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まちづくり幻想 の商品レビュー

4.1

38件のお客様レビュー

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2021/04/29

学生時代から長年、商店街振興、まちづくりに関わる著者によるまちづくり論。今回も切れ味鋭い内容となっています。 タイトルの「まちづくり幻想」とは、皆が常識だと思いこんでいるものが、実は現実とは異なり、それを信じ、共有してしまうが故に地域の衰退を加速させるという本質的な問題のこと。本...

学生時代から長年、商店街振興、まちづくりに関わる著者によるまちづくり論。今回も切れ味鋭い内容となっています。 タイトルの「まちづくり幻想」とは、皆が常識だと思いこんでいるものが、実は現実とは異なり、それを信じ、共有してしまうが故に地域の衰退を加速させるという本質的な問題のこと。本当に思い当たることが多いと思います。 『「まちづくり幻想」とは、誰から与えられるものではなく、常に我々の内にあるものです。他人のせいにしても仕方ありません。』 『まちづくり幻想を振り払うのに必要なのは、「百人の合意より、一人の覚悟」』 今回も、叱咤激励をいただける内容になっています。 ▼「まちづくり幻想」:皆が常識だと思いこんでいるものが、実は現実とは異なり、それを信じ、共有してしまうが故に地域の衰退を加速させるという本質的な問題 ▼地域のプロジェクトには、単に「ヒト・モノ・カネ・情報」がたくさんあればよいのではなく、それらを取捨選択し、活用していく上でのベースになる「思考の土台」が必要。失敗する地域再生事業の多くは、取り組み以前に、この土台そものに問題がある ▼幻想の原因は、統計を見ないことから起きる ▼都市部でどんなことが起きようと、自分たちのまちを継続的な積み上げで、普段から外の人を受け入れ、自分たちの産業を盛り上げていっている地域にしかチャンスは訪れない ▼内発的な力があるチームを作り出せるかどうかがすべての勝負の始まり。だからこそトップの仕事は、事業のネタ探しでも、予算確保でもなく、よい人事 ▼組織を動かすときに効果的な「外圧」の使い方 ・同じ組織属性の人を活用する(グループ軸) ・同じ階級の人を活用する(レイヤー軸) ・外部評価を活用する(プレゼンス軸) ▼想いは口に出し、4つの行動で示す ①応援は「具体的行動」で示そう ②「様子見」は、潰しに加担しているのと同じ ③7~8人から反対されるうちにやるのが「仕事」 ④他のライバルを潰すのではなく、育てる ▼実際、地方に必要なのは単にゆるい関係を持つ人口ではなく、明瞭に消費もしくは労働力となる人口を移住定住せずとも確保していくところに価値があるはず。そこには「誘致コスト」もかかる  しかし、現状を鑑みて「投資対効果」があるのかどうかを検討することが求められる ▼「まちづくり幻想」5つの分類と12のアクション ①官×意思決定者が「役所」ですべきこと、「地域」ですべきこと アクション1 外注よりも職員育成 アクション2 地域に向けても教育投資が必要 アクション3 役所ももらうだけでなく、稼ぐ仕掛けと新たな目的を作る ②官×組織集団「自分の顔を持ち、組織の仕事につなげる」 アクション4 役所の外に出て、自分の顔を持とう アクション5 役所内の「仕事」に外の力を使おう ③民間×意思決定層「自分が柵を断ち切る勇気」と「多様寛容な仕事作り」 アクション6 既存組織で無理ならば、新たな組織を作るべし アクション7 地域企業のトップが逃げずに地域の未来を作ろう ④民間×集団「地元消費と投資、小さな一歩がまちを変える」 アクション8 バイローカルとインベストローカルを徹底しよう アクション9 一住民が主体的にアクションを起こすと地域は変わる ⑤外の人 地元ではない強みとスキルを生かし、リスクを共有しよう アクション10 リスクを共有し、地元ではないからこそのポジションを持つ アクション11 場所を問わない手に職をつけよう アクション12 先駆者のいる地域にまずは関わろう ▼まちづくり幻想を振り払うのに必要なのは、「百人の合意より、一人の覚悟」 ▼踏まえてほしい3つのポイント ①「ここまで考える必要がある」という領域を広げることの重要性の共有 ②大切なことは大抵面倒なことなので、面倒なことこそ大切だと思うこと ③まずは個人や少数チームで始めて近い成果を挙げることが大切ではあるものの、その先にいくためには仲間を増やそう <目次> 第1章 「コロナ禍で訪れる地方の時代」という幻想 第2章 えらい人が気づけない、大いなる勘違い 第3章 「地域の人間関係」という泥沼 第4章 幻想が招く「よそ者」頼みの失敗 第5章 まちづくり幻想を振り払え!

