わたしたちが光の速さで進めないなら の商品レビュー
装丁が可愛い〜という気持ちで読み始めたけど、内容すごく良かった 全部好きだ ◎スペクトラム ○巡礼者たちはなぜ帰らない
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古びた宇宙ステーションでひとり宇宙船を待ち続ける170歳の女性。一度も行ったことのない場所の記憶を持つ少女。韓国の女性作家によるSF短編集は、未来の科学技術が生む世界を描きながらどこか優しく懐かしいお話ばかりです。私は地球外知的生命体とのファーストコンタクトを描く『スペクトラム』...
古びた宇宙ステーションでひとり宇宙船を待ち続ける170歳の女性。一度も行ったことのない場所の記憶を持つ少女。韓国の女性作家によるSF短編集は、未来の科学技術が生む世界を描きながらどこか優しく懐かしいお話ばかりです。私は地球外知的生命体とのファーストコンタクトを描く『スペクトラム』が印象に残りました。あなたはどうですか?
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7編の短編集からなるSF小説。 普段、日常の延長線上にあるような小説や、ファンタジーでもこの世界と地続きな感じのものばかりを読んでいたからか、SFって、読むと結構疲れるのだなぁ…と。 悪い意味ではなく、自分の想像力の限界というか、宇宙空間や別の天体で生活する様を想像することが、...
7編の短編集からなるSF小説。 普段、日常の延長線上にあるような小説や、ファンタジーでもこの世界と地続きな感じのものばかりを読んでいたからか、SFって、読むと結構疲れるのだなぁ…と。 悪い意味ではなく、自分の想像力の限界というか、宇宙空間や別の天体で生活する様を想像することが、死滅していくばかりの脳細胞を総動員することだと実感したのである。 しかし、それは未知への扉で、新鮮なゾクゾク感も味わえた。 著者のキム・チョヨプさんは化学系の大学院で学んだ方だそうだが、それゆえの(と勝手に思っている)論理的な物語の設定、運びと、それとは対照的にも思える抒情的な表現が美しく融合している物語を書かれる作家さんだ。 7つの物語は、どれも同じ人が書いたとは思えぬほど設定や背景に違いがあるが、マイノリティ(と言うと単純化されすぎな気がするが良い言葉が見つからない)の声を聴く物語であることには、共通性が感じられる。 中でも私が好きだったのは「スペクトラム」 印象に強く残ったのは「館内紛失」 中学生には少し難しいかもしれないが、読める子もいるはずなのでぜひ置いてほしい。 2021.10.3
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表題作はコールドスリープ技術で100年以上待ち続けた人を巡る物語。いい雰囲気の作品が多かった。しかもわりと売れているらしく、書店にも並んでいた。『共生仮説』という、赤ん坊が他の惑星の集合的意識のようなところにつながっていて、倫理的な問いかけをしているという物語が、心にじんときた。
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前から気になっていた1冊で早川のセールで半額でゲトって積んでいたのを読了。韓国SFという個人的には完全な新しいジャンルの小説だったけど新鮮でめちゃくちゃオモシロかった。USのケン・リュウ、テッド・チャンの系譜にありながら、今の社会に存在する構造的問題を大胆に取り込んでいるところ...
前から気になっていた1冊で早川のセールで半額でゲトって積んでいたのを読了。韓国SFという個人的には完全な新しいジャンルの小説だったけど新鮮でめちゃくちゃオモシロかった。USのケン・リュウ、テッド・チャンの系譜にありながら、今の社会に存在する構造的問題を大胆に取り込んでいるところが良かった。物語としてのオモシロさは担保しつつ読者に思考を促していくスタイル。 短編集でどれもオモシロいのだけど1つめの「巡礼者たちはなぜ帰らない」からしてぶっ飛ばされた。欠陥のない完璧な社会では愛が生まれないのでは?という問題提起の話。すべてを肯定し、愛する力強さをこんな形で感じさせてくれることに驚いた。データに基づいて多様性の重要さを伝えるのもいいけど、小説にしかできない役割もあるなと思える。 「スペクトラム」はエイリアンミーツな定番の話もあるのだけど、同じようなテーマから一捻りした「共生仮説」が好きだった。赤ちゃんの記憶とエイリアンをかけあわせつつ、人間の懐かしいと感じる感覚はエイリアン由来なのでは?エイリアンはそこにいるし、ずっといたみたいな。SFは基本未来の話が多いけど、現在をSFで捉え直す視点がフレッシュ。そしてタイトル作は会いたくても会えない切ない話で、その中で好きだったラインを引用。 「わたしたちは宇宙に存在する孤独の総量をどんどん増やしていくだけなんじゃないか。」 そして本作を特徴づける「わたしのスペースヒーローについて」「館内紛失」これらは女性のキャリアに関する社会の構造的問題とSFをかけあわせた短編。「82年生まれ、キム・ジヨン」ほどダイレクトではないのだけども、女性であること、母親であることが産む苦しみやプレッシャーに想像を巡らして、それをSFへと昇華させていく。女性の視点だからこそ描ける小説だと思う。個人的には「館内紛失」の方が近い未来な気がして好きだった。ここ数年で韓国文学が大量に輸入されているけれど、その中でもおすすめしたい1冊。(確かラッパーのC.O.S.Aもおすすめしてた)
