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羊は安らかに草を食み の商品レビュー

4.3

202件のお客様レビュー

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2021/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アラエイティ(こんな言葉あるんでしょうか?)の仲良し三人旅。 痴呆症が始まった益恵の過去をたどる人生仕舞の旅がこんなにも深い物語を秘めていたなんて。 70年以上前、満州での敗戦からの生還が家族を亡くした11歳の少女にとってどれほど過酷であったか。 よくぞ、よくぞ生きて帰ってきてくれた、と物語の向こうに思わず手を合わせてしまうほど。 そこから始まる益恵の物語。痴呆が進むにつれてにじむように出てくる過去の話。口をついて出てくる名前。 今を共に生きる夫や友人たちには見えない、知らない何かがそこに引っかかっているはず。それをほどく、旅。 過去を過去としてきちんと心にしまうこと。それがちゃんと生きて死ぬことの第一歩なのだろう。 満州での話、壮絶すぎて震えが止まらない。ヒトがヒトで無くなるもの、それが戦争。 醜く浅ましく愚かな狂気に染まっていくなかで、出会う心優しき人々。その優しさに涙が止まらない。 そして、たどり着いた益恵の「始まりの島」。ここからの展開にページをめくる手が止まらない。 二つの美しい友情の物語に、こんな、こんな、こんな秘密と結末が隠されていたなんて! いやいやいやいや、これはすごい。アラエイティ、おそれいった!!

Posted byブクログ

2020/12/25

過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい―― アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五...

過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい―― アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。

Posted byブクログ