白鳥とコウモリ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
東野圭吾氏、安定のおもしろさ。 序盤に矛盾のない供述と逮捕があり、真相ではないと分かっていながら... 今まで読んだことのない展開(特に、主役の若い2人の立場が逆転するところ!)に衝撃を受けた。 主役2人が懸命に行動し、少しずつ分かってくる真実。 それを止めさせようとする存在もまた、自分たちの仕事を精一杯やっているのだ。 真犯人の本当の動機には開いた口が塞がらないが、それもまた現代っ子を正確に描いているようで考えさせられる。
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ここまで一気に読み終えた本も久しぶりであった。 白石と倉木、白鳥とコウモリここも掛けられてるのか、凄いなと。 確実に映像化されそうな作品である。
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久々に東野圭吾さんの本を手に取った。 最初から物語に引き込まれていって、一気読みしていた。そうそう、この感覚。寝食を忘れてしまうくらい本に没頭するこの感じ。楽しかった。
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読み始めはタイトルの意味がわかりませんでしたが、読み進めて意味に辿り着いたときは「そういうことか!」ってなりました。 単なる推理ものじゃなく、様々な視点からそれぞれの人生の深さが描かれてて、とても読み応えがありました。 是非ドラマか映画してもらいたい作品です。
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500ページを超える本だが、降りる駅に気づかないくらい没入して読んだ。 実は、この本を名古屋から新横浜まで往復の新幹線の中でほとんど一気に読む。 驚いたのは23ページの記載。捜査一課の五代務が向かう場所。愛知県安城市。ここは僕の故郷だ。「周りに大きな建物はなく、派手な看板も見当...
500ページを超える本だが、降りる駅に気づかないくらい没入して読んだ。 実は、この本を名古屋から新横浜まで往復の新幹線の中でほとんど一気に読む。 驚いたのは23ページの記載。捜査一課の五代務が向かう場所。愛知県安城市。ここは僕の故郷だ。「周りに大きな建物はなく、派手な看板も見当たらず、牧歌的な雰囲気が漂っていた」という描写のように小説の舞台になることはまずない場所だ。 そこから、さらにモードがトップギアにシフトした。 1984年愛知県と2017年東京で発生した全く別の事件が、倉木達郎という初老の男の自供で繋がる。事件はあっさり解決したように見えたが、実はそうではなかった…。 倉木はなぜ自供したのか。なにを守っているのか。読後に一気に解決するが、切ないもの、悲しいもの、やるせないものが、駆け巡りしばらく呆然としてしまう。 さすが東野圭吾、読ませるね。 個人的には東野圭吾の作品で『容疑者Xの献身』がトップクラスだが、本書はそれを超えるかもしれない。 タイトルの『白鳥とコウモリ』。 「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」という所轄の中町の発言の言葉の一部だ。上手いことをいうもんだ。 そういえば、キーとなる人物の名前、白石健介、美令親子と倉木達郎、和真親子の苗字には、白と黒をイメージ(くらき=暗き…黒い)できる。倉木は黒木でもいいのではないかと思ったが、読後は黒木ではちょっと違うなという妙な納得感があった。 ラストの場面で、白鳥とコウモリが、いつか一緒に交差して空を飛び、同じ色になれたらいいなと思った。 見事なタイトルに圧巻の思い。
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皆さんがいい評価をしている通り、とても面白い作品でした。 序盤に解決したはずの事件ですが、新しい謎が生まれては疑惑に変わっていく様子はお見事で、どんどん物語に引き込まれていきました。 光と影がうまい具合に強調されて物語が進んでいき、圧倒されました。 また被害者と加害者の家族への世...
