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羊は安らかに草を食み の商品レビュー

4.3

202件のお客様レビュー

  1. 5つ

    87

  2. 4つ

    75

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2021/05/13

認知症になった益恵を富士子とアイが、益恵の旦那に頼まれ、益恵のゆかりの地を旅する。益恵は満洲引き上げ者で、その過酷な体験は読んでいて辛くなる酷いものだ。益恵は佳代と2人でいたから乗り越えてきた。富士子やアイも全て平穏であった訳では無い。友情は本物ならとても強いのだ。別れる辛さより...

認知症になった益恵を富士子とアイが、益恵の旦那に頼まれ、益恵のゆかりの地を旅する。益恵は満洲引き上げ者で、その過酷な体験は読んでいて辛くなる酷いものだ。益恵は佳代と2人でいたから乗り越えてきた。富士子やアイも全て平穏であった訳では無い。友情は本物ならとても強いのだ。別れる辛さより出会えた事を喜ぶ…そうだよな。

Posted byブクログ

2021/05/10

表題から想定した内容とは・・思いがけない展開がなかなかの出来だった。 しかし、現実に戻ってのラストの伏線回収は少し肩透かし。 認知症高齢者の症状は疾病によっていろいろあるけれど「過去のつかえ」と対峙し、頭の中をほぐすと言う語りはなんか納得した。。脈絡なく押し寄せる記憶の断片に苦し...

表題から想定した内容とは・・思いがけない展開がなかなかの出来だった。 しかし、現実に戻ってのラストの伏線回収は少し肩透かし。 認知症高齢者の症状は疾病によっていろいろあるけれど「過去のつかえ」と対峙し、頭の中をほぐすと言う語りはなんか納得した。。脈絡なく押し寄せる記憶の断片に苦しめられると。 まぁさん、富士子、あいの3人の高齢女性の生き方も語りの中で姿を見せてきて。。 交互に語られる現実と過去・・読ませる上に、読まれたハイクから敷衍して行くエピソードは巧み

Posted byブクログ

2021/05/07

宇佐美まことさんの作品は3作目ですが、前作とはレベルが全く違うハイレベルな作品だと思いました。 都築益恵(まあさん)86歳、持田アイ(アイちゃん)80歳、須田富士子(富士ちゃん)77歳は俳句教室で知り合った長年の友人同士でこれまでも一緒に旅行をしてきましたが、益恵の50代で再婚...

宇佐美まことさんの作品は3作目ですが、前作とはレベルが全く違うハイレベルな作品だと思いました。 都築益恵(まあさん)86歳、持田アイ(アイちゃん)80歳、須田富士子(富士ちゃん)77歳は俳句教室で知り合った長年の友人同士でこれまでも一緒に旅行をしてきましたが、益恵の50代で再婚した夫の三千男が「まあちゃんが認知症になったようなので、最後に旅に連れていってほしい」と言い出し三人は大津、松山、佐世保市の國先島という順番で益恵のなつかしい友人と「カヨちゃん」を探す旅に出ます。 旅と共に益恵が11歳のときに家族全員が亡くなり一人で生き残って帰ってきた、満州での凄惨な体験が明らかになります。 益恵が満州にいたとき、日本は戦争に負けて、家族全員が殺されたり自決しましたが、益恵だけは孤児となりましたが、同じ孤児の佳代ちゃんと出会い二人で筆舌に尽くしがたい大変な経験をして、生きながらえて、日本に戻り、佳代の実家へと帰ってきたのでした。 満州での幼い二人の経験は壮絶な生と死の戦いでした。 二人の日本人の女の子は少しづつ賢くなって、頭を使って生き抜くための術を考えたのです、日本まで生きて帰るために。 益恵は満人に襲われた佳代を助けて石でうち殺したし、佳代が腸チフスに罹ったときは効くという死人の骨を煎じて飲ませました。 そして國先島で、二人は一緒に働き、二人共そこで所帯を持ちます。 その二人が何故、益恵が島を出てから今まで一度も会おうとしなかったのか…。 「カヨちゃん」にアイが連絡をとっても、佳代は手紙の返事すら寄こしません。 この旅行で果たして「カヨちゃん」に会うことはできるのか…。 最後は前半の満州の空気とはうって変わって日本のミステリー調になり、最後の最後は本当にスカッとしました。 益恵と佳代、アイと富士子も、人生最後までよくやったと思いました。

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2021/05/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

