彼女は頭が悪いから の商品レビュー

姫野カオルコ(著者)

2021/09/13

胸糞です。結局、世の中は金。
だけど、そういうことをする人たちのことを絶対に忘れないし、許さないという執念を感じる本。

美咲が勘違い女だなんて全然思わない。どう考えても東大生たちがクソ。
ただ、若くて時間のある女子はみんな、ピンクレディのSOSをいつも心に流しておくことは必要です。酒は飲んでも飲まれるな！！時間は元に戻せない！！旅の恥はかき捨てだけど心に負った傷はなかなか消えてくれないぞ！！

2021/09/12

物語は力をもっている。想像という力。活字でしか触れていなかった事件が、物語になることで、自分の体や心の中に迫ってくる。
実際に起きた５人の東大生による強制猥褻事件をモデルにして書かれたこの作品は、こういった事件が、どこから生まれたのか、どうやって作られたのかを自分に引き寄せて考えさせる力を持っている。
被害者、加害者、それぞれどんな家庭に育ち、どんな風に大学生活を送ってきたのか。両親や祖父母はどういった人間なのか。だから余計に怖くなる、現実社会とあまりに重なることがたくさんあって、とてもノンフィクションとは思えない。
東大のような、社会的に高い地位に置かれている男性たち、そうではない女性たちをもののように扱う。女性嫌悪どころか、人としてもみていない。まるでおもちゃのように、それも使い捨ての、女性たちを見ている。それが、決して少なくない男性たちの女性への価値観であることは、紛れもない事実だ。
加害者の男性たちはきっと、反省の言葉は述べるだろうけど、何が悪かったのか、どうして悪かったのか、本当の意味ではわからないのではないだろうか。小説の中のように。それどころか、自分たちの将来がパーにされたと思っているのではないだろうか。韓国小説の「ハヨンガ」にもそういった場面が出てきた。
そして作者が言うように、この加害者たちの中にある差別、蔑視が自分には全くないだろうか。自分が自分より下だとか、劣っていると判断した人に対して、見下したり馬鹿にしたりすることはないだろうか。
人は、いつでもそうなれることを忘れてはいけないと思った。決して、彼らだけのことではなく。

2021/09/05

★3.5こんな胸くそ悪い小説初めて。けどどんどんページ進んだ。こういう東大生いるんだろうな、他人を見下してるやつ。けど東大生ってだけでもてまくるなんてこと今時ないと思う

ネタバレ
つばさは、東大生なのをいいとこに女遊びやエロい写真を撮影して金儲けをしていた。ちょっと好きになった女を飲み会に呼んだら、友人達にバカにされ腹立ったから、友人たちと、レイプ紛いのことをして、逮捕された。

タイトルの彼女=三咲は頭は少しバカな感じするが、優しい普通の女。つばさに弄ばれ、どんどん惨めに。最後は五人に輪姦をされる

2021/09/03

つばさと美咲が出会うまで結構長かったけど、読んで良かったと思う。
専門家の意見も子供の意見もネット上ではどっちも同じで、公的な意見に見える。
だからこそ、ネットに惑わされてはいけないし、ネットの短い文章の記事の裏には様々なストーリーがあって一概にこれはこうとは言えないよな。

事実を元にはしているけど、どこまで事実かは分からない。それが良い。

2021/09/08

読んでて嫌悪感、ぞっとするけど
一気に読み終えた。

偏差値が高い人が低い人を見下す。
親の収入で学力差が生まれる。
ずっと家庭教師、塾と環境整えれば
そして親のIQや記憶力を遺伝で受け継げば
子は良い大学にいける
そうでない事もあるけど、大半がそうであるような。この小説が今の日本社会を生々しくでもなく、嫌味でもなく描かれていた。

読んでて感じだのはやっぱり
辛く、苦しい思いをした人ほど
人の痛み、悲しみがわかり、人に優しくなれる。

この小説で出てた東大生は勉強や研究に忙しく、他者の事を考える瞬間がムダかのようにすぐ排除されてた。
恵まれた環境にいると、必要なくなるもんなぁ

私が人生で深く関わりたいのは、
テストやお勉強ができる人より、
人の痛みがわかって、人に優しい人だなあと思った。

自分が将来子供を育てる時にも、
この本は心に留めておきたい。
誰でもこうなりえる事を恐れて生きたい。

2021/08/30

星がつけられない。
気分が悪くて読み進めるのが嫌だった。でもページを繰る手が止まらなかった。

東大生はもちろん「一流」企業・「一流」な職に就く人には、このような選民意識のような、そうでない人を意識的・無意識的に見下してしまうことがあると思う。

私のまわりには、嫌みなく優秀で温厚な東大卒の男性もいたし、
「東大生です、一応ね」や「司法試験に人生費やすなんて負け組ですよ。会社員の方が勝ち組」と不快な(しかし隠しきれない自信がはみ出てる)笑みを浮かべるタイプの人もいた。
残念ながら後者タイプが多くて、仲間内にしかわからない（と思っているが、顔に出てる）優越感を見るのが嫌だったなぁ。

