臨床の砦 の商品レビュー
私自身がコロナによる社会の変化で打ちのめされ折れてしまった時から「それでも負けずに踏み止まる矜持を扱う作品に触れたい」と思っていた。やっと出会えた。 クライマックスになっても派手で劇的な場面はない。だがそこに至るまで負けずに丁寧さを失わず耐えてきた日常がある。懸命に過ごした日々の...
私自身がコロナによる社会の変化で打ちのめされ折れてしまった時から「それでも負けずに踏み止まる矜持を扱う作品に触れたい」と思っていた。やっと出会えた。 クライマックスになっても派手で劇的な場面はない。だがそこに至るまで負けずに丁寧さを失わず耐えてきた日常がある。懸命に過ごした日々の描写が精緻であり、著者だからこその見識だと思う。そのプライドが読んでいて心を熱くさせた。 日々の自分の役割にプライドを持ち、心を強くして生きていきたいと思える作品だった。
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第三波、2021年1月あたりのお話。少し先の未来を知っている私達も、未だこの感染症に悩まされている。本当に手強いですね。 突如この戦争に巻き込まれた私達だが、誰も確かな情報がない中、戦略を立てて冷静にいくのは本当に難しい。オーバー気味に恐れるのも無理はない。 淡々と書かれていると...
第三波、2021年1月あたりのお話。少し先の未来を知っている私達も、未だこの感染症に悩まされている。本当に手強いですね。 突如この戦争に巻き込まれた私達だが、誰も確かな情報がない中、戦略を立てて冷静にいくのは本当に難しい。オーバー気味に恐れるのも無理はない。 淡々と書かれているところがかえって良かった。引き続き、何があっても大丈夫なように、食料や衛生品の備え、必要な対策をして行こう。
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田舎に住んでると、コロナ患者とか逼迫とか無縁なような気がしていたけど、奮闘していた人達がいるんだって改めてわかった。 想像力をもって、この危機を乗り越えていきたい
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現役の医師で、実際にコロナの最前線で働く著者の渾身の一冊。 時は2021年1月。 日本は新型コロナの第3波を迎えていた。 血中酸素濃度が落ちて来た患者を中核病院へ移送する敷島の様子から描かれる。 敷島は感染初期から、受け入れを行ってきた信濃山病院で働く消化器内科の医師。呼吸器は専...
現役の医師で、実際にコロナの最前線で働く著者の渾身の一冊。 時は2021年1月。 日本は新型コロナの第3波を迎えていた。 血中酸素濃度が落ちて来た患者を中核病院へ移送する敷島の様子から描かれる。 敷島は感染初期から、受け入れを行ってきた信濃山病院で働く消化器内科の医師。呼吸器は専門ではないものの、落ち着いた性格から、患者からも他の医師からも一目置かれていた。 搬送していた患者は呼吸状態こそ悪いものの、まだ若く、専門病院で治療を受ければ、助かる…この時はまだそう信じていた。 しかし、1月も日を追うごとに新規の陽性患者が増えて来る。第3波の訪れだった。 受入病床数を増やしても、全員を入院させることが出来なくなり、重症化しても、専門病院に送ることが出来なくなり、信濃山病院では高齢や認知症の患者は、信濃山病院で看取ることに…いわゆる「命の選別」だ。 北アルプスの稜線を見ながら、救急車で患者を搬送した時から、ここまでわずか10日足らず。 医療崩壊はあっという間に訪れることが、手に取るように分かる。 発売当初は200ページちょっとのハードカバーで、買うのを少しためらった。200ページぐらい、一気に読めるだろうと思った。 でも、読めなかった。 何故なら、敷島を始め、コロナ病棟で先の見えない状況で患者に誠心誠意対応する医師や看護師さんの様子を読んでいたら、涙が溢れて、先に進まなくなるから。 この作品は「神様のカルテ」の作者の作品ではなく、コロナの最前線で闘う医師の心の叫びなのだと思う。 長野県はかなり早い段階から、コロナの流行に合わせて、他県との移動の自粛を呼び掛けていた。そのせいか、大きな観戦爆発が起きたとは聞かない県である。それでも、ここまでの悲惨な状況。他の都道府県は…と想像するのも心が痛い。 経済がなんだ!オリンピックがなんだ! 全ては命があってこそ! 何で、それが伝わらないんだろう。 自分の不謹慎で、これだけの医療従事者が苦しんでいるのに。 他の方のレビューにもあったが、こういう本こそ、いろんな人に読んで欲しい。 200ページなんて、って思ったけど、コロナと闘いながらも、本を出すことで、医療の実情を伝えてくれた作者に感謝の言葉しかない。 作品では1月1ヶ月の出来事を描いているが、その後の第4波で協力体制が強化されたことを祈るばかり。
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毎日報道される新型コロナ新規感染者数。 コロナ病棟の様子も映し出される。 P56〈医療は崩壊寸前なのではない。すでに崩壊しているのではないのか〉 介護施設の利用者が入院。 防護服を着た状態で看護師は介助をすることになる。 コロナ対策拠点病院のコロナ病棟。 休む間もなく働く医師や看...
