護られなかった者たちへ の商品レビュー
面白い! 生活保護のことが書いてあると人に言われて詠んだが、しっかりミステリだったことに驚き! 映画も見たけどこれは原作を読むべし。
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中山七里さんの作品、生活保護をめぐる厳しい現実がそこにある。 元々の貧困家庭の苦しみや悩みに加え、東日本大地震で起こった様々な苦悩をモチーフに発生した連続殺人事件。 ある日、仙台市で他殺隊が発見された。拘束したまま餓死させるという残酷な殺害方法。 しかし、被害者は、聖人の様な...
中山七里さんの作品、生活保護をめぐる厳しい現実がそこにある。 元々の貧困家庭の苦しみや悩みに加え、東日本大地震で起こった様々な苦悩をモチーフに発生した連続殺人事件。 ある日、仙台市で他殺隊が発見された。拘束したまま餓死させるという残酷な殺害方法。 しかし、被害者は、聖人の様な人物で、容疑者は一向に現れない。 やがて、二人目の被害者が発見される。同様の手口に、捜査陣は困惑するばかり。 一方、最初の事件の数日前に出所した模範囚の利根は、過去のある関係者を探っていた。 果たして、3人目の被害は防げるのか? そして、犯人の目的とは? 最後は、やはり『どんでん返しの帝王』ですね。 素晴らしい展開です。 ぜひ読むべき作品と思います。 ・善人の死 ・人格者の死 ・貧弱の死 ・家族の死 ・恩讐の果て
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貧困者に携わる全ての人へ、読んでほしい作品。 生活保護受給をめぐる理不尽な現実。刑務所の中の実態。切なくてやるせない思いだった。 自分自身、事情があり、収入が減った。追い打ちをかける物価高。削れる部分を考え生活している。当然、食生活は食べたいものではなく、食べられる安価...
貧困者に携わる全ての人へ、読んでほしい作品。 生活保護受給をめぐる理不尽な現実。刑務所の中の実態。切なくてやるせない思いだった。 自分自身、事情があり、収入が減った。追い打ちをかける物価高。削れる部分を考え生活している。当然、食生活は食べたいものではなく、食べられる安価なものへと変わった。 それでも、自分は食べていける。小説の時代より、生活困窮者で世の中は溢れかえっている。胸が傷んだ。 貧困から犯罪と死が生まれる。貧困者から目をそらすことは、殺人犯になる。物語は、警告を発している。そう心から思えた。 けい、カンちゃん、利根のお互いを思いやる素敵な関係性に感動を覚えた。 大金でなくてもいい。食べていけるお金さえあれば。悲しくてやりきれない。
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なるほど。 この分厚さ、冗長と思われる描写、全てに意味があったということか。 職場の先輩に「これやばい、止まらない、寝れない」とのことで、借りた作品。 わたしは本を読むときに付箋をつけまくったりするし、日常的に持ち歩いてるから汚れやすくなるので、あんまり人から本を借りて読むこと...
なるほど。 この分厚さ、冗長と思われる描写、全てに意味があったということか。 職場の先輩に「これやばい、止まらない、寝れない」とのことで、借りた作品。 わたしは本を読むときに付箋をつけまくったりするし、日常的に持ち歩いてるから汚れやすくなるので、あんまり人から本を借りて読むことってないのだけれど。 と、それは言い訳のようなもので、実は自分のタイミングで読みたいからあんまり「返さなきゃ」と追い詰められている状態で本を読むのが好きじゃないってだけ。 でも、この作品のおかげで読書したいって感じが戻ってきた。 久々の社会派刑事モノ。 犯人がわかったところで、わたしが抱いた感情は「怒り」だった。 物語の内容や、犯人に対して、ではない。 例えば、伊坂幸太郎作品は、読んでいる途中に、あれ?っていう違和感がたくさん散りばめられていて、その違和感が最後に回収されて、物語が全て繋がってくる。この繋がる感じはいつも本当にすごい。 ページを戻っても戻っても、違和感はちゃんとそこにあって、読み違いを引き起こしているのは自分で、伏線回収のためには、無駄だと思われた描写に、無駄なところはひとつとしてない、という感覚。 読んでいる時の感覚としては、80の違和感、20のふーん、でラストの伏線回収で100になる。 で、この作品はというと、0の違和感、100のふーん、でラスト1000になる。 そう、どんでん返しである。 なんかもう、「あの時間を返してよ!」