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深い河 新装版 の商品レビュー

4.2

77件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    27

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2022/09/15

今年から同僚になった人に、「インドに行きましょう!」と誘われ、読んでみた本。 気軽に読み始めたが、登場人物も展開も秀逸だった。インドに行ってないのに、インドのディープな部分を感じられたような気がする(本当は百聞は一見にしかずで、もっと生々しくて、ある意味で不快で、筆舌に尽くし難く...

今年から同僚になった人に、「インドに行きましょう!」と誘われ、読んでみた本。 気軽に読み始めたが、登場人物も展開も秀逸だった。インドに行ってないのに、インドのディープな部分を感じられたような気がする(本当は百聞は一見にしかずで、もっと生々しくて、ある意味で不快で、筆舌に尽くし難く深いんだろう思うが)。 生きるとは何なのだろうと、何度も考えさせられたし、まだ考えているし、これからも考えていくんだと思う。

Posted byブクログ

2022/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

懺悔、後悔、様々な思いを抱えてインドへ向かった人たちと、私も一緒に旅したかような不思議な一冊。宗教文学のような作品なので苦手な人もいるかもしれない上に内容も重い。しかし読みやすい。宗教観の難しい部分は特に何も信仰していない私にとってはよく分からないのだけど、大津さんの宗教観は私は読んでいてすんなり受け止められた。元の神はひとり…。私は彼自身がきっと玉ねぎなんだよ、と思いながら読んでいた。なんとも色んな意味でラストは衝撃的。この終わり方よ…。

Posted byブクログ

2022/08/12

深い河 タイトルの意味が後々明かされていく。 何重もの深い意味が込められている。 信仰心のかけらも無い自分が、(美津子の想いに近い)信者の神に対する想いを少しでも想うができたことは意外だった。 本当にインドは観光ではなく、同じ地球上で起こっている全く違う価値観や出来事を、眼で...

深い河 タイトルの意味が後々明かされていく。 何重もの深い意味が込められている。 信仰心のかけらも無い自分が、(美津子の想いに近い)信者の神に対する想いを少しでも想うができたことは意外だった。 本当にインドは観光ではなく、同じ地球上で起こっている全く違う価値観や出来事を、眼で見て五感で感じるために行くのだな、と改めて。 人に言えない強い想いが渦巻いた人々が、インドに集結する。 読後も結果に爽快感が無いが、劇的な変化やドラマばかりが起こらない事がまたリアリティを思わせた。 なんだかやるせない、わかったようなわからないような、でも考えるきっかけになるような、そんな本だった。

Posted byブクログ

2022/07/18

初めて氏の小説を読んだが、奥が深く三浦綾子と違うキリスト感が個人的に面白かった。キリスト教はとても慈悲深くとても良いことを教えている一方、たしかに日本人としてスッキリしない腹落ちしない部分もあるなと改めて考えさせられた。 ガンジス河は生も死も内包していて、一面的な生あるいは死どち...

初めて氏の小説を読んだが、奥が深く三浦綾子と違うキリスト感が個人的に面白かった。キリスト教はとても慈悲深くとても良いことを教えている一方、たしかに日本人としてスッキリしない腹落ちしない部分もあるなと改めて考えさせられた。 ガンジス河は生も死も内包していて、一面的な生あるいは死どちらでもないところが「深い」のと、人の心も清濁あわせもっていてそれぞれの登場人物のモヤモヤがリンクしていてすっと入ってきた。

Posted byブクログ

2022/07/12

色んな思いを抱えながらインド旅行ツアーに参加することがガンジス河に集まるインドの人々を模しているよう。

Posted byブクログ

2022/06/25

それぞれの生きる上での辛さを我々に伝えることで、心の深いところを見透かされたような不思議な気分になる。1冊を通してみなを肯定したのではないかと感じている。

Posted byブクログ

2022/05/23

読み終わって、一気に30歳くらい老けてインド旅行した気分にさせられた。学生時代に社会学と人類学にハマり、現実から目を背けて何かを求めるように遠い異世界へ逃避したくなって海外旅行に明け暮れていたあの感覚に近い、けど精神年齢が高いという違い。 美津子と元夫との新婚旅行とか彼女のcur...

読み終わって、一気に30歳くらい老けてインド旅行した気分にさせられた。学生時代に社会学と人類学にハマり、現実から目を背けて何かを求めるように遠い異世界へ逃避したくなって海外旅行に明け暮れていたあの感覚に近い、けど精神年齢が高いという違い。 美津子と元夫との新婚旅行とか彼女のcuriosityに満ちているけど愛が100%満ちていない感じ、なんかすごくわかる気がして共感した。彼女が今後どうしていくのかどう人生を歩んでいくのかなんとなく自分の道標として欲しかった。 とにかく本質とか意味とかそういう大きいテーマが好きな人にはめちゃくちゃハマる本だと思う。

Posted byブクログ

2022/05/08

インドの宗教観をベースとして、ツアー旅行に参加した人々のそれぞれの人生について話が展開していく。 登場人物はみんながそれぞれの死生観や人生におけるモヤモヤした悩みを持っていて、インドに行って宗教に触れることで何かしらの解決の糸口にならないかをこのツアーに期待している。旅行者によく...

