一橋桐子(76)の犯罪日記 の商品レビュー
原田ひ香さんの本は初めて。 まず「犯罪日記」という題名に惹かれる。 なんだか恐ろしいストーリーが展開されそう。 と読み始めるが、とてもテンポの良い文章で、犯罪とは無縁と思われる老女が主人公。 76歳の一橋桐子は独身で、両親の死後は清掃のパートをしながら、細々と暮らしてきた。 三...
原田ひ香さんの本は初めて。 まず「犯罪日記」という題名に惹かれる。 なんだか恐ろしいストーリーが展開されそう。 と読み始めるが、とてもテンポの良い文章で、犯罪とは無縁と思われる老女が主人公。 76歳の一橋桐子は独身で、両親の死後は清掃のパートをしながら、細々と暮らしてきた。 三年前からは、高校時代からの親友トモと一緒に暮らし、貧しいながらも輝いた日々を送っていた。 しかしあっけなく、トモは病で亡くなってしまう。 そこから物語は始まるのだが… 家族のいない桐子は、日々の生活も苦しい程にお金もない。 住む家さえ探すのに苦労し、哀しみと不安に押し潰されそうになる。 そんな“老後貧乏”がテーマになっているのに、この物語はどこかコミカルで面白い。 桐子は、“人に迷惑をかけたくない”という思いから、刑務所に入ろう、と考える。 で、第一章から最終章までは、 万引・偽札・闇金・詐欺・誘拐・殺人。 と、犯罪名になっている。 読み終えて一番感じたことはやっぱり、人間は一人では生きていけない。 という事かな。 桐子は人柄なのだろか、関わった人達とどんどん繫がっていく。 女子高生の友達まで出来た。 孤独な老人のように見えて、そんな事ない。 たくさんの人達と関わり、助けたり、助けられたり。 人に迷惑をかけても良いんじゃないかな? 迷惑をかけたり、かけられたり… すごく面白かった。 だけど、自分の老後も、考えると恐くなるなぁ。
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犯罪者を犯した女性のお話と思いきや、いい意味で裏切られ、真面目に生きていくことや信頼を得ることの大切さを感じたお話だった。どんな理由があろうとも前科者になってしまうと社会からは置き去りになってしまう怖さも描かれていて、ラストはなんだかモヤモヤ。消化不良で終わったけれど充分すぎるく...
犯罪者を犯した女性のお話と思いきや、いい意味で裏切られ、真面目に生きていくことや信頼を得ることの大切さを感じたお話だった。どんな理由があろうとも前科者になってしまうと社会からは置き去りになってしまう怖さも描かれていて、ラストはなんだかモヤモヤ。消化不良で終わったけれど充分すぎるくらいにひきこまれ桐子さんと犯罪者になるためのお話にのめり込んだ。
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76歳、独身。同居していた親友がなくなり独りぼっちになった上に、泥棒になけなしのお金まで盗まれてしまう。 人に迷惑をかけずに老後を過ごすには、刑務所に入ればよいのではと思い、人に迷惑をかけずに重い罪になる犯罪は何だろうと。 万引・偽札・闇金・詐欺・誘拐・殺人と怪しい章立てで、桐子...
