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羊は安らかに草を食み の商品レビュー

4.3

202件のお客様レビュー

  1. 5つ

    87

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

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2021/07/29

第70回日本推理作家協会賞 受賞作。宇佐美まこと作品。 どちらかというと苦手な長編推理小説と思いながら手に取ったが 「認知症になった友人を連れて、友人の思い出の地を巡る老婆3人」 (んん??)と思いながら読み続けていくと、明らかになっていく彼女の人生が気になって 引き込まれてい...

第70回日本推理作家協会賞 受賞作。宇佐美まこと作品。 どちらかというと苦手な長編推理小説と思いながら手に取ったが 「認知症になった友人を連れて、友人の思い出の地を巡る老婆3人」 (んん??)と思いながら読み続けていくと、明らかになっていく彼女の人生が気になって 引き込まれていった。 今は多くを語れない 強く優しく穏やかだった友人には 壮絶な生い立ちと誰にも言えない過去があった。 訪れる思い出の地の旅と共に 痴ほう症の友人 益恵の人生が展開されていく。 終戦を終えた満州での 無残で壮絶な生活  何物にも耐えがたい親友「カヨちゃん」との出会い 結婚して新しくできた家族の秘密 どれもが悲惨な中に 主人公の生きる力を強く感じさせてくれる。 この本の謎解きは ぜひ 本を手に取って 主人公たちの旅に心を添わせて 楽しんでほしい。おすすめの1冊でした。 

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2021/07/25

* 認知症を患い、日々記憶が曖昧になる益恵 彼女を友達達は、まあちゃんと呼んでいる。 俳句の会で繋がる長年の友、アイと富士子は 益恵の夫(三千男)の願いを受けて、 益恵の最期を穏やかな気持ちにするべく これまで生きてきた町へ、記憶の旅にでる。 戦中、戦後を満州で開拓団として過...

* 認知症を患い、日々記憶が曖昧になる益恵 彼女を友達達は、まあちゃんと呼んでいる。 俳句の会で繋がる長年の友、アイと富士子は 益恵の夫(三千男)の願いを受けて、 益恵の最期を穏やかな気持ちにするべく これまで生きてきた町へ、記憶の旅にでる。 戦中、戦後を満州で開拓団として過酷な 幼少期を生きた益恵の人生を 俳句を背景にして振り返る。 終戦前の7月の暑い中、 過酷な戦後の体験を物語で読む事で 戦争の悲惨さと人の弱さと強さを 感じさせられた物語です。 益恵、マイ、富士子の人生を、 生きてきた価値観を見つめる物語。

Posted byブクログ

2021/07/23

表紙の絵とタイトルに惹かれて手に取った本。 内容はそこからのイメージと違って(最後まで読むと「あーそういう絵か」ってなるんだけど)、まあさんこと益江さんの人生を辿る旅のお話でした。 満州での家族との別れや寒さ、飢えといった壮絶な体験の中で出会ったカヨちゃんとの友情、2人でなんと...

表紙の絵とタイトルに惹かれて手に取った本。 内容はそこからのイメージと違って(最後まで読むと「あーそういう絵か」ってなるんだけど)、まあさんこと益江さんの人生を辿る旅のお話でした。 満州での家族との別れや寒さ、飢えといった壮絶な体験の中で出会ったカヨちゃんとの友情、2人でなんとか帰国を目指す中で会った人たちの話が、現在の話と交錯しながら進んでいく、とても引き込まれる内容でした。 認知症が進んでいるまあさんを守るように、それだけじゃなくて一緒に楽しみながら旅をする富士子さん、アイさんの友情が素敵だった。 島谷だけ舞台装置感というか、展開の都合上作られた人の感じがして、何だかちょっと残念だったなあ。

Posted byブクログ

2021/07/20

認知症の老婆の話だと思って読んだけれど、その女性が生きた人生を辿る物語になっていて面白かった。戦争の悲痛さが胸にぐさぐさと刺さる。目を背けたくなって何度も本を閉じるほどだった。 過酷だが強く優しく生きてきた人生には、周りの人のよさが、人望がついてくるのだと思った。 人生の最期を迎...

認知症の老婆の話だと思って読んだけれど、その女性が生きた人生を辿る物語になっていて面白かった。戦争の悲痛さが胸にぐさぐさと刺さる。目を背けたくなって何度も本を閉じるほどだった。 過酷だが強く優しく生きてきた人生には、周りの人のよさが、人望がついてくるのだと思った。 人生の最期を迎える時に、周りの人に愛され想われる人というのは、そのような生き方をしてきたことを物語っているのだ。 物語の最後は、え?そう来るの?という展開で、このエピソードはなくても面白かったんじゃないかな…と個人的には思った。

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2021/07/18

面白かった!老人の悲しさや辛さあり、戦争の怖さあり、かなり悲惨な描写がたくさん出てくるけど一気に読ませる凄さはなんだろう。11歳の女の子が二人で互いだけを頼りに、生きて帰る。周りは信頼出来ないけど、時々優しい人に優しくされたから、人の心を忘れずにいられたのかな。親切にしてくれた中...

