累々 の商品レビュー
1人の女性を色んな角度から見た恋愛小説。 結婚、セフレ、パパ活、トラウマ…全て嘘 『繋がれた手は温かいのにふと腹の底が冷える感じがした』 『口角が自然と持ち上がり、それに反応するように涙腺が緩んでいく』 『もう誰かのための自分にはなりたくない』 ラストをハッピーと捉えるか、狂...
1人の女性を色んな角度から見た恋愛小説。 結婚、セフレ、パパ活、トラウマ…全て嘘 『繋がれた手は温かいのにふと腹の底が冷える感じがした』 『口角が自然と持ち上がり、それに反応するように涙腺が緩んでいく』 『もう誰かのための自分にはなりたくない』 ラストをハッピーと捉えるか、狂気と捉えるか。 『累々』とは… あたり一面に積み重なっているさま 長く連なって続いているさま
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今時のリアルが描かれていて結構面白かった。 ラストがあまりにも無難でちょい残念。 デビューがこれなら今後も期待。
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- ネタバレ
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私が大好きなひとつひとつ絡み合う短編小説を、私が大好きな文章を紡ぐ松井玲奈が書く。こんな幸せは他になかろうと思えた。全ての話に小夜が出てくるが、どの話に登場する小夜も皆別人のようだった。 小夜は大切な、人の根本にあるもの、無性の愛、それに似た何かを欠落させた人間のように感じた。だからこそあの変わり様なのだろう。所謂カメレオンタイプ。村田沙耶香の『生命式』にも似た話があったように思った。これは彼女のみならず、誰しもあることだと信じたい。 最後には結婚式で幸せに終わる、ように見せかけて少しだけ闇を孕む。あの終わり方をどう捉えるのかは個々によるものだと思う。
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面白かった! 短編集かと思ったら途中から同じ人の話だと気づいてなるほどなと。個人的にパパ活の話が新たな視点で面白かったのと、ちぃの話は共感しかなかった。 大学に入ってハジメ先輩のような自分にはない世界観を持った人に憧れるのも無理ないし、そういう人と中途半端な関係をずるずる続けた挙...
面白かった! 短編集かと思ったら途中から同じ人の話だと気づいてなるほどなと。個人的にパパ活の話が新たな視点で面白かったのと、ちぃの話は共感しかなかった。 大学に入ってハジメ先輩のような自分にはない世界観を持った人に憧れるのも無理ないし、そういう人と中途半端な関係をずるずる続けた挙げ句、結局振り向いてもらえず最後には酷い扱いを受けたら人格や倫理観に影響出まくりだよね。 彼氏がいながらパパ活やセフレを切れないのもそういった経験からだろうし、彼氏との結婚を渋ってたのも、彼氏一辺倒になったときにこれまで保ってきたバランスが崩れるのが怖いんだよね。と、自分の経験も照らし合わせながら非常に共感を持って読んだ。 キーホルダーをずっと持ってるのも、バベルの塔のケーキなんかも、ハジメ先輩の存在が大きすぎた代償。いつか解放されるといいな。 元アイドルの松井さんがこんな生々しい気持ちを書くなんて驚きだし、いい意味で期待を裏切られた。
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小夜には幸せになって欲しい。 キーケースをプレゼントするということは、望んでないのにコーヒーにミルクをたっぷり入れられるのと同じ。 節々に考えさせられるところがあった。
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松井玲奈のデビュー2作目。今回は連作短編集。食べ物というモチーフは前作から一応継続しているが位置付けとしては後退。代わりに何とも意地の悪い恋愛模様(半分ホラー)が前傾化していて驚いた。男性目線でのパパ活の描写なんかは元アイドルという著者のバックグラウンドと照らし合わせながら読むと...
松井玲奈のデビュー2作目。今回は連作短編集。食べ物というモチーフは前作から一応継続しているが位置付けとしては後退。代わりに何とも意地の悪い恋愛模様(半分ホラー)が前傾化していて驚いた。男性目線でのパパ活の描写なんかは元アイドルという著者のバックグラウンドと照らし合わせながら読むと背筋が凍る思いがするw
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普通だった。 展開も途中で読めるし、1人の若い女の子にこのくらいの多側面があっても何ら不思議じゃない。
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前作とは180度違った本 本当にれなちゃんが書いたの!?って思わせる一冊でした。 個人的には、「ユイ」が好きです!
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3ユイの途中まではまあこんなもんかなって思ってたら…… 連作短編集だからどこがつながってるのか考えながら読んでたけど、小夜もパンちゃんもユイも同じ人だとは。 もっと自由にふらふらしてたいって正直に言うなあって思ってたけど、そのままの意味だったり バイトなのに結婚式の資金は優にあるってそういうことだったのかってなったり あとから1章の意味がいろいろわかってくる。 そりゃ子育てしてる深鈴とは価値観合わないわけだ。 4章まで読むと1章の「……ああ、琴吹さん。懐かしいですね」の意味も変わってくる。 ラストの5年後の意味は、5年経っても幸せに結婚生活が続いてるよってことかな。 「バランス」の意味はなんかわかるけど、やっぱり共感はできない。でもただヤバい人で終わらずにしっかりと読ませる文章力。 前作は短編集で今作は連作短編集。 一つ一つの話もおもしろく、つながっていくところもとても良かった。 『カモフラージュ』『累々』と2作続けておもしろかったからもう好きな作家の一人!
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- ネタバレ
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彼氏からプロポーズを受けた小夜。しかし、なかなか一歩を踏み出すことができずに混沌とした気持ちのままでいる。 私はこのまま結婚してもいいのか? その人と長くいることで、段々と相手の本性が露わになります。それでも好きになれるのか。様々な「好き」の形が垣間見れます。 全5章の連作短編集ということですが、最初独立した短編集かと思っていました。しかし、段々と読み進めるにつれて、同一の名前が登場し、これは一人の女性の恋愛物語なんだということがわかりました。 ただ、同じ名前で別々の女性の物語としても楽しむことができるので、多種多様な味わい方がありました。 普段テレビで拝見する松井さんとは違い、小説家としての顔では、想像以上に「女」としての恋愛模様を描いていて、新たな一面を垣間見ました。 時折、登場人物の心理描写を描いた後に情景描写が綴られるのですが、それが良い余韻を残してくれます。文章が透明感で美しく、気持ちがプツッと切れることなく、持続した感じにしてくれるので、心地よかったです。 それぞれの章で、違ったアクセントを演出しているので、それぞれ違った面白さがありました。 個人的には、第3章が面白かったです。恋愛シミュレーションのような選択肢を用いた構成は新鮮味がありました。 それぞれの章で魅せる別々の「私」。結果として別々に見えてしまうが、現実でも、会う人によって、対応を変えていると考えると、自然なことだと思います。 お互い仲良くなり、本性をさらけ出しても好きでいられるか。最終章では、温かい結末で良かったです。それまでは冷たい雰囲気で、悲しい状況だった分、最後は自然と拍手したくなりました。
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