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わたしたちが光の速さで進めないなら の商品レビュー

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81件のお客様レビュー

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2022/06/22

CL 2022.6.20-2022.6.22 SF短編集。 作者が若いせいかやや弱い作品もあった。短編だからかな。 「巡礼者たちはなぜ帰らない」がよかった。 苦しみや不幸が想像の概念でしかなくて、決して互いの存在を排除したりしない村。そんなユートピアのような世界から、新人類と非...

CL 2022.6.20-2022.6.22 SF短編集。 作者が若いせいかやや弱い作品もあった。短編だからかな。 「巡礼者たちはなぜ帰らない」がよかった。 苦しみや不幸が想像の概念でしかなくて、決して互いの存在を排除したりしない村。そんなユートピアのような世界から、新人類と非改造人にキッパリ分断された地獄のような地球に巡礼に来て、それでも地球に残るのは、誰かに恋するから。 結局、差別や悪意のない平和で保護された世界が全てではないということ。

Posted byブクログ

2022/06/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

〇もっと海外小説を読んでいきたいと思った。 ◎序文 現実からはるか遠くへ想像を馳せると、まるで飛行機が離陸するときのようにぴりっと張り詰めたときめきを感じます。 「巡礼者たちはなぜ帰らない」 デイジーは「巡礼の日」の前に「始まりの地」へ向かった 忘却のむこうに帰らない人がいる …帰ってきた人の物語もいつか読みたい。 「スペクトラム」 四十年間宇宙で遭難していた祖母。自分が最初に宇宙人のと接触したというが、何一つ証拠がない。祖母の話を聞くのは私だけになっていた。 …文明を介さない出会い。もしかしておばあさんは孫娘がたきあげた絵と一緒に川を渡って帰っていったのかも。 「共生仮説」 リュドミラの描く連作はある惑星の風景を描いた作品。世界中の人々が夢中になった。 彼女が亡くなったあと、リュミドラの惑星が発見される。 …みんなにNannyがいる。優しいSFだ。 「わたしたちが光の速さで進めないなら」 老人は寂れた宇宙ステーションで一人座っていた。男は慎重に近づき、何処へ行くのか、なぜここにいるのかをたずねる …1番好きな物語。やるせなさとやわらかな望みを見送る 「感情の物性」 喜怒哀楽を雑貨にしたエモーショナル・ソリッド社の製品が世間にあふれ出した。売れ筋がなんと「キョウフ体」や「ユウウツ体」。雑誌編集者のジョンハはプラシボ的なものだろうとさめた目で見ていたが… …感情を形にして手のひらの上におけたら。コントロールできたなら。 「館内紛失」 もしあの人が生きていたとしたら、なんといっただろうか。 まだ生きていれば、きっと喜んでくれたはずなのに ーその答えは図書館で得られるようになっていた。 だが、ジミンの母キム・ウナのマインドが失踪した。 …母と娘と。母ではない一人の人間。女性と仕事。母を“紛失”するということ。自分はマインドを残したいか、また残してほしい人がいるか。 …図書館の未来に泣いた。惜別なんかな。それとも別の役割があるのかな。 「わたしのスペースヒーローについて」 宇宙空間に現れたトンネルの向こうへ。ジェギョンおばさんは世界中から選ばれた宇宙飛行士のうちの一人でガユンの英雄だった。なぜおばさんは、宇宙ではなく海に飛び込むことを選んだのか。 …トンネルの向こうの宇宙の描写にシビれた。

Posted byブクログ

2022/04/24

韓国の新進女性SF作家さんの作品集。おしまいがなんだか抒情的に過ぎるきらいがあって、きれいな終わり方すぎるけど、それぞれ設定がなかなか新鮮で読み心地がよい。特に「スペクトラム」「共生仮説」が印象に残った。

Posted byブクログ

2022/10/19

どこか遠い場所へ思いを馳せる心があれば誰でも夢中になれるような、とても読みやすいSF短編集だった。 SF的なテーマとそこに発生する人間的な悩みや矜持の組み合わせの妙に好奇心が刺激されワクワクしたり、切なく考えこんだり、大きな推進力となって全く退屈しない。 一番興味がそそられたのは...