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SFは割と好きであることと、SNSで話題になっていたので読んでみた。 まず表紙が可愛い。 短編集なのでキリが良いことと、SFではあるが難しい説明も文章もないので、読みやすかった。 以下、特に印象深い話の感想。 【スペクトラム】 絵を共通文字?言語?とする異星人と、身一つで放り出された宇宙飛行士の交流の話。 異星人の魂のあり方に関する思想が興味深い。 また、現代の科学者である主人公は、長い間“見ることも聞くこともできないもの、観念的なもの、感覚の外側にあるもの”を扱っていて、“世界は顕微鏡の中に、定量化されたデータの中に、グラフや数字の中に”あった。この感覚が理解できるので、主人公程優秀ではないが、自分だったらどうするだろうと考えることも楽しい。 主人公は最後、星からできる限り離れ、何十年も宇宙を漂い生還する。次にその星を特定してコンタクトを取る時、我々はもはや身体1つの対等同士ではなくなってしまうという推測は多分当たっている。 美しい絵画を見たくなる話だった。 【わたしたちが光の速さで進めないなら】 一言で言うなら、切ない。 “もしもすべてを知ったうえであのときに戻れるとしたら、自分がしてきたことをすべて諦められるだろうか?いくら考えても、そう簡単に答えは出ない” 大切なものが2つ天秤の両端に乗っていて、取捨選択を迫られて、結果的に捨ててしまったものを後悔して、でも自分に出来ることをやるしかない。 本当はもう諦めるしかないけれど、それをせずに自分の出来ることをやり続けた結果がラストの結末なので、これはトゥルーではないけれどグッドエンドなのではと思う。 逆に、【感情の物性】は個人的に全くピンとこなかった。どこまでいっても雑貨は雑貨だと思ってしまう私は多分、主人公の男性のような思考をしているんだと思う。 全体としてとても面白かった。 SFは、読書をしている最中は自由になれる気がする。独特の浮遊感がある気がする。面白かった。
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わたしたちはたどり着くところを知っている。 ふんわりとした表紙に惹かれたSF短編集。解説で指摘されているように、マイノリティに焦点を当てている小説でもある。今はまだない未来の技術を描きながら、とても身近な話に思えるのは、登場人物たちが未来の人であるにもかかわらず、同じように悩み、考え、動こうとしているからではないか。 「わたしたちが光の速さで進めないなら」今はもう行くことのできない惑星へ、とうに亡くなった夫と子どもが眠る惑星へ、渡航する船を待ち、コールドスリープを繰り返してきた女性科学者。彼女のステーション占拠をやめさせ、ステーションを廃棄する仕事に来た男。交流に漂う優しい悲しさと最後の旅に出る科学者の強さが、満足感をもたらすエンディング。 「館内紛失」データとして保存されているはずの母にアクセスできない。図書館をモチーフに書かれたこの作品は、母になること、『82年生まれ、キム・ジヨン』でも描かれた女性の生き方を問う。最後のセリフは同情か、絶望か。 「わたしのスペースヒーローについて」選ばれたマイノリティとして非難を浴びながら訓練に耐え、最後に任務を投げ出して海に飛び込んだ宇宙飛行士。彼女を慕う主人公は後に続く宇宙飛行士として身体を改造し宇宙の果てを見るミッションに挑む。憧れた人はどうして宇宙ではなく深海を選んだのか。世間の期待や責任から自由になる選択をしたジェギョンおばさんは、ガユンだけでなく、私のヒーローにもなった。
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28. これがSF小説か、大好きになっちゃった 不思議な感じではなくて とても現実味がある切ないお話が多い印象だった 館内紛失を読んでボロボロに泣いてしまった 私を産む前のお母さんが愛していたもの 子供や家庭にまつわるものでなくお母さん自身のもの (私はお母さんと仲が良い方だ...
28. これがSF小説か、大好きになっちゃった 不思議な感じではなくて とても現実味がある切ないお話が多い印象だった 館内紛失を読んでボロボロに泣いてしまった 私を産む前のお母さんが愛していたもの 子供や家庭にまつわるものでなくお母さん自身のもの (私はお母さんと仲が良い方だけど) そんなものがあるかと思い返しても ぱっと思いつかなくて お母さんは家庭に全てを捧げているような気がして びっくりするくらい泣いてしまった お母さんは私が生まれる前のことをあまり話さない 実家に帰ったら聞いてみようと思った
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たぶんここより快適で美しく、けれども歪みは残る、そう遠くない未来の物語たち。淡々としているのに込み上げてくるものがある。読みながら何度も目頭が熱くなった。捨て去ることのできない人間の性、克服できない不完全さ。
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初めてちゃんとSFを読んだ気がする。一つ一つ分かりやすくて、自分が知ってるSFとはどこか違う。どれも好きな作品。
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