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星影さやかに
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2021/06/10 |
JAN | 9784163913827 |
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商品レビュー
3.8
46件のお客様レビュー
戦時中いち早く戦争に負けると学校で英語教師をしていた父は教え子に伝え非国民と言われた そんな父を恥ずかしいと思っていた 震災後朝鮮人を恐れ噂を鵜呑みにした市政の人々 そこで見た光景 横暴だと思っていた祖母の本当の姿 時間が経ち成長することで見え気づくこと
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「闇に目を凝らして真実を見ようとするのは、恐ろしいことなのではないだろうか。皆と一緒に、明るい場所にいるほうが安全だ」(P80) その真実を見ようとした父はかつて旧制中学で教えていた。戦時中、教壇から「この戦争に日本は勝てる見込みがない。だから、未来のある諸君は、断じて戦争に行...
「闇に目を凝らして真実を見ようとするのは、恐ろしいことなのではないだろうか。皆と一緒に、明るい場所にいるほうが安全だ」(P80) その真実を見ようとした父はかつて旧制中学で教えていた。戦時中、教壇から「この戦争に日本は勝てる見込みがない。だから、未来のある諸君は、断じて戦争に行くべきではない」と教え子達に伝えた。その発言が原因で罷免され、故郷に帰ってきた。そして、近所から「非国民」と呼ばれた。 その父は神経症を病み、ほぼ自室に閉じこもる毎日だった。役場の職には就いていたけれども。 その父を恥じ、息子の良彦は軍国少年となるべく毎日を過ごしていた。 しかし、戦争に負けて、今まで言っていたことと正反対の言動をとるようになった大人達。そんな大人を見て、良彦は変わらないのは父親だけだと思う。しかし、閉じこもる父をなかなか受け容れられない。 その父が亡くなり、遺品整理で出てきた父の日記を読む。その日記がラスト近くで明らかにされる。 神経症を患い、夫らしいことも、父親らしいこともできない。自死を考えることもあったが、辛くても生きていくことを選んだ。悩み苦しみが消え去ったわけではないけれど。「ただ生きる。それだけだ。」と記す。 そう覚悟できたのは、妻や子ども、母親の存在があったから。息子は反発もするけれども、妻や母親は責めない。あるがままを受け容れてくれる。 ラストの方は泣いた。「この先、、万一、絶望するようなことが起きたとしても、父の苦しみの軌跡が、暗闇に冴え冴えと光る北辰のように、自分を導いてくえることがあるやもしれない」と良彦は思う。最期まで閉じこもったままの父であったかもしれないが、ただ意味なく生きただけの父ではなかった。 ラストの文章 「かつて敵機がやってきた空に、今はただ、無数の星々がさんざめいていた」。 このラストの文章を読んで、タイトルの「星影さやかに」と繋がった。平和を希求するタイトル。 それにしても、祖母の多嘉子はかっこいい。初めの方は、良彦と同じくおっかない鬼ばばにしか見えなかったけれど。 いいお話だった。図書館で借りて読んだけど、手元に持っておきたい。
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戦時中に目にした辛い光景や気持ちは、戦争が終わったからと言ってすぐに気持ちを切り替えることなんて出来ない。深く傷付きトラウマになった人が一体どれほどいたことだろう。 それほどまでに戦争というものは心を壊し、人の人生を狂わせてしまう。 現在も世界では戦争が続いている。終わりが見えず...
戦時中に目にした辛い光景や気持ちは、戦争が終わったからと言ってすぐに気持ちを切り替えることなんて出来ない。深く傷付きトラウマになった人が一体どれほどいたことだろう。 それほどまでに戦争というものは心を壊し、人の人生を狂わせてしまう。 現在も世界では戦争が続いている。終わりが見えず、最早何をもって終了とするのか…
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