おもかげ の商品レビュー
浅田次郎初体験になった『椿山課長の七日間』と似てる作品。脳梗塞が脳出血に置き換われば、いまのおれだよ。生死の境は彷徨ってないけど。 状況を比較しながら読んだ。 浅田次郎ほど地下鉄に思い入れはないのだが、拘りポイントは共感できる。銀座線の灯が消えるのとか、丸の内線のデザインとか。古...
浅田次郎初体験になった『椿山課長の七日間』と似てる作品。脳梗塞が脳出血に置き換われば、いまのおれだよ。生死の境は彷徨ってないけど。 状況を比較しながら読んだ。 浅田次郎ほど地下鉄に思い入れはないのだが、拘りポイントは共感できる。銀座線の灯が消えるのとか、丸の内線のデザインとか。古き良き東京の面影が無くなって行くのは寂しいなぁ。 2022年の東京オリンピックがコロナの影響を受けたのはクソ与党に天罰が下ったと思いねぇ。 今更、後悔はしないが、医者いらずだったおれにも天罰が下った。そして入院した病院に置いてあった浅田次郎を手に取ってハマった。 まぁ、そんな出会いもある。 不幸中の幸いと言えるのかどうか分からんが、入院してなかったら出会うことはなかっただろう。 そのうち、ふりかえって思い出すこともあるのだろうか。未だ渦中にある身としてはもがくのに精一杯で俯瞰することなんてできないけれど。
Posted by
親のあり方によって子供の心情や生き方は左右される。しかし、親子の絆というものは本人達が意識できないところで既に結ばれている。最後にはそういった感情が込み上げてきた。思わず自分自身のことを振り返ってしまった。浅田次郎さんらしい泣かせる作品だと思った。 世代も家族環境もそれまでの人...
親のあり方によって子供の心情や生き方は左右される。しかし、親子の絆というものは本人達が意識できないところで既に結ばれている。最後にはそういった感情が込み上げてきた。思わず自分自身のことを振り返ってしまった。浅田次郎さんらしい泣かせる作品だと思った。 世代も家族環境もそれまでの人生も全く異なるのだけれど、浅田さんの文章を読んでいると自分自身の人生と主人公の人生を重ね合わせて、主人公を通した喜怒哀楽の感覚がじわじわと脳細胞を揺さぶってくる。 浅田さんご自身の経験を踏まえた戦後のゴタゴタした雰囲気。そして団塊の世代の方々が幼少期から高度経済成長を経て成長して活躍する日本。時代の象徴として地下鉄がストーリーを紡ぐ手段として走っていく。これらの社会環境を背景に1人の男の65年の人生が語られる。死の間際の幻想の中で自分が孤児になった経緯を知ることとなる。 作品の終わり方が憎い演出だった。自分の出自が明らかになったところで主人公が再生出来たのか?気を揉ませるところが浅田さんらしい。
Posted by
生みの親も知らず小さい頃には、児童施設で育った竹脇正一。 エリート社員として、65歳の定年を迎え、送別会の帰り、地下鉄で意識を失い、そのまま、病院に担ぎ込まれた。 家族や友人達が、見舞いに訪れるが、竹脇の意識は、戻らない。 そんな中、竹脇は、不思議な人達に誘われ、パラレルワール...
生みの親も知らず小さい頃には、児童施設で育った竹脇正一。 エリート社員として、65歳の定年を迎え、送別会の帰り、地下鉄で意識を失い、そのまま、病院に担ぎ込まれた。 家族や友人達が、見舞いに訪れるが、竹脇の意識は、戻らない。 そんな中、竹脇は、不思議な人達に誘われ、パラレルワールドに迷い込む。 優雅で貴族のような「マダム・ネージュ」と名乗る、老女。 自分自身人生は、何一つ語ろうとしない、秘密主義者の「入江 静」と名付けた60歳ぐらいの女性。 35歳ぐらいの、かつては戦災孤児達のカリスマだった「峰子」 彼女達と話し、出かけるうちに、孤独な幼少期、初恋の人、幼くして亡くした長男、様々な記憶が呼び起こされていく。 そして、3人の女性の正体が、ようやく理解できた時、涙が溢れ出した。 竹脇は、生死の狭間を彷徨っている時に、愛娘の事を、天使と呼び「その天使がもう一人の天使を連れてきてくれた」と言った。 娘婿を天使と呼べる関係は、とても素敵だと思えた。
Posted by
退職の送別会をしてもらった帰り、地下鉄の中で倒れ集中治療室へ運び込まれる。ベッドには瀕死の自分が眠っている中、ディナーや海に出かけたりと現実としか思えないほどリアルな体験をする。主人公の生い立ちは妻にさえ話したくないようなもので重い展開になりそうなものだけど、登場人物はみんな良い...
退職の送別会をしてもらった帰り、地下鉄の中で倒れ集中治療室へ運び込まれる。ベッドには瀕死の自分が眠っている中、ディナーや海に出かけたりと現実としか思えないほどリアルな体験をする。主人公の生い立ちは妻にさえ話したくないようなもので重い展開になりそうなものだけど、登場人物はみんな良い人で、読後はじんわりとくる素敵なお話でした。
Posted by
戦争孤児、戦後日本の実情、高度成長期の影に追いやられた弱い立場の人々 そんな厳しい現実が事細かに書かれていそんな時代を生きた主人公と周りの人たちの温かさに涙なしじゃ読めなかった..
Posted by
エリート会社員として定年まで勤め上げた竹脇は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして…。涙なくして読めない至高の最終章。(e-honより)
Posted by
誰か自分が知っている人が死ぬ時を考えさせられる物語。目に見えるものが全てじゃないなって思える。それぞれに過去があるもんなってじーんとする。
Posted by
読んだことがあるのではないか、そう思いながら最後まで読んだ。2度目でも切なくて、読んでよかったと思った。 親の顔を知らずに生きてきた。そのことを負い目に思いながら生きてきた。病院で生死の境にいながら、不思議な体験をし、母を知る。捨てられたのではない。大切に思われたからこそ、置いて...
読んだことがあるのではないか、そう思いながら最後まで読んだ。2度目でも切なくて、読んでよかったと思った。 親の顔を知らずに生きてきた。そのことを負い目に思いながら生きてきた。病院で生死の境にいながら、不思議な体験をし、母を知る。捨てられたのではない。大切に思われたからこそ、置いていかれた。何とも切なかった。 浅田次郎らしい暖かい話だった。
Posted by
自分の周りの人、環境に 改めて目を向けて感謝することが出来ました。 歳を重ねた時、また読み返したら 違っ視点で違った気持ちが込み上げてきそうです。
Posted by
静かに、じんわりと。生きる希望が湧いてくる小説だ。 人はルーツに頼らなくとも、生きていける。 今、そばにいない人たちも、生きる支えとなる。 生きるために、最も大切なものを手放すことは、やはりある。 そして、みんないつかは、救われるのかもしれない。 読んで、確かめてほしい...
静かに、じんわりと。生きる希望が湧いてくる小説だ。 人はルーツに頼らなくとも、生きていける。 今、そばにいない人たちも、生きる支えとなる。 生きるために、最も大切なものを手放すことは、やはりある。 そして、みんないつかは、救われるのかもしれない。 読んで、確かめてほしい。
Posted by
