霧をはらう の商品レビュー
雫井脩介さんの新作は弁護士の信念を問う法廷サスペンス。病院に入院中の4人の幼い子どもたちにインスリンが混入され、2人が殺される事件が発生、逮捕されたのは生き残った女児の母親であり一時は犯行を認めていたが、前言を撤回して無実を訴える・・・若手弁護士の伊豆原は人権派の大物弁護士と共に...
雫井脩介さんの新作は弁護士の信念を問う法廷サスペンス。病院に入院中の4人の幼い子どもたちにインスリンが混入され、2人が殺される事件が発生、逮捕されたのは生き残った女児の母親であり一時は犯行を認めていたが、前言を撤回して無実を訴える・・・若手弁護士の伊豆原は人権派の大物弁護士と共に勝算の少ない裁判に挑んでいく。最初はモヤモヤした大きな霧がかかっていたが、事件関係者に一人一人話を聞いていくうちに、だんだんと霧がはらわれてじわじわと真相が明らかになっていくのが面白い。500ページ超で読み応えアリ。
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小児科病棟で、点滴に薬物が混入されて起こった死傷事件。逮捕されたのは生き残った被害者の母親。その弁護を引き受けることになった伊豆原が、彼女の無実を証明するために奮闘するミステリ。 物語の流れからして、彼女の無実は間違いないのだろうな、とは思いますが。それなら真犯人は誰だというのか...
小児科病棟で、点滴に薬物が混入されて起こった死傷事件。逮捕されたのは生き残った被害者の母親。その弁護を引き受けることになった伊豆原が、彼女の無実を証明するために奮闘するミステリ。 物語の流れからして、彼女の無実は間違いないのだろうな、とは思いますが。それなら真犯人は誰だというのか。怪しいようでいてこの人が犯人だという印象のある人物もなかなかいないし、被告人である野々花の独特すぎるキャラクターもあって、こちらの無実を信じる気持ちも揺らいできます。だからこそ、弁護士や家族の気持ちが揺らいでしまうのも仕方のないことなのだろうな、と少し悲しい気持ちにもなりました。 しかしいよいよ彼女の無実を決定づける要素が出てきてからは、法廷での戦略にわくわくさせられる法廷サスペンスとなります。予想とは異なる証人の証言に一喜一憂させられ、本当に無罪を勝ち取ることができるのかどんどん不安になってきます。いや、これで有罪にされるとかありえないし! お願いだからそんな惨い結末ではありませんように、とひたすら祈る気分。 やがて明かされた真犯人と、そして隠された真実。人情からするとわからなくもないけれど、だけどその計画が成功していても誰も救えなかっただろうし、誰も幸せになれなかっただろうな、と思えば切なくなりました。
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母親の冤罪を勝ち取るために戦う少女の物語。 妹・紗奈の入院している病院で、点滴薬物混入事件が発生。 二人の少女の命が失われ、紗奈の母、野々花が逮捕されてしまう。 変わった性格が災いし、過去の職歴や行動から警察によって見事に犯人像に仕立て上げられてしまう。 紗奈の姉・由惟は、...
母親の冤罪を勝ち取るために戦う少女の物語。 妹・紗奈の入院している病院で、点滴薬物混入事件が発生。 二人の少女の命が失われ、紗奈の母、野々花が逮捕されてしまう。 変わった性格が災いし、過去の職歴や行動から警察によって見事に犯人像に仕立て上げられてしまう。 紗奈の姉・由惟は、最初こそ母を信じられない気持であったが、弁護を請け負った伊豆原の熱意にほだされ、裁判に向き合うように。 無罪を勝ち取ることができるのか!? 丁寧な裁判過程の描写が、分かりやすかったです。 ただ、どうしてもどんでん返し的な結末を期待しすぎました。
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読んでいてこれは連続物になるな。と思いました。ただ意外に簡単に?無罪を勝ち取ったなと言う印象です。全部の霧をはらいきれたのかな?という疑問も、いろいろケチをつけましたが面白く読了できました。
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正直、中盤過ぎまでだらけなかったと言えば大嘘。 病院内で起きた無差別死傷事件、2人の子供が無くなった。 犯人と目星が建つ母親は出だしからしつこいほどに「嫌がられるような」描写が続き、少々うんざり。当然真相は・・という展開で霧が晴れるのだが。 作者の意図かもしれないとは思うが、似た...