という怒りの方が強く出てしまったのである。 ページを戻りまくっても、やはり違和感なく物語が進んでいる。 これはどうなの?多少の違和感はほしくない?? この作品を貸してくれた先輩にこの話をしたら、「まさに中山七里にやられましたね」と言われ、わたしの反応はまさに著者の目論見通りの反応のようで、先輩はにやにやとしながら出かけて行った。 生活保護受給をめぐる物語。 今の時代、生活保護をもらうことはこんなに厳しいものだろうか? 生活保護受給中で、家族全員Switchを持ってる家があったり、最新家電を取り揃えてる家もあったりするから、この辺はわたしにはわからない。 以前お笑い芸人の母親が生活保護を受給していた、ということが分かった時、あのお笑い芸人はものすごくバッシングを受け、メンタリストDaiGoが生活保護にかけるお金をホームレスじゃなくて猫にかけるべきだ、みたいなことを言ったら今度はDaiGoがすごく批判を受けることになって、生活保護というのは国民からの税金というだけあって、みんなの関心事なのかなとも思う。個人的には、DaiGoの発言自体はどうかとは思うけれど、あのお笑い芸人の時より、生活保護が他人事じゃなくて自分事になったのかな、とも思った。コロナ禍を経験して、生活保護を受けている人たちを、社会が責めるのではなく守っていくような見方に変わったのかな、国民全体が、いつかは自分も使うかもしれない制度だと思うようになったのかもしれないな、と、この二つの出来事を通して思ったのだ。 うまく伝わるかな。伝わるといいな。 生活面での困りごとは、みんなが普段払っている税金や医療費で解決できたらいいなと思ってる。 その、制度に届いていない人、制度からあぶれちゃってる人が多すぎる。 それを役所に相談しようにも、相談しても、対応がよくなかったりして、使えるサービスがあるのに、二度と使えなくなってしまったりしてるのが現状だ。 これを読んでくれた方で、何か生活面での困りごとがあったら、まずはソーシャルワーカーに繋がってほしい。 だけど、どうにもならなかったら、まずはわたしに言ってね。
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胸が苦しくなる。考えさせられる。 ケイさんの言葉で、 「厚意とか思いやりなんてのは、一対一でやりとりするようなもんじゃないんだよ。 それじゃあお中元やお歳暮と一緒じゃないか。 あたしやカンちゃんにしてもらったことが嬉しかったのなら、あんたも同じように見知らぬ他人に善行を施すのさ。...
胸が苦しくなる。考えさせられる。 ケイさんの言葉で、 「厚意とか思いやりなんてのは、一対一でやりとりするようなもんじゃないんだよ。 それじゃあお中元やお歳暮と一緒じゃないか。 あたしやカンちゃんにしてもらったことが嬉しかったのなら、あんたも同じように見知らぬ他人に善行を施すのさ。そういうのが沢山重なって、世の中ってのはだんだんよくなっていくんだ。 でもね、それは別に気張ってするようなことでも押しつけることでもないから。機会があるまで覚えておきゃあ、それでいい。」 大切な事だと思った。
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2023.9.8. 読了 生活保護をテーマにした事件。この本のおかげで、生活保護の現状について知ることができた。でも、この本を読まなければ、生活保護について私は知らないままだったのだと思うと、私は社会を全然知らないことを少し怖く感じた。 働いてお金を稼ぐことが当たり前にできてい...
2023.9.8. 読了 生活保護をテーマにした事件。この本のおかげで、生活保護の現状について知ることができた。でも、この本を読まなければ、生活保護について私は知らないままだったのだと思うと、私は社会を全然知らないことを少し怖く感じた。 働いてお金を稼ぐことが当たり前にできている人に生活保護は必要のないことだけど、それができずに生活に困ってい人はたくさんいる。そんな人たちを1人でも多く救うためにある生活保護についてもっと多くの人たちに知ってもらうことが必要だと感じた。
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久しぶりの中山さん! 里帰りしたような気分ですが、うー、なかなか重かった、切なかった 生活保護制度の様々な問題が取り沙汰される 前半話が平行状態となり、なかなか発展しないので少々だらけ気味となる しかし、利根とけいとカンちゃんの話に入った途端、読む手が止まらなくなる 温かい三人...
