非色 の商品レビュー
メロドラマになりそうなところを流されることなく、綺麗事ではない、人の見たくない本質部分を冷静に描写している。 物語に引き込まれていきました。 ぜひご一読を!
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書店でマチスのイカロスのカバーを見て、古い版を手にしました。1967年に33歳で書いたとは。国連関係のアフリカ人エリートが笑子に言った言葉、はっきり記憶でてないけど、もう色を超えた、だったか、。有吉佐和子さんの他の本も読んで、記念館に行こうと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
女2人のニューギニアが有吉さんの初めて読む本だったので、物語としてはこれが初めて。 エッセイからは想像ができひんほど、人のえぐみ?本当の思いをたんたんと書く人やと思った。でも共感できることばかりで、友達の話を聞くようにずんずんと読み進めてしまった。 また戦後の生き方は、想像を絶する世界で 今より外国人と触れ合う機会を多く持てたのかもしれないと思うと不思議やった。 またニューヨークにいってからも、人種差別を気にしてないという態度をとりながらも、自分も差別したりしなかったり、、、その気持ちの揺れ具合も本当に人の心情を丁寧に書いてあった。角田さんのツリーハウスが時代も近く心情が丁寧にかかれている点で似てた。たんたんと物語は進むけど、気になって読み進めてしまう感じも同じで面白ろかった。
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非色、色に非らず そのタイトルの意味が、物語の後半にかけて徐々にわかってくる展開にゾクゾクした。人種差別やその歴史については、百科事典や論文、日々のニュースでも学ぶことができる。しかし、この小説を読んでいると、「差別」とは何か、何故生まれるのか、そういったより本質的なことを考えさ...
非色、色に非らず そのタイトルの意味が、物語の後半にかけて徐々にわかってくる展開にゾクゾクした。人種差別やその歴史については、百科事典や論文、日々のニュースでも学ぶことができる。しかし、この小説を読んでいると、「差別」とは何か、何故生まれるのか、そういったより本質的なことを考えさせられる。また、人種差別によって人生が大きく左右されるさまざまな登場人物と彼らの感情の変化に、読んでいて思わず心がえぐられる瞬間があった。心がえぐられてこそ初めて、このような問題を自分ごととして考えることができる気がした。
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時々考えることなのだけど「人が人を差別する意識はどこから生まれるのだろう」ということを、この本を読み終えてまた考えた。 歴史や時代に刷り込まれる場合もあるだろうし、生まれ育った環境(親や友人など)を通して意識に根付く場合もあると思う。 自分自身「差別なんてしたことありません」なん...
時々考えることなのだけど「人が人を差別する意識はどこから生まれるのだろう」ということを、この本を読み終えてまた考えた。 歴史や時代に刷り込まれる場合もあるだろうし、生まれ育った環境(親や友人など)を通して意識に根付く場合もあると思う。 自分自身「差別なんてしたことありません」なんて到底言えないのだけど、果たしてその意識はいつ根付いたのだろう。 初版は1964年。2021年に復刊を果たした本作。 第二次世界大戦後、日本で生まれ育った笑子は、仕事の関係で知り合ったアメリカ系黒人のトムと結婚することになる。 作中では今は差別用語として使われなくなった「ニグロ」という言葉が多用されているが、変更はされず復刊されている。 数年後笑子は娘のメアリィを出産する。 トムはアメリカに戻り、離れた生活をしている間に笑子は一度離婚を考えるが、日本にいてはメアリィを育てるのにも支障があると実感して渡米することを決意する。 ここまでが序盤。 序盤から差別の描写は山のように出てくる。 今は日本と黒人のハーフも珍しくないけれど、当時はそれだけで周りから忌避されることもあったということ。 笑子が渡米してからが物語の本筋なのだけど、さまざまな人種差別が渦巻きまくっていて、だけどその理由を語れる人はいない。 なぜ黒人が差別されるのか。白人の中でも、プエルトリコやイタリアの人間はなぜ差別されていたのか。 ハーレムにある半地下の穴倉のような住まいで、それでも笑子はたくましく生きる。 渡米してからも子どもが生まれ(当時のアメリカの多くの州では堕胎は罪になるという背景もあり)笑子と似たような境遇にある日本人の女たちの奮闘ぶりも描かれる。 読んでいて、思案する時間、理不尽さ、痛快さなど、色んな要素を味わえる。 そして笑子は、とある金持ちの家の家政婦として働いている期間に、ひとつの答えを出す。 「非色」とは「色に非ず」ということ。 それは分かっているのに、今も差別が完全に無くならないのはなぜなのか。 今でも時々話題になる事件を見ていて、1964年に有吉佐和子さんが表現したものは、今も変わっていないのだと痛感する。 日本人に限定しても、色での差別は無いにしても、差別自体はたくさんある。 意識に根付くもので無意識に行動する人の恐ろしさを描いている小説なので、復刊したことはきっと大正解なのだと思う。 社会派をエンタメに落とし込むという意味でもすごい小説だと思った。考えてしまうけど、とても面白かったので。
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すごい本だった。本屋さんになくて図書館で借りたら昭和61年33版発行で、文字がお米より小さい355ページだったのに、3日で読んでしまった。 色ではないのだ。人種問題ではなく、階級闘争なのだ。 日本に外国から来る人たちの暮らしにくさも、韓国に対する蔑視も、「就学義務」のない子たちへ...
