海をあげる の商品レビュー
「海をあげる」。この言葉の重さはこの本を読むとずしっと肩にのしかかります。と言いながらも僕は沖縄の現状に明るくないし、TVで見る陽気で楽天的な空気感しか分からない。 重い空気のエッセイの中で最後に投げかけられる「海をあげる」この言葉を読んだ瞬間目の前の扉をバンと閉めたくなるという...
「海をあげる」。この言葉の重さはこの本を読むとずしっと肩にのしかかります。と言いながらも僕は沖縄の現状に明るくないし、TVで見る陽気で楽天的な空気感しか分からない。 重い空気のエッセイの中で最後に投げかけられる「海をあげる」この言葉を読んだ瞬間目の前の扉をバンと閉めたくなるというか、現実から目を背けたくなります。 細かい話は思い出せませんが、でも心に重い石を残す本です。
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沖縄の過去の戦争体験、米軍基地、貧困問題を日々の生活の出来事やインタビューを淡々と言語化することで闇から浮かび上がらせている内容。たまに旅行にいくだけではわからない沖縄で起きている問題を知って、自分の無知に愕然とする。ニュースを見て、大変だ、対策を考えるべきと思ったことはあれど、...
沖縄の過去の戦争体験、米軍基地、貧困問題を日々の生活の出来事やインタビューを淡々と言語化することで闇から浮かび上がらせている内容。たまに旅行にいくだけではわからない沖縄で起きている問題を知って、自分の無知に愕然とする。ニュースを見て、大変だ、対策を考えるべきと思ったことはあれど、サポートするために自ら動いている訳ではない。そんなヌルい感覚の本土の人間に「海をあげる」という言葉で問題提起して試されているのかなと思った。
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”私たちは自分の大事にしているよきものを、自分よりも小さなものに渡します" 沖縄の基地問題、性暴力、若年出産等が書かれており、私の知る日常とはあまりにもかけ離れており、強い衝撃を受けました。 読後なんとも言えない、言葉にできない、行き場を失ったような気持ち…。 沖縄...
”私たちは自分の大事にしているよきものを、自分よりも小さなものに渡します" 沖縄の基地問題、性暴力、若年出産等が書かれており、私の知る日常とはあまりにもかけ離れており、強い衝撃を受けました。 読後なんとも言えない、言葉にできない、行き場を失ったような気持ち…。 沖縄でおきている真実をもっと深く知りたいと思った一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読みやすくやさしい筆致で、世の弱者の立場を沖縄の美しい海を背景に描くエッセイ。 ずいぶん人気書籍で、図書館の予約も1年近く待たされた。 幼い娘を育てながらの生活の気づきを綴る序盤は、沖縄版『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレディみかこ著)かと思った。 「ごはんをつくることができるようになれば、どんな悲しいことがあったときでも、なんとかそれを乗り越えられる。」 「手抜きでもごまかしでもなんでもいいからそれを食べて、つらいことを乗り越えていけたらいいと思っています。」 こんなトーンで娘への処世訓が、日々の暮らしとともに綴られていくものと予想したが、テーマは徐々に重く困難なものを扱っていく。 性被害者、未成年の母親、東京で働き故郷沖縄の家族を支えるホスト、そして、米兵による少女レイプ事件、基地問題と沖縄の抱える問題へと切り込んでいく。 いや、沖縄の抱える問題としてはいけないのだろう。自分たちの、日本の問題として考えなければいけない。それが本書のメッセージだろう。 「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれないということなのだと思います。」 この言葉を真摯に受け止め、聞く耳をもつものでありたい。心掛けよう。
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石牟礼道子にしてもアレクシエーヴィチにしても上間さんにしても、問いかけてくることは同質だ。 この声を聞いたあなたに、出来ることは何ですか?と問うてくる。 これらの声は「悲惨な物語」として商業的に消費されることなく、本当に「読み手」に届かなければならないのだけれど。 ーー沖縄の怒...
石牟礼道子にしてもアレクシエーヴィチにしても上間さんにしても、問いかけてくることは同質だ。 この声を聞いたあなたに、出来ることは何ですか?と問うてくる。 これらの声は「悲惨な物語」として商業的に消費されることなく、本当に「読み手」に届かなければならないのだけれど。 ーー沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄の関係を表している(p.234) 日本「と」沖縄? 日本の中の沖縄の位置、ではなく? 筆者の実感として(事実としてではなく?だと思うが、どちらだろう?)もはや沖縄は日本の植民地、と捉えられているんだろう。 誰かの足を自分が踏んでいたとしても、相手が声を上げなければ気づくことはできない。気づいたとしても行動に移さないのならば、気づかないことより罪は重い。
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沖縄の基地問題、女性が受ける性暴力、若年出産の背景など、上間先生の語り口で綴られる本書は、改めて色んなことを考えさせられるきっかけになった
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『裸足で逃げる』に続き、上間陽子さんの沖縄本。でも多分、これを「沖縄の」問題と捉えている時点で既に、他人事だと思ってしまっていることになるのだろう。沖縄のさまざまな犠牲の上に、爆音の届かない恵まれた日常を送る日本人の私は、国会前のデモにさえ参加することもなく、日米安保に守られてい...
『裸足で逃げる』に続き、上間陽子さんの沖縄本。でも多分、これを「沖縄の」問題と捉えている時点で既に、他人事だと思ってしまっていることになるのだろう。沖縄のさまざまな犠牲の上に、爆音の届かない恵まれた日常を送る日本人の私は、国会前のデモにさえ参加することもなく、日米安保に守られていると意識することもなく、この世界情勢でものうのうと暮らしている。私だって確実に、問題の当事者のひとりであるにもかかわらず。 どんな経緯でこの状況に至ったのかを考えるまでもなく、今まさに、沖縄で、特有の苦しみを背負わされ続ける人々がいる。胸を痛めているだけでは何の助けにもならない。
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読みやすく、静かな文章。優しさや温かさや空気を感じるが、胸が痛くなる。苦しくなる。泣きそうになった箇所もいくつかあった。 沖縄について、沖縄戦や米軍基地について、なにも知らなかった、考えずに過ごしてきたと思った。
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最後にタイトルの意味が分かり、何を言えばいいのか黙り込んでしまった。普天間と辺野古の距離が三鷹から東京湾くらいなのだということも知らなかった。
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この本を読んだら 沖縄って良いよね!海が綺麗だし!! なんてもう簡単に言えない 章を進める毎に、どんどん辛くなる。 "何も響かない"あたりからあとがきに至るまで胸が苦しかった。 このタイトルの意味も、最後まで読んでまた泣いた。こんな風に海をもらって、いらないな...
この本を読んだら 沖縄って良いよね!海が綺麗だし!! なんてもう簡単に言えない 章を進める毎に、どんどん辛くなる。 "何も響かない"あたりからあとがきに至るまで胸が苦しかった。 このタイトルの意味も、最後まで読んでまた泣いた。こんな風に海をもらって、いらないなんて言えるわけない。
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