久しぶりの中山さん! 里帰りしたような気分ですが、うー、なかなか重かった、切なかった 生活保護制度の様々な問題が取り沙汰される 前半話が平行状態となり、なかなか発展しないので少々だらけ気味となる しかし、利根とけいとカンちゃんの話に入った途端、読む手が止まらなくなる 温かい三人の仲睦まじいやり取り そして、けいの飢えの極限状態の描写は、なかなかキツイものがあった 飢えを凌ぐ為にティッシュを食べる! ガスも電気もとめられ、水も出ない 世の中には、こうして飢え凌んだ末、飢餓状態で死んでいく人がいるんだと思うと本当につらい 話はフィクションだからなのか、どうも生活保護受給の実態とは少し違う所があるようだ 生活保護の問題点は沢山あるようだが、私が一番気になるのは、生活が苦しいのに保護を受けていない人がいるということ しかもその理由が生活保護という制度を知らないという事 生活保護は申請主義のため、申請がなければ福祉事務所はどうする事も出来ない 国は税金は容赦なく徴収するのに、支給する方は申請しないと出さない だから誰かが手を差し伸べてあげなければ、死活問題に発展する 生活保護が本当に必要な人に支援が行き届かないというのは、命に関わる大きな問題である 「生きているだけでお金がかかる」 「お金って本当に大事」 「働けるうちに働こう」 「困らない様に勉強しておこう」 これは日頃の私の心の声である ラストは中山さんらしい展開 どんでん返しとまでは言わないが、明かされる真相に納得=(^.^)= そこから持って来たかあ!?
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これまでに支払った額の計算なんてしたくないほど、日々徴収されている税金。 その使い途について、私はあまりにも無関心であったと、読み終わってまず感じた。 人口減少が拍車をかけ、どこかで負荷をかけなければ増えることのない財源から、誰かを救うためにその税金が使われる時、より厳しい規則...
これまでに支払った額の計算なんてしたくないほど、日々徴収されている税金。 その使い途について、私はあまりにも無関心であったと、読み終わってまず感じた。 人口減少が拍車をかけ、どこかで負荷をかけなければ増えることのない財源から、誰かを救うためにその税金が使われる時、より厳しい規則が必要になる。 しかし、どんなに細かく厳しい規則であったとしてもそれを取り扱う人間によって、恣意的な選択は生まれるし、規則をうまくかいくぐろうとする利用者も出てくる。 本当に助けが必要な人の元へ、税金が使われるためには、それぞれの立場から、小さな声をあげ続け、より現実的な制度にしていくしかないのだろうな、と気が遠くなる思いがした。 政治家でもなんでもない一市民の私だが、1つの声として、毎回の選挙には誠意を持って向き合おうと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画化もされており、気になって購入。 読み進める内に止まらなくなり一気に読了。 震災が主題になっていると思ったが、最初から最後まで「護ろうとした者」と「護られなかった者」が主題であり、そこに震災や生活保護といったテーマが折り重なった話だった。 ミステリという前提もあったが、殺人の犯人を探して当ててスッキリすることがこの本の目的では無かったように思う。事件の犯人は分かっても、根本の主題に関する解決は掴めないまま。 誰が犯人かではなく何が問題だったのか、皆何を護ろうとして何を護れなかったのか。 登場人物それぞれに護りたいもの、護りたかったもの、護れなかったものがあり、その理由や解決策もまたそれぞれで、理不尽なものも多くある。 面白かったというには語弊があるかもしれないが、読む手が止まらない作品だった。
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映画を何度か観たので、原作も気になり購入。 生活保護を扱った社会派ミステリーであり、自分なりに生活保護について考えるきっかけとなる小説だと思う。 世の中には生活保護を不正受給している人もいるし、生活保護を受けなければ死んでしまうかもしれない人が、泣き寝入りしてしまうことが...
映画を何度か観たので、原作も気になり購入。 生活保護を扱った社会派ミステリーであり、自分なりに生活保護について考えるきっかけとなる小説だと思う。 世の中には生活保護を不正受給している人もいるし、生活保護を受けなければ死んでしまうかもしれない人が、泣き寝入りしてしまうことが多くあるのだと思う。 人を殺すことはいけないが、この話に出てくる保健事務所の3人の対応は最低だったなと思う。 私は教育者を目指しており、学校現場には家庭で生活保護を受給している子どもが多くいる。子ども自身がそれを恥ずかしいと負い目を感じているケースも多い。 教育者として生活保護について話をすることになった時、自分ならどう話すのか、今一度考えたいと思う。 #夏の読書感想文
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