1,800円以上の注文で送料無料

非色 の商品レビュー

4.5

118件のお客様レビュー

  1. 5つ

    68

  2. 4つ

    37

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/08/19

差別そのものに真正面からも向き合った物語。反骨精神の塊のような女性佐和子が、戦争の最中で出会った黒人と結婚してあらゆる差別と葛藤しながら生き抜いていく。自分の中にもある差別の意識をためつすがめつ眺める。それがあることを認めることの苦しみ。 自分が差別を受けているしている対象の一人...

差別そのものに真正面からも向き合った物語。反骨精神の塊のような女性佐和子が、戦争の最中で出会った黒人と結婚してあらゆる差別と葛藤しながら生き抜いていく。自分の中にもある差別の意識をためつすがめつ眺める。それがあることを認めることの苦しみ。 自分が差別を受けているしている対象の一人でもあると認識するラストはなんとも言えぬ読後感。読んでよかった。

Posted byブクログ

2025/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後の女性が異国の地で精一杯生きる中で、人種差別について考える物語。 主人公・笑子が「色ではなく、使う側と使われる側だ」ということに気がつき、最後は「自分はニグロだ」というセリフでこれからの未来に進んでいく様子で終わる。 この差別的な考えは今もあると感じたし、笑子は差別してないと思いながらも、心のどこかではしていて、それで自尊心を保っていたりと、とても人間的であると感じた。 今とは違う時代背景なのが新鮮であっという間に読み進められたし、笑子の力強く生きる姿がかっこよく見えた。

Posted byブクログ

2025/08/08

古書購入 これは深く考えさせられた本。 肌の色が違うことの差別、 差別の中でまた細分化された差別。 戦後の話だが、今読んでなんの遜色もなし。 勝手に、有吉佐和子祭りを開催してます。

Posted byブクログ

2025/06/15

良い本を読んだ。 人間社会からいつか差別は消えるのか、トランプ政権などをみていても考えてしまう。 日本人が中国人や韓国人に対してもつ差別感情にも私は反吐が出る。日本は島国ゆえに排他的な国民性であることを、私たちは深く認識しなければと思う。 ○○人だからといって十把一絡げに論じよう...

良い本を読んだ。 人間社会からいつか差別は消えるのか、トランプ政権などをみていても考えてしまう。 日本人が中国人や韓国人に対してもつ差別感情にも私は反吐が出る。日本は島国ゆえに排他的な国民性であることを、私たちは深く認識しなければと思う。 ○○人だからといって十把一絡げに論じようとする態度こそ反知性的なもの。 だれしも心の奥底に、ほんのかすかな差別意識があったとしても、その感情を冷静に憎まなければ明るい未来は待っていない。 強欲なものが戦争をやりたがり、個々の差別感情をダシにしていることに、果たして万人が気づいているのか? 地球が星の寿命を終わらせるまで、地上から争いはなくなるのか? 狡猾な人たちが「現実」という言葉をうまく使って花畑と揶揄しても、理想に向かい続ける態度こそ進歩といえるだろう。 1960年代に書かれたこの作品が提起する問題はまったく古びていない。それは普遍的差別意識を取り扱っているから。 主人公笑子が名前の通り、心から笑える日がきてほしい。

Posted byブクログ

2025/06/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とても面白かった! 戦後の混乱期に黒人兵と結婚した女性が日本でも渡米後も体験し見聞した様々な差別。次々に困難に出会っては戦うように泳いでいく主人公の人生が面白く、読むスピードがどんどん上がってしまった。 戦争花嫁である女性の人生を軸にしているが、本作のテーマはタイトルにあるように、差別だ。主人公は差別は肌の色のせいなのか、何なのかを常に考えてしまう。 しかし、観念的な話にならず、常に具体的な事件と行動によってスピード感ある展開をするので飽きずに読んだ。 本作の初の出版は1967年で、アメリカでは公民権運動たけなわの頃だ。また、戦争花嫁を取り上げた本も他に見当たらず、いろんな意味で先進的な作品だそうだ。 時代のせいでNGワード満載なのだが、差別の意図がないことははっきりと読み取れ、現在読んでも古さを感じない良い作品だと思う。

Posted byブクログ

2025/05/22

初版は1964年。アメリカとの戦争に負け、焼け野原となった東京で進駐軍の経営するバーでクロークの仕事をするうちに、黒人兵士と恋に落ち、アメリカに渡る「戦争花嫁」。望まぬ妊娠で堕ろすこと3回、産むこと4人。ハーレムでの最底辺の生活を切り盛りする主人公の小気味良い逞しさに舌を巻きつつ...

初版は1964年。アメリカとの戦争に負け、焼け野原となった東京で進駐軍の経営するバーでクロークの仕事をするうちに、黒人兵士と恋に落ち、アメリカに渡る「戦争花嫁」。望まぬ妊娠で堕ろすこと3回、産むこと4人。ハーレムでの最底辺の生活を切り盛りする主人公の小気味良い逞しさに舌を巻きつつあっという間に読了。人間は自分より卑しく低い階層の存在を作ることで自分の尊厳を保つという、人種差別、偏見の無意識下における奥深い心理を突いていて大変興味深い。

Posted byブクログ

2025/05/12

最初は贅沢な暮らしだったが後半は貧困生活 子供の世話を充分にできず、贅沢なマダムの暮らしを知り涙してしまう 子供は親を選べない、自分は差別される立場ではないと思っていたが実は自分も差別される側 みんな誰かしらマウントを取り馬鹿にしているのは一緒 知識があれば貧困は回避できたのだろ...

