私を月に連れてって の商品レビュー
鈴木るりかさんの「さよなら田中さん」シリーズ、第3冊めです。 今回も、田中花実のお母さんと大家さんの面白さ炸裂。 「人の夢と書いて、儚いと読む、か。パンツ穿いても人生は儚い」 小学校高学年のとき、「瞬足」というメーカーの速く走れる運動靴が流行ったので、花実がお母さんにねだると...
鈴木るりかさんの「さよなら田中さん」シリーズ、第3冊めです。 今回も、田中花実のお母さんと大家さんの面白さ炸裂。 「人の夢と書いて、儚いと読む、か。パンツ穿いても人生は儚い」 小学校高学年のとき、「瞬足」というメーカーの速く走れる運動靴が流行ったので、花実がお母さんにねだると、「まかしとけ」と買ってきたのは、スーパーのワゴンで見つけた「迅速」。 大家さんの息子でニートの賢人が突然表れた「文代さん」を好きになり、 「私を月に連れてって」と言われたから約束したと言ったことを聞いて、花実のお母さんは思わず 「は?月?何言ってんの?あんたゾゾの社長じゃないんだよ」 底抜けに明るいのだが、そんな中、時々胃がキュッとなることが。 花実と親友の佐知子がたまたま出会ったノンちゃんという子。お母さんが大好きなのだが、アパートの敷地から外に出してもらったことも学校に行かせてもらったこともないという。こっそり二人で児童相談所に電話し、「いいことした」と思っていたが、後で「無戸籍の子が保護された」というニュースを見て、「ノンちゃんがお母さんと引き離された。良かれと思ってしたことが、余計なことだった」と猛省した。 この本では、花見の小学校の時の担任木戸先生と繋がりのあった人や花実のお母さんの子供の時の親友も登場。会えなくてもずっと思っているかけがえのない愛情、友情を感じる。 本当の家族の愛情に飢えた人。だけどそれを信じて力強く生きている人たちが登場する。 鈴子るりかさんはすごい。この時まだ高校生なのに学校で教えてくれないことばかりに目を向けた小説を書いている。 教室で教えられることは限られている。だから本は読まなければならないのだ。
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鈴木るりかさんの著書はこれが初めて。るりかワールドに惹き込まれました。重ためなテーマが入ってきつつも事件性や悲劇感はなくいい意味で淡々と、日常感があって、主人公たちと同じように日々過ごしいろいろな気持ちを感じながら読めました。
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高校で勉強がたいへんだから執筆はお休み中なのかと思ったら、とっくに書いていらしたのね。しかも、賢人くんとか、お母さんの過去とか、知りたかったことが!でも、まだ続くのね。ふふふ。
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鈴木るりかさんの著作4冊目です。 この本は多分高校生で書いたのかな。 もう、「こんなに若くてこんな本がかけるなんて」という驚きは間違ってると気が付きました。 「こんな本を書ける人がこんなに若いなんて」が正しいです。本の内容がありきで、プラス年齢に驚く感じ。
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人は会うべきときに、会うべき人と出会っているのだという。そうなのかもしれないと思った。 今回は、〈食器棚の奥の骸骨〉がたくさん出てきた感じだった。この言葉は、花実の小学生の時の担任が教えてくれた言葉で、どの家庭にも秘密にしておきたいことがあるという意味だ。 大家さんと花実のお...
人は会うべきときに、会うべき人と出会っているのだという。そうなのかもしれないと思った。 今回は、〈食器棚の奥の骸骨〉がたくさん出てきた感じだった。この言葉は、花実の小学生の時の担任が教えてくれた言葉で、どの家庭にも秘密にしておきたいことがあるという意味だ。 大家さんと花実のお母さんは、相変わらずとても元気。花実も友達の佐和子と新しい友達の石井くんとスマホで繋がったりと、楽しそうな日々。二階に住む賢人にも新たな展開があった。 そんななかでの、のんちゃんとの出会い。よかれと思ったことの怖さについて、改めて考えた。そして、職場体験で出会った村山さんと母親の関係、そして隠されている真実が、今後どう語られていくのか。大家さんの息子の賢人、そして文代のことなど気になることは山積み。 「夜を越えていくんだよ」とかつて花実の母親である真千子が言った言葉が、村山さんから花実に伝えられた。花実は何かを既に感じ取った。これから心身ともに成長していくとともに、乗り越えてほしいと思う。そして、大変な経験を経て今、花実を育てている真千子には、名前の意味と同様に〈真に価千金の子〉となった今の時間が長く続いてほしいと思った。 皆の今後が気になるので、『私を月に連れていって』の後の作品をすぐに読もうと思う。
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鈴木るりかの私を月に連れてってを読みました。 鈴木るりか高校二年生の時の作品です。 昨日読んだ太陽はひとりぼっちの続きのようです。 遠くへ行きたいと、私を月に連れてってと、夜を越えての三部作で、遠くへ行きたいは同級生の石井君と家から出たことがない女の子との出会い。私を月に連れてっ...