皆さんがいい評価をしている通り、とても面白い作品でした。 序盤に解決したはずの事件ですが、新しい謎が生まれては疑惑に変わっていく様子はお見事で、どんどん物語に引き込まれていきました。 光と影がうまい具合に強調されて物語が進んでいき、圧倒されました。 また被害者と加害者の家族への世間からの対応は色々と考えさせられました。 この作品も、東野圭吾さんの代表作の一つになるのでしょうか。
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タイトルが気になって手に取った。 わざと苛立たせて本音を引き出そうとするの、 本当に警察は感じ悪いなぁと思ってしまう。 ただでさえ不愉快なのに、 わざとと言われると尚のことだ。 個人のメモ的な捜査資料を破棄せず保管しているのは それはそうだろう。 一冊の手帳に相当な労力が掛かっているはずだ。 念の為調べた過去の事件からあれよあれよと言うまに解決。 ただ残りページ数にそんな訳もなく。 堀部という弁護士は国選弁護人を引き受けるくらいだから 正義感も強いのだろう。 しかし和真からしたら殆ど脅迫されているようなものだと思う。 和真はよく出歩けるなと思った。 自分なら怖くて閉じこもっているし、電話もインターホンも出ない。 警察が宅配業者の恰好をして訪ねてくるのは信用度が下がるなぁ。 泥棒なら相手がどんな恰好をしていようとインターホンにそもそも出ないだろうに。 嫌がらせでの通報の可能性も考えたが、 吉山さんが良い人でほっとした。 雨宮さんも実はどこかで疑っていたが、 最後まで良い人で良かった。 美令は1人でよく頑張ったと思う。 検察に話して駄目なら、確かに刑事に話すしかない。 和真にとっての堀部もそうだが、本当の意味で味方にはなってくれないのが辛い。 所詮彼らには日々こなす仕事のひとつだ。 彼女が頭も良く積極的で、和真も謙虚だからこそ 2人の会話が成立した。 2人とも父親に似ているのだろうと思える。 兎に角極刑にして欲しいと思うより、 まず兎に角真実が知りたいと思う方が普通だと思うのだが それを手助けはしてくれないのだな。 この件では五代が和真を焚きつける形で協力してくれたが。 意味がわかった時にタイトルのワードセンスがお洒落だなと思ったし、 意外な犯人の正体が無理矢理ではなく、 ならば倉木の行動にも納得できるなと思えたと同時に 容疑者Xの献身を思い出した。 種明かしを地の文で書き連ねるのではなく 五代が中町に説明するという形なのが上手い。 特に後半多少都合が良過ぎると思うことがあったり 中弛みを感じるところもあったが 和真と美令を下手に恋仲にしないところは良かったし 立場が逆転する複雑な状況描写は好み。 罪と罰というが、常々被害者本人か遺族がどう思うか が一番ではと思っている。 真犯人については殺人自体に興味があったのだから 許すべからずと思うが 福田が自殺してしまったことは警察の冤罪に加え 二重の落ち度でありそこが責められるべきで、 倉木や白石は情状酌量の余地は十分にあるだろう。 あすなろのふたりは結局は気持ちの面での救いはあっただろうし 美令は前を向いて生きていって欲しい。 自分で言っていた通り、親の罪は子供には関係無いのだから。
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最後まで読むのが苦痛でした。申し訳ないが、決して最高傑作ではない。ひねりのないトリック・犯人、魅力のない登場人物、古めかしい文体。 やはり私には東野圭吾さんは合わない。
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普段あまり読まない長編作品だったが、おもしろくてあっさり読めてしまった。 東野圭吾さんの作品は、自己犠牲や献身の究極系が多い印象で、作者の人柄が出ているように感じた。 二つだけ、犯人が秘めていた残虐性(殺人への興味)と、加害者・被害者の子供二人の異性的接近、の二つの要素は本作品には余計で、そのせいでなんだか仕上がりが俗世っぽく感じた。
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港区竹芝桟橋付近に駐車された車内で男性遺体が発見された。被害者の白石健介は妻子ある弁護士で、スマートフォンのGPSから別の場所で殺害された可能性が高かった。警視庁捜査一課刑事の五代努が所轄の中町刑事とともに捜査を進める中、捜査線上に一人の男が浮上する。男は事情聴取で犯行を自供する...
港区竹芝桟橋付近に駐車された車内で男性遺体が発見された。被害者の白石健介は妻子ある弁護士で、スマートフォンのGPSから別の場所で殺害された可能性が高かった。警視庁捜査一課刑事の五代努が所轄の中町刑事とともに捜査を進める中、捜査線上に一人の男が浮上する。男は事情聴取で犯行を自供するが、その内容は関係者にとって得心がいくものではなかった。供述に納得がいかない被害者の遺族と加害者の家族は、真相を追い求める中で、約30年前愛知県で起きた殺人事件の新たな事実を掴むが… 被害者遺族や加害者家族の心理描写を描かせたら天下一品の東野圭吾。どちらかにフォーカスしたものなら作者の過去作品にあったが、本書のように両者を主軸に据えつつそれらが交錯するというプロットは初めてな気がする。 犯人逮捕で警察の捜査が一旦終了し、検事や弁護士は「裁判に勝ちさえすれば真相は二の次」というスタンスの中、信念を持って真相解明に突き進む彼らはタフだ。自分が同じ立場だったら外野の非難や反対の声をはねのけてここまでできないよなーと感心しつつ、二人にどっぷり感情移入しながら、一気読み。 500頁越えの厚みがあるにも関わらず、わずか80頁足らずで犯人逮捕に至る展開。目が点となったが、パズルピースを小出しにしてリーダビリティを上げつつクライマックスで一気に駆け抜ける筆力は流石だ。特にタイトル「白鳥とコウモリ」の意味がわかって以降の怒涛の展開には舌を巻く。白と黒との“阿吽の呼吸”を含んだ犯行プロセスには若干無理があるものの、この反転劇は見事。 本書は東京を舞台とする警察小説でもありながら、加賀恭一郎シリーズではない理由もなんとなくわかる。洞察鋭い加賀刑事ならあのような見落としはしないだろうから… “白鳥とコウモリ”がいつか一緒に空を飛べる日を夢見て…読了。 週刊文春ミステリーベスト10 5位 このミステリーがすごい! 14位
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