すごい本だった。本屋さんになくて図書館で借りたら昭和61年33版発行で、文字がお米より小さい355ページだったのに、3日で読んでしまった。 色ではないのだ。人種問題ではなく、階級闘争なのだ。 日本に外国から来る人たちの暮らしにくさも、韓国に対する蔑視も、「就学義務」のない子たちへの扱いも、将来投票権のない生徒会長も、ぜんぶ日本で起きてる問題なのにこんなにも見えにくいのは、階級問題だから、自分と違う階級の問題だからなのか。
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面白くて一気読み。 日々の生活に活力すら与えられて、読書の意義をひしひし感じることができた。 でもそれはこの中に書かれた生活を「これよりは自分はマシだ。頑張ろう」と思えたからであって、この小説の主題をまさに体現しながらの読書体験でもあった。 人間は業が深い。それは許容しつつ、...
面白くて一気読み。 日々の生活に活力すら与えられて、読書の意義をひしひし感じることができた。 でもそれはこの中に書かれた生活を「これよりは自分はマシだ。頑張ろう」と思えたからであって、この小説の主題をまさに体現しながらの読書体験でもあった。 人間は業が深い。それは許容しつつ、なるべく自らのその部分は見せないように生きていくしかないのだろうけれど、そう心がけるほど、身勝手な他人の行動が目につくのだろうなあ。 折に触れて読み返したい1冊だった。
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久しぶりの再読。 人種、性差が複雑に絡みながら、終戦直後の日本から物語がはじまる。 一番、強く感じたのは「人は、自分より下の存在がないと安心できないものなのか」ということ。 黒人であっても何代か遡れば白人の血が入ってるからとか プエルトリコ人よりは上とか。 主人公•笑子も戦争花嫁...
久しぶりの再読。 人種、性差が複雑に絡みながら、終戦直後の日本から物語がはじまる。 一番、強く感じたのは「人は、自分より下の存在がないと安心できないものなのか」ということ。 黒人であっても何代か遡れば白人の血が入ってるからとか プエルトリコ人よりは上とか。 主人公•笑子も戦争花嫁の中でも相手によって互いを見定めあってること。 いまも戦争が絶えず続くのは自国ファースト、下の存在を身近に置かずには済まない部分もあるのではないか(無論、これだけが原因ではないけど) 女性の置かれた状況も一進一退、良くなってるところもあればまだまだのところもある。これからも読みつがれるべき傑作だと思う。
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有吉佐和子さんの本は初めて読んだけど、テンポ感が良くて、リアルで面白かった。 50年以上前の話で時代も感じるけど、人が人を差別してしまう意識は今でも変わっていない事は分かる。 差別されているもの同士でもお互いを差別し、罵り合う。 人種同士の差別もだけど、この時代は今よりももっと女...
有吉佐和子さんの本は初めて読んだけど、テンポ感が良くて、リアルで面白かった。 50年以上前の話で時代も感じるけど、人が人を差別してしまう意識は今でも変わっていない事は分かる。 差別されているもの同士でもお互いを差別し、罵り合う。 人種同士の差別もだけど、この時代は今よりももっと女性の地位も低い。女性蔑視も描かれている。 誰と結婚したかで女性の立場が変わってくる。 この時代の女性が置かれている状況を読むのは辛かったけど、主人公の逞しさで最後まで読めた。
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差別とは何か。差別は表に出さないだけで、私の心にも巣くっている。人は、心の中で優劣をつけたいからだ。自分が誰かより優っているところを見つけたい。誇りを持ちたい気持ちが増大したときに差別は生まれるのではないか。ごく単純なところから始まって大きくなったのが差別なのではないか。
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