最初は贅沢な暮らしだったが後半は貧困生活 子供の世話を充分にできず、贅沢なマダムの暮らしを知り涙してしまう 子供は親を選べない、自分は差別される立場ではないと思っていたが実は自分も差別される側 みんな誰かしらマウントを取り馬鹿にしているのは一緒 知識があれば貧困は回避できたのだろうか 知識があっても人種によってレールがすでにひかれている みんな平等で労わりあえる社会だと貧困による犯罪や差別も減るのではないか

Posted byブクログ

2025/05/07

1964年の作を2020年に復刊したもの。かなりの衝撃的な作品だった。 戦後の日本で黒人米兵と結婚した主人公笑子が子連れでアメリカに渡り、ニューヨークでの生活を描いている。日本での差別以上に、移民のるつぼのアメリカには差別が当然の如く蔓延している。 日本人も恐らくイエローとかジャ...

1964年の作を2020年に復刊したもの。かなりの衝撃的な作品だった。 戦後の日本で黒人米兵と結婚した主人公笑子が子連れでアメリカに渡り、ニューヨークでの生活を描いている。日本での差別以上に、移民のるつぼのアメリカには差別が当然の如く蔓延している。 日本人も恐らくイエローとかジャップと差別されただろうにこの中には描かれてない。が、この中で笑子の娘の、明るい未来を象徴する作文が胸を打つ。笑子自身のポジティブさや負けん気も、内容に比べて救いの空気を出している。最後の場面が凄く印象的で、笑子だからこそのセリフだと思った。 この本を勧めてくれたスキボンさんありがとう。

Posted byブクログ

2025/05/02

 本書は、1959年にニューヨークに留学した有吉佐和子さんが、アメリカの人種問題を内面から描いた作品(1964年)ではあるものの、それをアメリカ黒人と結婚し子どもを産み、アメリカで暮らすことを決めた日本人女性の視点で描いている点に、本書ならではの捉え方があるのではないかと感じられ...

 本書は、1959年にニューヨークに留学した有吉佐和子さんが、アメリカの人種問題を内面から描いた作品(1964年)ではあるものの、それをアメリカ黒人と結婚し子どもを産み、アメリカで暮らすことを決めた日本人女性の視点で描いている点に、本書ならではの捉え方があるのではないかと感じられたことから、2003年を最後に重版未定となっていた本書が、2020年に河出書房新社から復刊された意義も充分にあったのだろうと思われた。  人種問題といっても捉え方は様々で、戦後の時代背景に於いて、使う者と使われる者との間に生まれる格差に加え、アメリカ黒人だけに限らない差別を知ることによって、無意識下ではあるのかもしれないが、人間本来の嫌な一面を浮き彫りにしたようでもあり、それは『最下層』というものを設定することによって、自分はまだその階層ではないという安心感を抱くことが、自己のアイデンティティを確立させることに繋がっているような描写に、やるせない辛さを感じられたからなのだが、それはあくまでも人種としての見られ方しかされない、『個人』としてではなく『あなたたち』として括られてしまうことの辛さによるものなのだとしたら、おそらく誰も責めることはできないのではないかと思ってしまうような、個の自由の無い閉鎖的な社会の息苦しさを垣間見た気持ちであった。  ただ、そうした中でも有吉さんが問い掛けているのは、人種問題とは身体の色だけに基づくものなのであろうかということであり、それは黒人であっても、考え方や行動は人それぞれで異なるのではないかという不確定要素だけではなく、アメリカ黒人であっても、その人が生まれてくるまでの間に積み重ねられてきた家族の歴史や血の存在如何によっては、確率の高低差こそあるものの、それらが確実に証明してくれるのは日本人と黒人の間に生まれてくる子どもは、決してその二種類の人種だけに限られない場合もあるということであり、この事実がどれだけ大切なことであるのかを考えるにつれて、「見た目だけで人間のいったい何が分かるというのだろうか?」という思いに、もし至るのであれば、それこそが『非色』というタイトルに込められた、当時の有吉さんの切実な思いなのかもしれないと私は思うのだが、どうだろう。  また、以前読んだ「花ならば赤く」同様、本書に於いても、つい感情的になってしまいそうな問題に対して冷静沈着に考えて答えを導き出そうとする姿勢に、有吉さんの真面目な人柄が窺えながら、そうした理性的なものとは真逆な行動を登場人物にさせる描写もあることによって、人間とは色々な一面が複雑に折り重なることで、その存在を成しているのだということを知っていることに、とても好感を持つことができた、そんな対照的なもの同士が当たり前のように共存する人間を描いたという意味では、主人公「笑子」の、反発心旺盛な様で自らの人生を突き進む一方で、お節介とも思われる程に他人への思いやりに溢れた、人物描写からも充分に感じられたのであった。

Posted byブクログ

2025/04/22

色に非ず。肌の色での人種差別、肌の色ではない人種差別、それによって人生が変わってしまうこと、交わらないこと、置かれた環境の厳しさ難しさ、自分の知らなかった世界を知れた。終戦直後から数年間の日本とNYの実情は厳しかった。果たして今に至っては、なにかよくなっているのであろうか?アメリ...

色に非ず。肌の色での人種差別、肌の色ではない人種差別、それによって人生が変わってしまうこと、交わらないこと、置かれた環境の厳しさ難しさ、自分の知らなかった世界を知れた。終戦直後から数年間の日本とNYの実情は厳しかった。果たして今に至っては、なにかよくなっているのであろうか?アメリカで何が起きているのか自分からはぜんぜん知れていないだろう。観光でしか行ったことがないので...。日本でも、偏見などによる差別とまではいかなくても差別意識はなかなか消えないと思う。世界中がかわっていくこと変えていくことはとっても難しいと思うが、差別で苦しむ人が少なくなっている、いくことを願う。

Posted byブクログ