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2021/04/23

実際の事例から失敗の原因どうすれば良いのかが書かれておりわかりやすかった。 まちづくりモチベが高まる1冊笑

Posted byブクログ

2021/04/13

まちづくりをしたい、しようと思う方はたくさんいらっしゃると思います。特にいろいろな地域団体の趣旨は自分の町をよくしたいとの思いの中からそのような活動をしている方が多いのではないでしょうか?しかし、まちづくりとはなんなのかを今一度考えさせられる機会をもらった本がこの本です。地域課題...

まちづくりをしたい、しようと思う方はたくさんいらっしゃると思います。特にいろいろな地域団体の趣旨は自分の町をよくしたいとの思いの中からそのような活動をしている方が多いのではないでしょうか?しかし、まちづくりとはなんなのかを今一度考えさせられる機会をもらった本がこの本です。地域課題はそれぞれにあり、その解決方法も千差万別です。良い事例があればそれに飛び付き、そのやり方が地域を変えてくれるという幻想がよくあります。もし、自分の会社だったら利益を生み雇用を継続し、税金を納税できるように必死でやります。が、まちづくりとなると多くの人の気持ちのモチベーションの差がでてきます。となるとやはりそのまちづくりをしようと言った一人の人間の想い、行動力、継続力が必要です。その想いが伝播して協力者を増やし賛同者となるのだと思います。「100人の同意より一人の覚悟」この言葉がすごく好きになりました。だれがやりきるのか、最後はその部分に対しての責任感なんだと思います。その行動に心打たれ、共感者が増えていくのだと。いつの時代も一人の人間が立ち上がり、歴史を変えてきました。自分も本当に大切なこと、幻想ではなく、真実と実行力でまちづくりをしたいです。

Posted byブクログ

2021/04/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【自治体が設定するゴールの幻想】 ・「人口減少」は、地方衰退の結果であるため、それ自体をゴールとすることは間違い。 本来は自治体の単位に人を合わせるべきだが、現在は逆で、「地方創生」や「一極集中解消」の名のもとに、自治体のために人を強制移動させる仕組みになっている。 【トップの仕事に関する幻想】 ・トップの仕事は事業のネタ探しでも予算の確保でもなく、よい人事を行う事。 【国への依存】 ・「自前で稼ぐこと」よりも「国や県から貰うこと」が主力業務となってしまった地方 【結論】 これからの地方は、国や県の予算を基にした事業やコンサルに頼らず、「自前で出来ること」を増やしていくことが必要。 従来の「幻想」を一旦断ち切るためには、「今まで続けてきたこと」を冷静に見直す覚悟が求められる。

Posted byブクログ

2021/03/29

この本で、皆が常識だと思い込んでいるものが本当は現実と異なっていて、それを信じ、共有してしまって地域の衰退を加速させているのが「まちづくり幻想」だと著者は説く。そして5つの利害関係者をもとに分類した。

Posted byブクログ

2021/03/22

p50 安くたくさんを徹底していては、人口減少社会の日本においては問題が起こるのは間違いありません。売上よりも利益率にこだわるべきです p52 つまり「自分で作る」か「もらうか」くらいで市場を通じて購入したことはないので、都市部にむけて正しい値付けをするのはかなり難しいのです ...