毎日報道される新型コロナ新規感染者数。 コロナ病棟の様子も映し出される。 P56〈医療は崩壊寸前なのではない。すでに崩壊しているのではないのか〉 介護施設の利用者が入院。 防護服を着た状態で看護師は介助をすることになる。 コロナ対策拠点病院のコロナ病棟。 休む間もなく働く医師や看護師。 しかし、一般病棟、正面玄関に目をやればいつもの光景が見られる。 いろいろな歪みも書かれている。 ノンフィクションかと錯覚してしまうほどのリアル。 改めてその過酷さを教えられた気がする。
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どこか他人事で絵空事のように思えるコロナウイルスの脅威を一気に身近なものにしてくれました。 医療崩壊の意味、感染対策とは何か、クラスターとは何か。コロナと最前線で静かに戦う医師の視点で描かれる物語に、自分の無知を思い知らされ胸が苦しくなりました。 負の感情は負のクラスターを生...
どこか他人事で絵空事のように思えるコロナウイルスの脅威を一気に身近なものにしてくれました。 医療崩壊の意味、感染対策とは何か、クラスターとは何か。コロナと最前線で静かに戦う医師の視点で描かれる物語に、自分の無知を思い知らされ胸が苦しくなりました。 負の感情は負のクラスターを生む。医療も経済も政治も苦しい。今は大きさは違えどみんなが何かを我慢し、苦しみながらも耐え抜いて生きている。互いに敵意を向け合うのではなく、コロナという共通の敵に対して、手を取り立ち向かっていけたらいいのにと思いました。 医療従事者の皆様、本当にありがとうございます。
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これはただの医療小説ではありません。コロナに対してどこか幻想的に見ている世間の感覚を引き戻してくれます。ニュースよりもリアルであり、読んでいて涙が止まりませんでした。正解はなくても、いま私たちができる最善の方法をとっていくべきだと改めて感じます。さよなら、お疲れ様、ありがとうも言...
これはただの医療小説ではありません。コロナに対してどこか幻想的に見ている世間の感覚を引き戻してくれます。ニュースよりもリアルであり、読んでいて涙が止まりませんでした。正解はなくても、いま私たちができる最善の方法をとっていくべきだと改めて感じます。さよなら、お疲れ様、ありがとうも言えずに家族や大切な人を旅立たせたくない。
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テレビやネットでは、経済から見たニュースが多く、医療従事者の本音が届いていない現実。 この本には描き切れないほどのリアルが現場にはあるのだと思うが、少しでも知れて良かった。。。 きっと色々な制約や批判がある中で出版してくれたのだと思う。多くの人に読まれますように。
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医療者として、最前線でコロナと戦ってくれている方々のリアルを知る義務があると思い、読みました。言葉では言い表せない程の尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。それと同時に、想像することしか出来ないけど、本当に辛いなと思いました。辛すぎて、辛すぎます。 医療者とか関係なく、皆さんに読んで...
医療者として、最前線でコロナと戦ってくれている方々のリアルを知る義務があると思い、読みました。言葉では言い表せない程の尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。それと同時に、想像することしか出来ないけど、本当に辛いなと思いました。辛すぎて、辛すぎます。 医療者とか関係なく、皆さんに読んでほしい作品です。
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医療関係の方から見た新型コロナ感染症に関わる小説。超過死亡がどうとか、つまみぐいで、いい加減にデータをみて、騒ぎ過ぎ、と思っていたのだが、それはそれで、無責任な態度だったとも思う。 でもだからといって、小池百合子のいうことを拝承、ってのもしっくりこない。 様々なことについて、真摯...
医療関係の方から見た新型コロナ感染症に関わる小説。超過死亡がどうとか、つまみぐいで、いい加減にデータをみて、騒ぎ過ぎ、と思っていたのだが、それはそれで、無責任な態度だったとも思う。 でもだからといって、小池百合子のいうことを拝承、ってのもしっくりこない。 様々なことについて、真摯に考えるということが、有限なリソースを前提とすると、不可能と言わざるを得ず、どうしたものか、と途方にくれるばかり。 この世は不完全なものだな、と改めて思った。 全ての業界に夏川氏がいて、その苦闘を伝え、皆が理解を深めることで、少しは、皆の職業生活が平安なものになるのかなぁ。
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