面白かった!老人の悲しさや辛さあり、戦争の怖さあり、かなり悲惨な描写がたくさん出てくるけど一気に読ませる凄さはなんだろう。11歳の女の子が二人で互いだけを頼りに、生きて帰る。周りは信頼出来ないけど、時々優しい人に優しくされたから、人の心を忘れずにいられたのかな。親切にしてくれた中国人夫婦が、日本人に良くしてもらったからって、まさに情けは人のためならずを地でいくようなことがもっとあればいいのに。そして、受けた優しさを誰かに回せれば、世界は少しは良くなるかもしれないのになあ。益恵も富士子も人生の終わりに、自分が築いてきた人間関係のいい結果が出て良かった。終わりは見えてきてもそれは幸せだと思う。残されるアイが心配だけど、この経験を支えにしっかり生きていけると思う。あなたには素晴らしい友達がいるんだから、あなたもきっと素晴らしい人。子供はあてにならなくても、まだ他にもいい友達がいるかもしれないよ。久しぶりに続きが気になって読んじゃう本に会えて嬉しい(*´∀`*)夏休みに読むといいよ子供たち。大人もな。そしてツォンガがとても気になるわ。さらに、こんな時代から今に至るまで、国って嘘ばっかついて国民騙して色々巻き上げるものなのか?上層部、いわゆる上級国民のためにあるわけじゃないでしょうに。いつまでたっても羊は安らかでいられないよ。それとこの表紙可愛いな。

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2021/07/17

図書館本 初めての宇佐美作品 私たちは三次元に生きていて、認知症の方々は、これまでのことが一枚の絵のようになるのだと、誰かが言っていた。 益恵の、かよちゃんとの思い出。 それは、友人らが共に紡ぐことで完成した絵。 きっと友人らにとっても、かよちゃんにとっても、 そして、、、に...

図書館本 初めての宇佐美作品 私たちは三次元に生きていて、認知症の方々は、これまでのことが一枚の絵のようになるのだと、誰かが言っていた。 益恵の、かよちゃんとの思い出。 それは、友人らが共に紡ぐことで完成した絵。 きっと友人らにとっても、かよちゃんにとっても、 そして、、、にとっても、 これからに繋がる一枚になるのだなと思う。 羊は安らかに草を食み。。。 穏やかなる未来のために、音楽は流れ続ける。

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2021/07/14

満州から戦争孤児として天涯孤独、目を背けたくなるような、人には言えないような壮絶な苦難を乗り越え、引き揚げ船に乗り込んだたった11歳の女児のその後の人生。一時期テレビで盛んに呼びかけていた日本語を忘れた中国残留孤児の親探しを思い出す。読み進むうちに推理小説だとわかり、真相を知りた...

満州から戦争孤児として天涯孤独、目を背けたくなるような、人には言えないような壮絶な苦難を乗り越え、引き揚げ船に乗り込んだたった11歳の女児のその後の人生。一時期テレビで盛んに呼びかけていた日本語を忘れた中国残留孤児の親探しを思い出す。読み進むうちに推理小説だとわかり、真相を知りたくあっという間に読了。のちに認知症を患うも、深層に生き続ける恐怖、絶望の記憶。人の心は辛かったこと、苦しかったことより、恐怖を1番に覚えているのだろうか。推理小説の枠を超えたヒューマンドラマを興味深く読ませてくれた作品でした。

Posted byブクログ

2021/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

我が母は終戦直前の8歳のとき、両親と共になんとか大陸から帰国することができた。おかげで、凡庸ながらのうのうとした我が人生がここにある。母から帰国に際して特別に辛かったという話も聞かず、これといってなにかを胸に秘めているとも思えないのだが、果たしてどうなんだろう。ここでの老女たちの旅は、友情と思い遣りの反面、老体にムチ打ってお節介が否めぬものの、お話としてはありかな。ただ、最後ドラマチックにせんと作為が過ぎますでしょう。益恵の娘の出生の秘密、そしてついには絶対成功を見ぬと分かる殺人計画。方向性を誤ってます。あぁそうか、このもやもやは『一橋桐子(76)の犯罪日記』(原田ひ香著)でも感じた。これまでひとかどの人物であった高齢女性を、なにやらもっともらしい理由を与えて殺人者のヒロインにせんとする。結局は殺させないんだけど、そんな妙な扇動が気に食わんのだ。

Posted byブクログ

2021/07/08

中盤までに何度か挟まれる満州での話はとても良く出来ており、のめり込んで読んでしまったのですが、メインの現在の話はどうも、イマイチです。 登場人物の心理状態まで詳しく説明がされているせいで、「自分が読んでそこにキャラクターと同調して想いを感じる」という感動を減らしているような印象...

中盤までに何度か挟まれる満州での話はとても良く出来ており、のめり込んで読んでしまったのですが、メインの現在の話はどうも、イマイチです。 登場人物の心理状態まで詳しく説明がされているせいで、「自分が読んでそこにキャラクターと同調して想いを感じる」という感動を減らしているような印象を受けました。 ストーリー的にも終盤の盛り上がり切れない展開も残念でした。 つまらなくは全然無いですが、イマイチおすすめとまでは言えません。

Posted byブクログ

2021/11/07

現在と主人公の満州での過去の体験が交互に語られるのだが、その落差が大きく、二つのテイストの小説を読んでいるようだった。どちらも非常に興味深いだけに、最終章に向かっての盛り上がりが盛り上がりきれず、中途半端になり深みが無くなってしまっているようにも思う。

Posted byブクログ