星影さやかに の商品レビュー
物議を醸し出している東京五輪直前に、前回、幻の前々回の五輪を含む家族3代の激動の物語。味のある東北弁で心に刺さるセリフの数々。「闇に眼を凝らして真実を見ようとするのは、恐ろしいことなのではないだろうか」「戦争なんて、昔も今も一つも面白ぐね。〜の為と言うけんど、わだすは、そっだらご...
物議を醸し出している東京五輪直前に、前回、幻の前々回の五輪を含む家族3代の激動の物語。味のある東北弁で心に刺さるセリフの数々。「闇に眼を凝らして真実を見ようとするのは、恐ろしいことなのではないだろうか」「戦争なんて、昔も今も一つも面白ぐね。〜の為と言うけんど、わだすは、そっだらごと信じね。つまんねー面子とか、私利私欲の為にやっだごとだ」「学問を無力化させるのは、全体主義だけではない。恐怖心もまた、培ってきた教養や知識を呆気なく麻痺させる」「そこにあるはずの星々は、昼間は見えない。夜に現れる輝きもまた、光年の彼方の光。実際には存在していないかもしれない星の影。真実もまた、それと同じなのかもしれない。けれどすべてが幻の訳ではない。眼に映るのが影であっても、実体がなければ光はしない」
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父、良一が何故引きこもっていたのか。残された日記で全てが明らかになる。信念を曲げず家族に愛情を注いできた良一と影で支え続けた母、寿子。東北弁の温もりと、ささやかな幸せが伝わった。
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素晴らしい作品に出会えた。主人公の良彦と小生とは多分一才違いの同世代のはず、小説に出て来る出来事も同じ様な出来事を体験している。歌も歌手名にも、東京オリンピックの事も、そして父親の体験である関東大震災、そして敗戦、人はこれを終戦と言うが、著書に余す事なく語られている。良い作品に出...
素晴らしい作品に出会えた。主人公の良彦と小生とは多分一才違いの同世代のはず、小説に出て来る出来事も同じ様な出来事を体験している。歌も歌手名にも、東京オリンピックの事も、そして父親の体験である関東大震災、そして敗戦、人はこれを終戦と言うが、著書に余す事なく語られている。良い作品に出会えて良かった!
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泣きながら読了。心に染み入る話だった。女性の強さ、真の強さ、歯を食いしばる強さ、守っていく強さ、幸せを感じられる強さ、私だけが知っていることを信じるその強さに、何度も何度も頷きました。良い夫婦だ。どちらも。良い女性達でした。本当の事は死んでからしか分からなかったけれど、どんな状況であれ、きちんと背中を見せてきた父の弱さと優しさ、それを支えた嫁の思いが温かすぎて、幸せな読後でした。渦中は大変だっただろうな。私もこんな嫁になりたい。(5歳)
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【「マカン・マラン」著者が描く感動のファミリーヒストリー】非国民の父と軍国少年の息子。父が残した日記から浮かび上がる真実とは。宮城県古川を舞台に描く戦中戦後を懸命に生きた家族の物語。
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戦中から戦後、そして東京オリンピックまでの、一つの家族の物語。 これは、昭和の記憶であり記録であり、私たちがずっとずっと手渡し続けなければいけない物語だ。 嫁に厳しく当たり続ける傲岸不遜で傍若無人な姑のその本当の姿に、嫁だけに話していた秘密の話に、「なぁんだ、多嘉子ばあちゃん、かっこいい女性だったんじゃん」とニヤリ。。 宮城県の小さな村の、古いしきたりの中で生きた旧家の歴史。 家族を、家を守るために鬼になった姑。非国民と呼ばれながらも国の欺瞞を許せず職を追われた長男。姑にこき使われながらも夫を信じ子どもを育て上げた嫁。そしてそんな家族の本当の姿を知った孫。 ファミリーヒストリーと呼ぶにはあまりにも大きく普遍的なこの物語。 何が真で何が虚か。目に見えることが本当とは限らない。目に見えないけどそこにあるもの、それを知ることのできる人。その大切さ。 「控えろ、下郎!」「この悪ガキ(おだづもつこ)がぁっ!」という多嘉子の声が聞こえる。 手を広げ、鬼の形相で立つその姿がただただカッコいい。 昭和39年の東京オリンピック。その開会式と閉会式の違い。それは目に見えない大切なことを私たちに教えていたのだ。 眼に見えない不確かなものにおびえ苦しむ日々。そこを生き抜くための真の光を私たちはこの一冊から得るだろう。
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