どこか遠い場所へ思いを馳せる心があれば誰でも夢中になれるような、とても読みやすいSF短編集だった。 SF的なテーマとそこに発生する人間的な悩みや矜持の組み合わせの妙に好奇心が刺激されワクワクしたり、切なく考えこんだり、大きな推進力となって全く退屈しない。 一番興味がそそられたのは「共生仮説」、ほんとにありそうと思わせるロジックと想像の飛躍のバランスが非常に面白かった。 「巡礼者たちはなぜ帰らない」は結局属性や見た目で判断する価値観から抜け出せない現代社会への問題提起と愛情を強く感じ、胸が熱くなった。 一方、「感情の物性」は個人的に全編の中で少し浮いてみえ、最後まで物語の解釈が見つからないままだった。だからこそ読み終えた今、もっと考えてみたいと思える一編になった。あとがきによると、作者もこのテーマで長編を書いてみたいとのことなのでぜひ心待ちにしたい。 私と同じ90年代生まれで若い作家さん、そういう意味でも影響を受けたし今後の作品がとても楽しみになった。

Posted byブクログ

2022/04/07

懐かしくて、新しい。 寄り添うようような近さがあって、それでいて遥かな未来を描いているような感覚も抱かせる。 そんな絶妙な郷愁は、まるで作品のひとつ、「共生仮説」のようでした。つまり、それだけ多くの人に共感を抱かせる要素の多い物語たちだったのだろうと、私は思いました。 図書館が...

懐かしくて、新しい。 寄り添うようような近さがあって、それでいて遥かな未来を描いているような感覚も抱かせる。 そんな絶妙な郷愁は、まるで作品のひとつ、「共生仮説」のようでした。つまり、それだけ多くの人に共感を抱かせる要素の多い物語たちだったのだろうと、私は思いました。 図書館が亡くなった人の記憶を保管している場所だったり、人体をサイボーグ化させて宇宙へ送り出していたり、感情が物質として販売されていたり。そういう、空想力の富んだSFの要素をふんだんに含みながらも、物語で描かれるのは、母と仲たがいしたまま別れた娘の忸怩たる思いだったり、親しかった叔母へのいとしさだったり、マイノリティであることの苦しさだったりと、現代に偏在しているものばかりです。そのふたつの要素がかみ合って、またとない抒情的な余韻を残していくのです。 今にはない技術によって、ふたたび出会えた、感覚を共有できた、そういった絆が浮かび上がり、彼ら彼女らの心根が繊細に描き出されていく。とてもやさしい視点を持たれていると感じました。 自分が一番好きだったのは「スペクトラム」です。異星人との邂逅のひとときのやさしさを知るとともに、そうであった理由の苦さをも感じ取り、絶妙な理解が深く心に沁み込んでいきました。 とても、とても好きなSF短編集です。 次作を待ち望んでやみません。

Posted byブクログ

2022/03/15

遠い未来にも、誰かは寂しく、孤独で、その手が誰かに届くことを渇望するだろう。 どこでどの時代を生きようとも、お互いを理解しようとすることを諦めたくない。

Posted byブクログ

2022/02/06

SF短編集。「館内紛失」すばらしい。「わたしのスペースヒーローについて」ああ、最高。「巡礼者たちはなぜ帰らない」児童書のような世界観かと思いきや…「わたしたちが光の速さで進めないなら」ロマンチック… あとがきを含め、全作とてもよかった。こんな作品が読みたかった。

Posted byブクログ

2022/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

韓国SF短編集。 どの小説も雰囲気はよく、読みやすくわかりやすかった。 けれども個人的には特筆してこの短編が、という感じのものもなかったかな、という印象。

Posted byブクログ

2022/01/10

とても美しいイメージ。 SFは設定でストーリーを語りがちだが、あくまで人間感情により物語を展開していくような印象が良かった。登場人物像から著者の優しいまなざしが透けて見える。 特に「スペクトラム」が記憶に残った。

Posted byブクログ

2021/12/31

巻末の解説でも触れているように、すでにいない人の軌跡を辿るというストーリーが各編に共通する。 自分の意志を貫いて駆け去った彼女らの後ろ姿は凜々しいけれど、傍らに寄り添う人はいない。共感を寄せるのは次世代の者たちという時間差が、どうしようもなく切ない。

Posted byブクログ