む」とか、久しぶりに思い出した感じがあった。 たぶん、私たちはふだん「わたし」というものをそれほど意識して生きてはいない。 少なくとも私はそんなに「わたし」について考えることはしない(思春期の頃はもっと「わたし」について考えていたように思...

ああ、川上弘美だ。 「神様」とか「蛇を踏む」とか、久しぶりに思い出した感じがあった。 たぶん、私たちはふだん「わたし」というものをそれほど意識して生きてはいない。 少なくとも私はそんなに「わたし」について考えることはしない(思春期の頃はもっと「わたし」について考えていたように思う)。 なぜなら「わたし」について考えることはとっても面倒くさいことだからだ(この言い方が適当でなければ、非常に時間がかかるとかって言い換えてもいい)。 10代のころは時間だけはあったから「わたし」について考えても差し障りがなかったけれど、社会人になってしまったいま「わたし」について考えていたら、日々の生活に支障をきたすこと請け合いだ。だから私はふだん「わたし」ついて考えることはしない。 ではなぜ「わたし」について考えることはそんなに時間を必要とするのか? その答えは簡単だと思う。それは「わたし」というのがとても曖昧なものだからだろう。それは本書『某』で繰り返し書かれていることだ(そう私は解釈する)。 主人公(人じゃないらしいけれど)の〈わたし〉が「わたし」にたどり着くまでにいったい何年の歳月と、何人の「自分」と、何種類の〈変化〉を体験することが必要であったことか。 「わたし」とはそれくらい曖昧で、とてつもない広がりをもったものなのだということが、『某』を読んでいるとひしひしと伝わってくる。 私の中で川上弘美さんは曖昧なものをなんとか言語化していくという作家さんだ。そしてその曖昧なものの、一つの主要なテーマとして「わたし」があるように感じている。 初期の作品では〈無人称〉が一つのスタイルであったように思う。この『某』では人称がころころと変わっていく。そうした移ろいゆくもの、はっきりしないもののなかで、藁ほどでもよいので確かなものをつかみ取ろうとする作業。 そんな私の川上弘美さんのイメージを、より強く意識させるような作品、それがこの『某』だった。それが今回の感想。

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