それまでの人生を、美咲のように素直で人を疑わず温かく守られた環境にいた人は、そうでない人に簡単に尊厳を踏みにじられてしまう。

これから娘にはこういうこともあることを、息子にはこういうことがないように伝えないといけないと思うとため息が出る。

私が大学生の頃はまだそこまでネット社会ではなかったが、今は加害者も被害者もその家族も不特定多数にさらされて、さらに誹謗中傷される。げに恐ろしき人間よ。

とにかく読後感が悪い！
下品ですが、胸くそ悪いな！というのが正直な感想です。
でもそれってまともな感覚の持ち主ってことだろうか。

世の中の若い人たちに言いたいことは、ヌードは誰にも撮らせてはいけない。
その時に信用できると思う人であっても絶対にだめ！

2021/08/29

小説だけど、リアルに起きた事件を元に書かれていることが本当に胸を苦しくさせる。たまたま自分の周りには、東大マウント取るような人達がいなかっただけ。どこでも起きうるし、巻き込まれる可能性が十分あると思う。一つの恋として始まったはずだったのに、どうしてこんなに酷い結末になってしまうんだろう。人としての尊厳をも下げずむことで、自分は凄い、やっぱり偉い、と自分の優越感にただ浸りたい。そんな人間がいることが恐ろしいし、悲しくなる。一冊、最後まで読むのが辛かった。

2021/08/18

実際の事件を元にした作品。面白いけど、個人としては嫌悪感を覚える。年ごろの息子娘をもつ親としては恐怖を覚える。

2021/08/16

東大生による強制わいせつ事件を
モデルにした創作小説。
息苦しいほど胸糞なんだけど、
他人事として読めない。

“東大”“学歴マウント”という形で
描かれているけど、
本社勤務の人が支社勤務の人を見下すとか
彼女持ちがぼっちを見下すとか
オフィスワーカーが販売員を見下すとか
デブを、ブスを見下すとか、
他人と自分を比べて優劣をつけてしまう、
軽んじたり、下を見て安心したりしてしまうという
心の闇を誰しも多かれ少なかれ抱えていて、
胸糞加害者達の心情にどこかギクリとする、
思い当たる節があるからかもしれない。

誰が悪いとか、
彼ら個人の性根が腐っているとかって話じゃなく、
社会、文化、環境が作り出す、
学歴マウントに代表される、
人間の暗く汚い意識、歪に膨らんだ自尊心、
刷り込まれたいやな常識、
そんなのはどこかの誰かの話ではないなと。

でもやっぱり、
理解できない、気持ち悪いと思わせるのは
その歪んだ優越感が人に実害を与えたこと。
劣位の生物と判断するだけでは飽き足らず
モノと見なした粗雑な扱い。

美咲の無邪気さ、清廉さが
丁寧に描写されているのと、
なにより、儚いオクフェスの一夜が
美しく切なく温かい分きつい。

単一の尺度で人を偉そうに品評すること、
人を人と思わない、慮る健全な心のないことは
やはり悪だと言いたい。

悪とか善とか、
そんな単純に断ぜられることじゃないと言われても
自分はそれらを悪いことと信じて
必死でそんな言動を回避したい。
自分の中から撲滅したい。
きっと完全に抹消できないけど、それに努めたい。

この作品は胸糞だけど、
胸糞と言えるほど君はまっとうかい？と、
問いかけられている気がした。

2022/01/27

女子マネを「浅倉」「南」と名付けるというのがまずエグすぎる ミソジニーとホモソーシャルノリが酷いのだけど、その原因が彼らの家庭と学力的優越感にあると単純化されているように思え、不足に感じた。女性関係使った男性間での格付けで歪んでるのは途中まではエノキだけだったかのよう
と、彼らがああなった原因となる人間関係が描かれなかったものの、美咲とつばさの関係の変化はじんじんと心が痛んだ。というか自分のトラウマ刺激されてすごく落ち込んだ。最初で最後のピークであった船上のシーン…