3.5 認知症を患い、日ごと記憶を失っていく益絵。 口に出す言葉は「佳代」という名前ばかり。  過去の断片にとらわれている彼女の心のつかえを取り除いてあげたい思いで、二十年来の友人2人は益絵を"最後の旅"へと連れ出す。 そこで浮かび上がった途絶な真実とは。 ✎︎____________ 終戦から75年。 戦争の事や満州の事はおおまかに習ってきてその悲惨さも分かってるつもりではいたけれど、改めてこういう話を読むと衝撃で言葉を失ってしまう。 怖い。 自分の大切な人が目の前で無惨な姿で死んでいく恐怖。 そして孤独。気が触れてしまいそうだ。 人間あまりにも途絶な事を経験すると もう口を閉してしまうのかも知れない。 時が流れて平和な現代、こういう経験者も少なくなってきてるけど、風化させないためにも知ること、語り継がれる事って大事だなと思った。 物語の方は最後ちょっと駆け足だったような、、 島谷出てこなくても良かったかな〜  

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2021/05/03

認知症を患う益恵。 「心のつかえ」を取り除いてあげたい。 夫である三千男が願うこと。 P152 〈自分がどんな生き方をしてきたか検証する〉 〈人生の最終章をどう迎えるか。そういう答えを求めての旅〉 益恵を伴いアイと富士子は最後の旅に出る。 満蒙開拓団の一員として過ごした益恵の家族...

認知症を患う益恵。 「心のつかえ」を取り除いてあげたい。 夫である三千男が願うこと。 P152 〈自分がどんな生き方をしてきたか検証する〉 〈人生の最終章をどう迎えるか。そういう答えを求めての旅〉 益恵を伴いアイと富士子は最後の旅に出る。 満蒙開拓団の一員として過ごした益恵の家族。 筆舌に尽くしがたい出来事が次から次へと襲ってくる。 益恵の「心のつかえ」は取れたのだろうか。 アイ、富士子の活躍たるや。 読む者の「心のつかえ」も取り除いてくれる一冊。

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2021/04/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表紙は穏やかな風に見えたのに、中身は壮絶で特に満州の話は厳しすぎて読み進めるのに苦労した。精神的に来る物があったけれど、戦争の事は知っておくべきだし読んで良かったと思う。 最後は嫌な終わり方じゃなくて安心した。富士子さんのさっぱりした言動が心地よかった。特に別れを悲しむより出会えた事を喜ぼうという考え方は素敵だと思った。

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2021/04/18

認知症の友人とともに旅行することになった老女たち。縁のある土地を訪ねるうちに、友人の悲しい過去が明らかになっていく。 仲良し老女三人組の現在の話と、その中の認知症を患っている女性の満州での過去の話が、交互に語られていく。戦争中、満州開拓団として移住した人たちの悲惨さについて、あ...

認知症の友人とともに旅行することになった老女たち。縁のある土地を訪ねるうちに、友人の悲しい過去が明らかになっていく。 仲良し老女三人組の現在の話と、その中の認知症を患っている女性の満州での過去の話が、交互に語られていく。戦争中、満州開拓団として移住した人たちの悲惨さについて、ある程度の知識はあったものの、孤児となった少女がたどる運命は想像を絶するもので、涙が出た。 句集に収録した俳句を挟み込んで過去をたどる手法も、効果的。 ただ、せっかく満州の話が圧巻だったのに、終盤になって起こる現在のトラブルのどたばたが、どうにも興ざめに。解決法も現実的ではないし、余計なおまけなど付けず、重厚なままに終えてほしかった。

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2021/04/17

内容は引き込まれるけれど、戦時中の描写がきつくて辛い。こういう世界があったことは忘れてはいけないのだろうけれど、とにかく辛い。

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2021/04/16

認知症を罹った益恵とその友人アイと富士子(老女3人)が、益恵の過去の断片を巡り日本中を旅する物語(著者は宇佐美まことさん)。現代ターンと過去ターンが交互に進行し、過去ターンでは第二次世界大戦時に満州で孤児になった益恵の生活が語られる(戦争の描写はかなり壮絶)。益恵の過去と現在が交...

認知症を罹った益恵とその友人アイと富士子(老女3人)が、益恵の過去の断片を巡り日本中を旅する物語(著者は宇佐美まことさん)。現代ターンと過去ターンが交互に進行し、過去ターンでは第二次世界大戦時に満州で孤児になった益恵の生活が語られる(戦争の描写はかなり壮絶)。益恵の過去と現在が交差する第4章~第5章への繋ぎが見事で、最後はすごく意外な展開だったが凄く面白かった。

Posted byブクログ

2021/04/04

 満州からの引き揚げの話は、読んでいて苦しくなりました。  後半の展開が早くて、読み終えたくない気持ちになりました。

Posted byブクログ