正直、中盤過ぎまでだらけなかったと言えば大嘘。 病院内で起きた無差別死傷事件、2人の子供が無くなった。 犯人と目星が建つ母親は出だしからしつこいほどに「嫌がられるような」描写が続き、少々うんざり。当然真相は・・という展開で霧が晴れるのだが。 作者の意図かもしれないとは思うが、似たような会話や推測が繰り返し出てきて、此処までの分厚さが必要だったかと思ってしまう。それが作者の意図する「関係者間の心中の葛藤を軸に置いた心情の駆け引き、やり取り」であり、其処を抜ける事で「霧は払はらわれる」という結論に至らせたかったのか。 伊豆田という弁護士にリアリティを感じさせず「美しすぎ、出来すぎ」そして妻は更に完璧。これだけでも鼻についた。
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この作家は、「犯人に告ぐ」でこれはと思い、新作が出るたびごとに読んでいる。この作品も期待どおりの長編である。 冤罪を晴らそうともがく気鋭の弁護士がたどり着く真相とは?話のテンポが良く、500ページ超の作品だが、長いとは感じさせない。 一人ひとりのキャラが立っており、是非映画化して...
この作家は、「犯人に告ぐ」でこれはと思い、新作が出るたびごとに読んでいる。この作品も期待どおりの長編である。 冤罪を晴らそうともがく気鋭の弁護士がたどり着く真相とは?話のテンポが良く、500ページ超の作品だが、長いとは感じさせない。 一人ひとりのキャラが立っており、是非映画化してほしい。
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序盤で 点滴中毒死傷事件にかかわる 弁護士、被告人とその家族、被害者、 看護士たちの人となりやつながりを じっくりと丁寧に描き 中盤の 裁判員裁判のための公判前整理手続きから 終盤の公判にかけて 物語がどんどん加速し ページが足りないんじゃないかと 心配になるほど止まらない。 へ...
序盤で 点滴中毒死傷事件にかかわる 弁護士、被告人とその家族、被害者、 看護士たちの人となりやつながりを じっくりと丁寧に描き 中盤の 裁判員裁判のための公判前整理手続きから 終盤の公判にかけて 物語がどんどん加速し ページが足りないんじゃないかと 心配になるほど止まらない。 へんなどんでん返しとか 気をてらった結末とかなく 一人ひとりをきちんと描いているのがいい。
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入院中の4人の幼い子どもたちが点滴に混入されたインスリンによって死傷。容疑者はその母親の一人だった…。主人公の誠実な弁護士伊豆原が丁寧に事実確認を重ね冤罪は回避され容疑者家族の人生にも光が。霧が晴れ淀んでいた水が流れるようになった。最後の一ひねりも秀逸。 本格的法定ミステリーに人...
入院中の4人の幼い子どもたちが点滴に混入されたインスリンによって死傷。容疑者はその母親の一人だった…。主人公の誠実な弁護士伊豆原が丁寧に事実確認を重ね冤罪は回避され容疑者家族の人生にも光が。霧が晴れ淀んでいた水が流れるようになった。最後の一ひねりも秀逸。 本格的法定ミステリーに人間ドラマを交えた良作。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冤罪の話です。 犯人かどうかわからない=霧の中にいる状態。 途中まで真犯人なのかどう信じていいか分からない状態が続くので読み続けるのに飽きそうになるけど、 残り150ページから「めっちゃいい話やん!!」って泣きそうになった。 被告人としてあげられてしまうと、バイアスかかってフラットな時点で見ることはほぼ不可能だろうと思うととても苦しい。痴漢冤罪も実は多そうですよね・・・。
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若手弁護士が、勝算は無いのではと思われる事件に果敢に挑む姿に早く結論を…とページを捲るのも早くなる。これは、無罪なのかどうなのかに焦点を充てるだけではなく弁護士の信念とは何なのか?深く考えさせられた。
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