火のないところに煙は の商品レビュー
フェイクドキュメンタリーというジャンルなのか、ほんとにあったのかなと思わせる内容だし、興味深かった。
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「神楽坂をぶたいに怪談を書きませんか。」しかし、どうしても踏み出せない自分がいる。それは物置の奥になおしてある封書があるからだ。中身はポスター。そして、それにまつわる友人達との会話。よく当たる占い師…。 連作短編集で、今で言うモキュメンタリー? 身の毛がよだつ出来事の裏に、必ず出...
「神楽坂をぶたいに怪談を書きませんか。」しかし、どうしても踏み出せない自分がいる。それは物置の奥になおしてある封書があるからだ。中身はポスター。そして、それにまつわる友人達との会話。よく当たる占い師…。 連作短編集で、今で言うモキュメンタリー? 身の毛がよだつ出来事の裏に、必ず出てくる占い師の女性。 彼女は一体何者なのか。 とにかくリアル感たっぷりの一冊。
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どの話も筋が通っていて推理小説のような面白さがあり読みやすかった。 ところどころ人の嫌な部分の描写があり、作者買いをしても楽しめる内容だと感じた。
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芦沢央氏の作品を読むのは『神の悪手』以来。ひさしぶりに見ても、スーッと頭に入ってくる綺麗な文体が心地よく、読みやすかった。 『火のないところに煙は』。このタイトルに惹かれてしまったのは私だけではないはず。火のないところに煙は——立つの!?立たないの!? 思わせぶりな本作を含め、...
芦沢央氏の作品を読むのは『神の悪手』以来。ひさしぶりに見ても、スーッと頭に入ってくる綺麗な文体が心地よく、読みやすかった。 『火のないところに煙は』。このタイトルに惹かれてしまったのは私だけではないはず。火のないところに煙は——立つの!?立たないの!? 思わせぶりな本作を含め、芦沢氏の作品は「おっ?」と疑問を抱かせるようなタイトルをつけることが多く、ついつい書店で手に取ってしまうことも少なくない。本当にいいセンスをしていると思う。 さて、本作はドキュメンタリー風のホラー小説だ。 私はまた未読なのだが、第一話『染み』で登場する『許されようとは思いません』という小説も、実際に芦沢氏が手がけた作品。存在は知っているどころか、私はすでに『許されようとは思いません』を購入しているため(積読状態)、これは実話なのか、それともただの小説なのかと疑ってしまった。見事に現実と虚構の境界線をうやむやにできている。 だからこそ本作は、実態を持った「何か」が側にいるような、じっとりとした怖さを押し付けてくるのではないだろうか。 第三話『妄言』や第四話『助けてって言ったのに』など、物件に関するエピソードもあり、ホラー小説でこの手の話を読むたびに、私は来年考えている引っ越しが怖くなるのである…。 実は過去に私も、埼玉県に要件を満たす良い物件を見つけ、内見をしようと不動産会社へ訪れた際、「心理的瑕疵物件ですね」と言われて引っ越しを考え直したことがある。いくら創作物とはいえ、物件モノの怪談は多い。いざ自分が怪異に遭遇するかもしれないと考えると、怯えてしまった気持ちも分かってもらえるだろうか。怖いものは怖いのだ…。 最終話『禁忌』では、まとまりがなかったこれまでの5つの話の共通点が見えてきて、背筋がゾゾッとする。綺麗な伏線回収と、意味が分かった時に恐怖が追いついてくる感覚に酔いしれつつ、本を閉じた。
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初めての作家さん。お名前は“よう”さんと読むんですね〜。 文体も読みやすくて一気に読んだ。 こちらは「怪談」だったが、“生きている人間”のことならどんなふうに描くんだろう、他のものも読んでみたい、と思い、早速いくつか入手。楽しみだ。
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こっっっっわ、、!! 2016年8月、2017年2月、、、と実際に掲載された三ヶ月後の話だったりリアルタイムを綴っていてゾッとします。 怪奇現象的な怖さだけではなく、“怒られるから隠す”とか“救えなかった人”とかちょいちょい人間味のある怖さがあって、個人的な体験(親戚の葬式で...
こっっっっわ、、!! 2016年8月、2017年2月、、、と実際に掲載された三ヶ月後の話だったりリアルタイムを綴っていてゾッとします。 怪奇現象的な怖さだけではなく、“怒られるから隠す”とか“救えなかった人”とかちょいちょい人間味のある怖さがあって、個人的な体験(親戚の葬式で参列者の写真を棺にいれる是非について家族で話す機会があった)でのことを思い出し、「何かあったときに後悔するからやめなさい」というゾッとした記憶を思い出しました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
非常に良くできた実話(風)怪談譚集。 個人的に、ホラーは当事者性が一番大事だと思っていて、読者の乗り物となる語り部自身が怪異に巻き込まれたり、実際に恐怖や危機を感じていないと読み手に怖さが伝わり辛い。 そして最も優れたホラーは、読者すら怪異や恐怖に巻き込み、それに接してしまったことで我が身や実生活まで恐怖に侵蝕されてしまうのだが、それを達成している作品は稀だし、困難な企てだとも思う。 本作はまさにそこに挑んでおり、その姿勢だけでも十分に評価できるし、実際怖い。 SNSといった書籍以外のメディアとも連携させて現実と本書の中身をリンクさせる試みなどからも、本気で怖がらせようとしている心意気を感じる。 内容については導入となる一話目が秀逸。ミスリードを生む話運びから背筋が寒くなる着地が見事。 ただ、ここであまりにもインパクトのある凶源が提示されたことで、以降の章でもその片鱗を自然と探してしまい、オチに辿り着く前に全体の骨格が判ってしまったのが残念だった。 もう一つ裏切りや盲点をつくような恐怖があったらと思うのは贅沢な要求か。 それでも、中弛みすることなく読み進められるテンポの良さや、災禍の背後にある「人の悪意/善意」をミステリーの仕立てで現出させる手際の鮮やかさなど、ホラー短編集としては一級品。 記憶を消して神楽坂で読み返したい一冊。
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面白かった!モキュメンタリーというか、フェイクドキュメンタリーというか、このタイプのものを拝読するのが初めてだったので楽しめました。 やや消化不良もありつつ、それがかえってリアルな印象でした。人が死にすぎ感は拭えなかったです(なのでひとつ星が減りました)
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まずは、やり過ぎず物足りなさもなく、ちょうど良い塩梅の実話怪談風小説だな、という印象。 いわゆるモキュメンタリー的な縦軸にミステリーの味付けを絡める手法もさることながら、各話をきっちりパターンに落とし込んでいく仕立ても読んでいて心地良く、安心感を覚えるほど。 そして最終話での大ま...
まずは、やり過ぎず物足りなさもなく、ちょうど良い塩梅の実話怪談風小説だな、という印象。 いわゆるモキュメンタリー的な縦軸にミステリーの味付けを絡める手法もさることながら、各話をきっちりパターンに落とし込んでいく仕立ても読んでいて心地良く、安心感を覚えるほど。 そして最終話での大まとめ、一見まったく関係がなさそうなそれぞれのエピソードを外科手術で血管を吻合するが如く悉く結び付け、破綻のない連環を作り出す手腕は多少の強引さを感じる部分もあるけれども、唯々見事。 怪異、と括られる一つ一つも、かつては人であった。
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所謂フェイクドキュメンタリーなんだけど、嘘が巧妙すぎて怖い。読みやすくてスルスル読めちゃうのも怖い。読み終わってから、読んで良かったのと読み終わった寂しさとで感覚狂いそう。 面白かった。
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