鈴木るりかの私を月に連れてってを読みました。 鈴木るりか高校二年生の時の作品です。 昨日読んだ太陽はひとりぼっちの続きのようです。 遠くへ行きたいと、私を月に連れてってと、夜を越えての三部作で、遠くへ行きたいは同級生の石井君と家から出たことがない女の子との出会い。私を月に連れてっては、ひきこもりの大家さんの息子が、綺麗な女の人に道を聞かれたことから、ひきこもりから脱皮。 夜を越えてはお母さんの小さい頃の話と、読みやすく、面白かったです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
12歳デビューの作家さん はじめて作品を読んだとき、文章のうまさに驚いた。 ユーモアのある人間描写や会話。現代社会の課題や言葉の知識も豊富で文章を読むだけで勉強になる。 母子家庭で貧乏だけど明るくたくましく生きる親子 明るいけれどお金や現実にシビア、友人や周囲の感情を適切に汲んで動ける賢い女の子 いつも明るくなんでも笑い飛ばす母が隠す過去にあった重い事情の伏線 自分が一番じゃないと機嫌が悪くなる友人 一見おとなしそうで、メールでは大量の自己表現をする男の子 そして一度も家から出たことのない、母と二人社会から隔離されて生きる女の子 現代社会の現実や人間関係リアルに現す一方で物語としても読みやすく先が気になりページをめくる手がとまらない
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「さよなら、田中さん」の田中家周辺の人々の続編。個性的な人々がいて、今後もまだまだ物語が語られていくのだろうか? 鈴木るりかワールド健在で、人の生き方についてあれこれ反芻して考えてしまう。勤務する小学校にも置いてあったが、小学生はこの物語をどのように捉えるのだろうか???
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『さよなら、田中さん』『太陽はひとりぼっち』の続編です。 相変わらずの、るりかワールド笑 何度声を出して笑ってしまったことか笑 外で時間を潰しながら読んでいた時もあったので、その時は声は出せず、マスクの下の鼻の下を伸ばすにとどめ、なんとか我慢しました笑笑 主人公花実の母と大家さ...
『さよなら、田中さん』『太陽はひとりぼっち』の続編です。 相変わらずの、るりかワールド笑 何度声を出して笑ってしまったことか笑 外で時間を潰しながら読んでいた時もあったので、その時は声は出せず、マスクの下の鼻の下を伸ばすにとどめ、なんとか我慢しました笑笑 主人公花実の母と大家さんの会話が面白過ぎます! でも、本当は二人とも重い重いものを背負っているのです。それなのにガハハと笑って生きているのです。 デビュー作の『さよなら、田中さん』から花実も作者も成長して深みのある作品になっています。 貧乏だけど明るく生きている!だけでなく、皆、何かを抱えながらも明るく生きている! そしてその“何か“は“何か“のままで‥‥知らなくてもいいことがあるんだよ、と。 家族から離れて遠くの月へ行ってしまいたいと思ったり、一番近くにいるはずの家族が月のように遠い存在になってしまったり。 今作もまた大満足の一冊でした。
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「遠くへ行きたい」「私を月に連れてって」「夜を越えて」 3話収録の連作短編集で『さよなら、田中さん』『太陽はひとりぼっち』に続く田中母子シリーズ第三弾。 今回は『月』がテーマになっている事もあり、月光の裏側の暗い部分が、登場人物の心の闇部分とリンクして描かれている。 花実とお...
「遠くへ行きたい」「私を月に連れてって」「夜を越えて」 3話収録の連作短編集で『さよなら、田中さん』『太陽はひとりぼっち』に続く田中母子シリーズ第三弾。 今回は『月』がテーマになっている事もあり、月光の裏側の暗い部分が、登場人物の心の闇部分とリンクして描かれている。 花実とお母さん、大家さん、親友の佐知子、ナイスキャラの石井君、2階の住人・賢人など、それぞれが織りなすテンポの良い会話に笑っていると、突如現れる社会問題。 ユーモアと負の感情のバランスがお見事。 若干17歳にしてその知識と語彙の豊富さ、感性に感動する。
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