76歳、独身。同居していた親友がなくなり独りぼっちになった上に、泥棒になけなしのお金まで盗まれてしまう。 人に迷惑をかけずに老後を過ごすには、刑務所に入ればよいのではと思い、人に迷惑をかけずに重い罪になる犯罪は何だろうと。 万引・偽札・闇金・詐欺・誘拐・殺人と怪しい章立てで、桐子が悪事に染まってしまうのかとドキドキ。 よく前科がある人が同様に考えると聞いたことがあるが、桐子のように真面目に生きてきた人でも生きづらい人も多いのだろう。
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境遇は似ていないのに共感することが多い。そしてトモがやったことはまさしく私がやろうとしたことなので、驚いた。私はどうなるのかな… 老人の死はそれまでの人生の答え合わせ
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犯罪は身近にあることにムズムズ。 老人の孤独な心のあり様にムズムズ。 清濁飲み込んで、ハッピーでもバッドでもないエンド。 なんて感想を言ったらいいんだろう。 綺麗な思い出を持たせてくれないし、 かといって恨みや後悔で引っ張ってもくれない。 一橋桐子さんの、お話。
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そう遠くない未来、私もこんな事を考えてしまうかも知れない、そう思った。 桐子さんのように真っ直ぐに生きていれば、誰かが力になってくれるのだ、という希望のようなものを感じた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
面白おかしく読んでたけど、段々と自分と重なった。 高齢になってから、たった一人の大事な人を失った後、どう生きればいいか、、、桐子は、動機はどうであれ、自分から周りの人に関わっていった気がする。年齢や性別、職業や肩書きなど関係なく、生きることにつながる、人との関係を作っていけた。 最後の、言葉にやられた、、、『本当にそういうことになったら、その時には私が殺してあげる』 ただの時間稼ぎかもしれない、でも、誰かの一言が、その先を生きる為のよすがになることもある、、、と感じる。
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76歳の桐子さん。 親友で同居人のトモが死んでしまうところからお話がはじまる。 悲壮感に満ちているのに、なぜかコミカル。 この先の人生、お金や住むところの不安がつきまとう。刑務所に入ったら、医療を受けられるし、介護もしてもらえるかも!それなら入りたい!実際に罪を犯そうと思うところ...
76歳の桐子さん。 親友で同居人のトモが死んでしまうところからお話がはじまる。 悲壮感に満ちているのに、なぜかコミカル。 この先の人生、お金や住むところの不安がつきまとう。刑務所に入ったら、医療を受けられるし、介護もしてもらえるかも!それなら入りたい!実際に罪を犯そうと思うところが、極端でおもしろい。 でも桐子さんは生粋の善人なんだろう。人に迷惑かけることはしたくなくて、色々と中途半端になってしまう。いろんな人に相談するところもおもしろかった。そんなこと相談するなよ〜。 でも、もし私が「誰も傷つけず、なるべく長く刑務所に入れる犯罪は何ですか?」と尋ねられたら、なんて答えるだろう?? 掃除のパートをして、人との関わりを愉しみながら、質素に生きている。それでも今後が不安で仕方ない。 この焦燥感、すごく分かる…。 トモと過ごした3年間が本当に楽しかったからこそ、残された悲しみや落差で、これまで以上に不安になってしまったのかなぁ。1ヶ月に1回、トモとホテルブッフェに行く…という楽しみが素敵で、ささやかで。たった3年でも、友達と楽しく過ごせて良いなぁ…と思った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「犯罪日記」などと物騒な題名がついていますが、犯罪を犯して首尾よく刑務所に入ろうとして果たせなかった、善良な老女、桐子さんの物語です。もう感涙必至です。
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独居後期高齢者・一橋桐子(なにやら高貴な感じのする名前がまたいい)の苦悩と不安の日々を描いたヒューマンドラマ。 6章からなる。 * * * * * タイトルと各章題を見たときは珍しく本格サスペンスかと思いましたが、そこはやはり原田ひ香さんでした。 ル...
独居後期高齢者・一橋桐子(なにやら高貴な感じのする名前がまたいい)の苦悩と不安の日々を描いたヒューマンドラマ。 6章からなる。 * * * * * タイトルと各章題を見たときは珍しく本格サスペンスかと思いましたが、そこはやはり原田ひ香さんでした。 ルームシェアをしていた親友に先立たれて、生活に不安を感じた桐子が主人公。 食住を確保するために、刑務所入りを狙って犯罪に手を染めようとする内容で、結局すべて失敗に終わる様子がコミカルに描かれます。 いつもの気張らず読みやすい文章。おまけに各章とも短く軽めの展開。 なのに、独居老人問題をはじめとする現代社会の抱える諸問題がさりげなく提示されていました。意外にも社会派小説なのです。 『三千円の使いかた』の琴子とはキャラこそ違うものの、同じ苦悩を取り上げてさらに孤独までプラスした作品になっています。 構成上、深くは切り込めていないのは残念だけれど、『三千円の~』と比べて正義の味方が登場するなどハッピーエンド感が強く、読後にニンマリできたので、☆5つにしておきます。
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