夏物語 の商品レビュー
めっちゃよかった。私は未婚かつ多分生涯子供を持たずに死ぬ人生を歩むだろうと思っているし、「普通の」男女関係みたいな経験が著しく乏しく、それを凄く凄くコンプレックスに思って生きてきたクチなのですが、夏子を中心に、登場人物の産む・産まれる、生きるということに対する苦しさみたいなものが...
めっちゃよかった。私は未婚かつ多分生涯子供を持たずに死ぬ人生を歩むだろうと思っているし、「普通の」男女関係みたいな経験が著しく乏しく、それを凄く凄くコンプレックスに思って生きてきたクチなのですが、夏子を中心に、登場人物の産む・産まれる、生きるということに対する苦しさみたいなものが、日本の夏の暑さの中で臭ってくる程丁寧に表現されていて、ズン…となるし、自分の行動一つ一つに関して意思を持とうと思った。逢沢と夏子の繋がり方も好き。
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「自分の子どもに会いたい」 ーーでも相手もおらんのにどうやって? 生まれてくるということ。 産むということ。 親になるのか、ならないのか。 相手がいるのか、いないのか。 自分に人を生み出すことができる能力があること、 だけどそれは、自分ひとりでは不可能だということ。 特殊...
「自分の子どもに会いたい」 ーーでも相手もおらんのにどうやって? 生まれてくるということ。 産むということ。 親になるのか、ならないのか。 相手がいるのか、いないのか。 自分に人を生み出すことができる能力があること、 だけどそれは、自分ひとりでは不可能だということ。 特殊な形の妊娠、出産。 精子提供という一つの選択肢ー。 誰もが「生まれる」という受動態で今ここに存在し、それはけっしてなかったことにはできない。 〝死ぬこと〟と同様に〝生まれてくること〟も取り返しのつかないこと。 それを踏まえて「産まれる」を「産む」のか否か。 芥川賞受賞作の「乳と卵」の登場人物が再登場! ということで、「乳と卵」を読み返してから…と思う方もいますが、実はリブートになってるので本作のみ読んでも全然大丈夫です。 川上未映子さん、大好きな作家さんなので、個人的にはかなりオススメ! 生命倫理ー。壮大で圧倒的、重いテーマに手抜き無しで真っ向から全身全霊で向かい合っていながらにして、独特なこの軽やかなテンポ。 このバランス感覚…これぞ川上未映子マジック! ひれ伏すしかないもう。 読むと、なにかしらを孕む。 その孕んだ何かを、自らはどう生み出すのか。 多くのことを問題提起し、生命の意味を考えさせられる名作です。
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【世界で絶賛の嵐。旋風を巻き起こす】パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子。生命の意味をめぐる問いを、切ない詩情と泣き笑いに満ちた極上の筆致で描く至高の文学。
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