p50 安くたくさんを徹底していては、人口減少社会の日本においては問題が起こるのは間違いありません。売上よりも利益率にこだわるべきです p52 つまり「自分で作る」か「もらうか」くらいで市場を通じて購入したことはないので、都市部にむけて正しい値付けをするのはかなり難しいのです p54 値段を高くすると地元重鎮からたたかれる 「安くたくさん」による衰退連鎖を止めるような付加価値の高いサービスを提供すると「ボッタクリだ」とか「3日で潰れる」とか悪口を展開する人たちがバンバンでてくる 付加価値の高い製品を少人口で作るから地域は長期にわたり反映する p63 トップの仕事とは「人事」が9割を占めるといっても過言ではありません。「何をやるか」よりも「誰とやるか」「誰に任せるか」のほうが圧倒的に重要です p69 公民連携プロフェッショナルスクール p81 外から移住者を呼んで来る前に解決すべきは、地元から逃げていく人たちの意見を聞いて、えらい人たちが態度・思想を改めることです p83 若い女性が地方を離れ、東京に向かう理由をみていくと、「東京が魅力的」というより、「地方社会が女性に閉鎖的で、成長機会に乏しい」と認識しているわけです。さらに地方は治安が悪くて、怖い、自分が望む住まいもないとしている回答をみると、男である私にも見えない地方の問題を感じて、出ていく女性が多いことに気付かされます p84 簡単にいえば、企画や事務職で働きたい若い女性が多い一方で、地元企業では募集がなかったのです p97 まず地域のトップに必要なのは夢 p100 旭川市郊外の当麻町 でんすけすいか 75万 p104 みんなという人はいない p122 皆で力を合わせ、頑張ればどうにかなる、という幻想を維持するために、何か問題点を提起するものを悪いやつと決めつけて集団で攻撃しているうちに、他の地域はより魅力的な商品サービスを作り出し成長していきます。常に敵は外にあり、なのです p126 「みんな」なんて抽象的な主語はいりません。まずは「私」が何をするか、なのです p129 事業におていは、診療、経験、投資という3つの軸が必要 p133 基本的には、多くの人は、「誰が話すか」によって判断をしている p137 集団がもつ幻想は無責任と他力本願と現状維持を正当化するために共有されているものが多くあります p138 地元に挑戦者・成功者がでたときどんな行動をとるべきか 応援は具体的行動で示す、様子見は潰しに加担しているのと同じ 7-8人に反対されるうちにやるのが仕事  他のライバルを潰すのではなく、育てる  p155 昔は地銀にお金を集めておけば地域内企業に投融資されそれが金利として預金にプラスされていたが、いまは機能しなくなっている p157 地域経済構造 内閣府 RESAS 中村良平 まちづくり構造改革 p161 ファンの増加と、具体的なアクションのセットが必要 p165 二宮尊徳 報徳仕法 道徳と経済の両立が重視される p173 「やったことのないことはできない」という幻想と、「できないことは外注すればいい」という幻想が組み合わさって、いつの間にか、誰も自分の頭で考えなくなっていないでしょうか。そこにつけ込む悪質な「外の人」がだくさんいるのです p189 「お金がない」という人ほど「お金がかかる「事業を始めたがる p202 先を行く地域の人は圧倒的に未来の話をする p235 まちを変えるのは常に百人の合意より、一人の覚悟 p242 宮崎駿 大事なことは、だいたい面倒くさい

Posted byブクログ

2021/03/17

過去の成長、成功体験に囚われ、これから訪れる未来を直視せず、何とかなると考える、夢や憶測で物事を語る。まさにエビデンスよりもエピソードの重視。 年齢、性別などに関係なく、お互いを尊敬でき、若い人を浪費しない、そんな地方を作っていきたいと思った。

Posted byブクログ

2021/03/15

 多くのまちづくりが失敗しているのは、現実より幻想を前提としていることにある。多くの人の同意を得ること、反対されないことを優先するため、現実は軽視される。そんな現実が書いてある良書

Posted byブクログ