インドの宗教観をベースとして、ツアー旅行に参加した人々のそれぞれの人生について話が展開していく。 登場人物はみんながそれぞれの死生観や人生におけるモヤモヤした悩みを持っていて、インドに行って宗教に触れることで何かしらの解決の糸口にならないかをこのツアーに期待している。旅行者によくある「小綺麗」な「観光的」なインドではなく、生々しい現地のリアルな現状を実感していろんなことを感じ変化していくところが面白い。 インドの生活の実態描写や心情の変化の描写が大変繊細で入り込めた。 正直、宗教という言葉に抵抗がある日本人は多いと思うがこの本は思想としての宗教のあり方などを描写してるだけなので誰が読んでもいいと思う。一読の価値ある良本と思った。

Posted byブクログ

2022/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 キリスト教などの宗教というもの、神というものへのわたしの従来の認識を変えるほどに、わたしの心に響きました。 只々、純粋に素直な心で、文字を追う。 ラストまでいっきに読んで、大きく満足! 『玉ねぎ、輪廻転生、生活と人生、マハートマ・ガンジーの言葉、女神チャームンダー』等等、思わぬ事柄が心に残る。 孤独な闇(空虚感)の中でもがき続ける美津子は、 『ねえ、その神という言葉やめてくれない。いらいらするし実感がないの。・・・』 『すみません。その言葉が嫌なら、他の名に変えてもいいんです。トマトでもいい、玉ねぎでもいい』 『神は存在というより、働きです。 玉ねぎは愛の働く塊りなんです』 と、語る神学生の大津にも、孤独がある。 『僕のなかの日本人的な感覚が、ヨーロッパの基督教に違和感を感じさせてしまったのです。結局はヨーロッパ人たちの信仰は意識的で理性的で、そして理性や意識でわりきれぬものを、この人たちは受けつけません。・・・』 『ぼくは玉ねぎの存在をユダヤ教のひとにもイスラエルの人にも感じるのです。玉ねぎはどこにもいるのです。』  昔々、わたしがまだ学生だった頃、言葉ではなく存在そのものに感銘を受けたシスターがいらっしゃった。しかし、キリスト教は、よくわからない。 神父様に、お尋ねした。 「唯一の神のキリスト教だが、他にも唯一神を崇める宗教がある。八百万の神がおられる日本で育ったわたしには、唯一と言われる複数の神の存在を理解できない。」というようなことを。 まだ若く、経験も知識もないわたしは、神父様の返答を受け止めきることができなかった。"腑に落ちた"とまでは想えなかったと、曖昧な記憶はいう。 その長年のモヤモヤした想いをも落ち着かせてくれた『深い河』は、わたしの心を大きく揺さぶり、そして、満たしてくました。 美津子と交わす大津の書簡に心を打たれます。 『その時、母のぬくもりの源にあったのは玉ねぎの一片だったと気がつきました。そして結局、ぼくが求めたものも、玉ねぎの愛だけで、いわゆる教会が口にする、多くの他の教義ではありません。・・・ その愛のために具体的に生き苦しみ、愛を見せてくれた玉ねぎの一生への信頼。・・・』 マハートマ・ガンジー、マザー・テレサ。 時を経て、心に余裕を得た大津。 そして、『ヒンズー教徒のためだけではなく、すべてのひとのための深い河という気がしました』と、美津子に言わせた"ガンジス河"で二人は再会する。 『・・・これでいい』と大津に言わせたラスト。

Posted byブクログ

2022/03/28

様々な形で救いを求めようとしている人たちの群像劇。宗教的なテーマではあるのものの、中心人物は無神論者であり彼女の「私は何が得られれば心の安らぎを得られるのか」という誰にでも馴染みやすい心情が全体の主軸となっているので、読みやすい。磯辺と成瀬の結婚観がよく語られていて、自分としては...

様々な形で救いを求めようとしている人たちの群像劇。宗教的なテーマではあるのものの、中心人物は無神論者であり彼女の「私は何が得られれば心の安らぎを得られるのか」という誰にでも馴染みやすい心情が全体の主軸となっているので、読みやすい。磯辺と成瀬の結婚観がよく語られていて、自分としては読むタイミングが良かったと思う。 できれば登場人物の数を減らしてでももう少し一人一人の人物像を掘り下げてほしかった。どれもありがちなキャラクター設定のように思えて、全体を通してテーマの壮大さの割には心震わすような描写はなかった。 本作が発表された30年前であればもしかしたらガンジスでの沐浴やインド社会の格差のあり様は衝撃的だったかもしれないが、今日ではバラナシの混沌とした様子は至るところに旅行体験談が溢れていて、自分も訪れたところだし、今となっては新奇性に欠けるというか街の描写すら深掘り不足なように思えた。

Posted byブクログ